ベルトコンベアの上を、見たことのないスーツケースが3周目を回っています。
同じ便に乗っていた人たちは、もうほとんど出口に消えました。
残っているのは、自分と、あと2人くらいです。
やがてベルトが止まり、電光掲示板から便名が消えます。
この瞬間にいちばん困るのは、英語の単語を知らないことではありません。
「ここから誰に、何を、どの順番で言えばいいのか」が分からないことです。
荷物が出てこないという出来事は、空港側にとっては毎日ある手続きです。手続きである以上、聞かれることは決まっています。
この記事では、まず最初に言う一文を決めます。
そのうえで、窓口の呼び名、聞かれる項目、PIRと呼ばれる紙、そして受け取りまでを、起きる順番に並べ直します。
語義の個数は、Cambridge Dictionary の英語辞典のページを1語ずつ開いて数えました。取得日はすべて2026年9月17日です。
手続きと期限の中身は、英国民間航空局(UK Civil Aviation Authority)・EUの公式案内「Your Europe」・カンタス航空が公開している原文に当たって確かめています。
ロストバゲージの英語は「My baggage didn’t arrive.」から始めます|先に結論
先に結論です。
荷物が出てこないときの英語は、この1文から始めれば足ります。
My baggage didn’t arrive.
「私の荷物が出てきませんでした」という意味です。
主語と動詞しかない、とても短い文です。
それでも、この一文を言った時点で、相手は何が起きたかを完全に理解します。
なぜなら、空港の係員にとって、これは毎日いくつも処理している案件だからです。
言うべきことを言えば、あとは相手が質問の形で順番に進めてくれます。
同じ意味で、次の言い方も通じます。
My bag is missing.
「荷物が見当たりません」です。
My suitcase didn’t come out on the belt.
「スーツケースがベルトに出てきませんでした」です。
どれでも同じ窓口に案内されます。
荷物が出てこない日に起きることは、順番が決まっています
ここから先に起きることは、だいたい次の6つです。
| 順番 | 起きること | あなたがすること |
|---|---|---|
| 1 | ベルトが止まる | 荷物室の受取エリアから出ずに、窓口を探す |
| 2 | 窓口で名乗る | My baggage didn’t arrive. と言う |
| 3 | 書類を作る | 搭乗券とタグの控えを出す |
| 4 | 荷物の特徴を聞かれる | 色・型・大きさ・中身を答える |
| 5 | 届け先を聞かれる | 滞在先の住所と電話番号を伝える |
| 6 | 控えをもらう | 参照番号が書かれた紙を受け取る |
この6つが分かっていれば、その場で考えることは「自分の荷物の色」くらいしか残りません。
そもそも「ロストバゲージ」は英語なのか|lostとbaggageを辞書で数えました
日本語で「ロストバゲージ」と言うと、荷物が出てこない出来事そのものを指します。
ところが英語の辞書には、lost baggage という見出し語がありません。
lost と baggage は、それぞれ独立した単語として載っています。
Cambridge Dictionary の英語辞典で baggage を開くと、語義は2つだけです。
| baggageの語義 | 個数 |
|---|---|
| 旅行に持っていくかばん・ケースなど | 1 |
| 考え方や行動に影響する、その人が抱えてきた思いや感情 | 1 |
2つ目の語義は「心の荷物」です。
emotional baggage という言い方で使われるほうの意味で、空港とは関係がありません。
つまり、空港で使う baggage は、2つあるうちの1つ目だけです。
同じ辞書で luggage を開くと、語義は1つしかありません。
「持ち物が入っていて、旅行に持っていくかばんやスーツケース」という説明が1つあるだけです。
baggage と luggage は、空港の場面ではほぼ同じものを指します。
どちらを言っても通じるので、言いやすいほうで構いません。
では lost はどうでしょうか。
同じ辞書で lost(形容詞)を開くと、語義は4つあります。
| lostの語義が指しているもの | 個数 |
|---|---|
| 自分がどこにいるか分からない(人が道に迷う) | 1 |
| 物がどこにあるか誰も分からない | 1 |
| 自信がなく、何をすればいいか分からない | 1 |
| 夢中になって周りが目に入らない | 1 |
荷物に使えるのは、4つのうち2つ目だけです。
そして2つ目の語義は「誰も在りかを知らない」という、かなり強い状態を指しています。
ベルトに出てこなかっただけの荷物は、まだその状態ではありません。
だから最初の一言に lost を使わないほうが、事実に近くなります。
missing のほうが、この場面には合っています。
missing(形容詞)の語義は3つで、そのうち2つ目が「あるべき場所にないので見つけられない」です。
My bag is missing. は、まさにこの2つ目の意味で使う形です。
ロストバゲージの英語で最初に行く窓口|baggage claimとlost and foundは別物です
窓口を探すときに迷うのは、看板の言葉が空港ごとに違うからです。
よく見る3つを並べます。
| 看板の言葉 | それが指している場所 |
|---|---|
| baggage claim | 荷物を受け取るエリアそのもの(ベルトが並んでいる場所) |
| baggage reclaim | 同じ意味。英国式の言い方で使われることがある |
| baggage service/baggage services counter | 荷物の事故を受け付ける、航空会社のカウンター |
| lost and found/lost property | 空港内で落とし物として拾われた物を保管している場所 |
ここでいちばん大事なのは、lost and found は行き先が違う、ということです。
Cambridge Dictionary で lost and found を引くと、語義は1つです。
「公共の建物の中で、人が落とした物を保管しておく場所」と書かれています。
同じく lost property の語義も1つで、「公共の場所にうっかり置き忘れた私物」です。
どちらも「置き忘れ」の話であって、預けた荷物が届かなかった話ではありません。
機内に帽子を忘れたなら lost and found ですが、預けたスーツケースが来ないなら航空会社のカウンターです。
では、そのカウンターはどこにあるのでしょうか。
英国民間航空局は、荷物のページで次のように書いています。
Most airlines have a dedicated baggage desk within the baggage claims area.
「たいていの航空会社は、荷物の受取エリアの中に専用の荷物デスクを置いています」という意味です。
つまり、探す場所はベルトのある部屋の中です。
税関を通って到着ロビーに出てしまうと、戻れなくなる空港が多くあります。
だから「出てこない」と分かった時点で、外に出ずに、その部屋の壁際を見るのが先です。
見つからなければ、近くの係員にこの一文で聞けます。
Where is the baggage service counter?
「荷物のカウンターはどこですか」です。
なお baggage claim という言い方は、Cambridge Dictionary では英語辞典ではなくビジネス英語の辞典に載っていて、「飛行機で着いたあとにケースやかばんを受け取る空港内の場所」と説明されています。
reclaim のほうは英語辞典に載っていて、名詞の語義が「飛行機から降ろされたかばんを受け取る行為、またはそれをする空港内の場所」です。
なお、荷物が回っているあの回転ベルトは carousel と呼ばれます。
Cambridge Dictionary の英語辞典で carousel を引くと語義は3つで、遊園地の回転木馬、空港のベルト、スライド映写機の円形の器に分かれています。
空港を指すのは3つのうち1つだけなので、空港の中で使うかぎり誤解は起きません。
窓口では、番号と一緒に言うと状況が早く伝わります。
I waited at carousel 5, but my bag never came out.
「5番のベルトで待っていましたが、荷物は出てきませんでした」です。belt と言っても同じように通じます。
ロストバゲージの英語で聞かれる7つ|航空会社が公開している必要事項です
窓口に着いたら、質問が始まります。
何を聞かれるかは、航空会社が自社サイトで公開しています。
カンタス航空は、遅延した荷物の報告に必要なものとして、次を挙げています。
| カンタス航空が挙げている項目 | 日本語 |
|---|---|
| booking reference | 予約番号 |
| passenger name and contact details | 搭乗者の名前と連絡先 |
| baggage receipt number | 荷物の預かり控えの番号 |
| detailed description of your baggage | 荷物の詳しい説明 |
| any other relevant details | 荷物を見つける手がかりになるその他の情報 |
この4つ目「荷物の詳しい説明」が、日本人がいちばん詰まるところです。
実際の窓口では、これがもう少し細かい7つの質問として飛んできます。
| 聞かれること | 相手が言ってくる英語 | 答え方 |
|---|---|---|
| 搭乗券 | May I see your boarding pass? | Here you are. と言って渡す |
| タグの控え | Do you have the baggage tag? | Yes, here it is. |
| 色 | What colour is your suitcase? | It’s dark blue. |
| 大きさと型 | What size and type is it? | It’s a medium hard-shell suitcase with four wheels. |
| 中身 | What’s inside? | Mostly clothes, and a pair of shoes. |
| 滞在先 | Where are you staying? | At the Grand Hotel, for three nights. |
| 連絡先 | What’s the best number to reach you? | You can reach me on this number. |
この7つは、どこの空港でもほぼ同じ順番で聞かれます。
逆に言えば、この7つ以外のことは、その場で考えなくて済みます。
スーツケースの色と型は、3語を組み合わせるだけです
荷物の説明は、長い文にする必要がありません。
「大きさ」「素材」「色」の3つを並べて、最後に suitcase と言うだけです。
| 要素 | 使う語 | 意味 |
|---|---|---|
| 大きさ | small / medium / large | 小型/中型/大型 |
| 素材と形 | hard-shell / soft / fabric | ハードケース/柔らかい/布製 |
| 色 | black / navy / silver / red / dark green | 黒/紺/銀/赤/濃い緑 |
| 目印 | with a red name tag / with four wheels | 赤いネームタグ付き/4輪 |
組み合わせると、こうなります。
It’s a medium silver hard-shell suitcase with a red name tag.
「赤いネームタグが付いた、中型で銀色のハードケースです」という意味です。
スマホにスーツケースの写真が入っていれば、この説明よりも速く伝わります。
写真を見せながら、次の一言を足せば十分です。
This is a photo of my suitcase.
PIRという紙の読み方|Property Irregularity Reportは英国の航空当局も名前を出しています
手続きが終わると、紙かメールで控えが渡されます。
この控えの名前が PIR です。
英国民間航空局は、荷物のページで次のように書いています。
You may receive a Property Irregularity Report (also known as PIR.)
「Property Irregularity Report(PIRとも呼ばれます)を受け取ることがあります」という意味です。
同じページには、請求のしかたとして次の一文もあります。
You must report the fact that your luggage has been lost, delayed or damaged at the airport and keep a copy of the Property Irregularity Report which staff of the airline will complete.
「荷物が紛失・遅延・破損したという事実を空港で届け出て、航空会社の係員が作成するPIRの控えを保管しておかなければなりません」という意味です。
ここで大事なのは、PIRを「もらう」だけでなく「保管する」と書かれていることです。
名前の意味も見ておきます。
property は「所有物」、report は「報告」です。
真ん中の irregularity は、Cambridge Dictionary の英語辞典で語義が3つあります。
| irregularityの語義が指しているもの | 個数 |
|---|---|
| 形や見た目がそろっていないこと | 1 |
| 正しくない、または受け入れられない何か | 1 |
| 決まった時間どおりに起きないこと | 1 |
2つ目の「正しくない状態」が、ここでの意味です。
つまりPIRは、「持ち物について、あるべき状態ではないことが起きた」と記録する紙です。
紙の上で、いちばん大事なのは参照番号です。
カンタス航空は、遅延した荷物の報告について次のように書いています。
We’ll provide a 10-character delayed bag report reference, which you’ll need to retain to check the status of your report and manage your details.
「10文字の参照番号をお渡しします。報告の状況を確認したり内容を変更したりするために、この番号を保管しておく必要があります」という意味です。
受け取ったら、その場で番号の写真を撮っておくのが確実です。
番号が読めないときは、その場でこう聞けます。
Could you show me the reference number?
「参照番号がどこに書いてあるか見せていただけますか」です。
ロストバゲージの英語はdelayedとlostで分かれます|21日という線があります
窓口では、担当者が delayed という言葉を使うことがあります。
日本語の「ロストバゲージ」とは、指している状態が違います。
delay を Cambridge Dictionary の英語辞典で引くと、動詞の語義が3つ、名詞の語義が1つで、合計4つです。
| delayの語義 | 品詞 | 個数 |
|---|---|---|
| 予定より後の時間に起こるようにする | 動詞 | 1 |
| 人や物を遅らせる・遅刻させる | 動詞 | 1 |
| すぐに行動しない | 動詞 | 1 |
| 予想より長く待たされる状況、またはその待ち時間 | 名詞 | 1 |
どの語義も「無くなった」とは言っていません。「遅れている」だけです。
では、どこから「無くなった」に変わるのでしょうか。
カンタス航空は、補償のページで次のように書いています。
Baggage that hasn’t arrived in up to 21 days is considered delayed.
「21日までの間に到着していない荷物は、遅延として扱われます」という意味です。
続けて、こう書かれています。
If we’ve been unable to find your baggage within 21 days, you may be able to make an additional claim for lost bag compensation.
「21日以内に荷物を見つけられなかった場合、紛失した荷物の補償を追加で請求できることがあります」という意味です。
つまり、窓口を出た直後の荷物は、ほとんどの場合 delayed の扱いになります。
この数字はカンタス航空のページに書かれているもので、航空会社によって扱いは変わります。
自分の便の航空会社がどう決めているかは、その会社のページで確かめるのが確実です。
窓口で状況を聞くなら、この言い方です。
Is my bag delayed, or is it lost?
「私の荷物は遅れているのですか、それとも紛失したのですか」です。
英国民間航空局は、荷物が行方不明になりやすい状況についても書いています。
Baggage is most often lost or delayed when you have transferred en-route between planes, or between airlines.
「荷物が紛失または遅延するのは、途中で飛行機を乗り継いだとき、あるいは航空会社をまたいだときがいちばん多い」という意味です。
乗り継ぎがあった便なら、その情報も窓口で伝えたほうが早くなります。
I transferred in Dubai, so it may still be there.
「ドバイで乗り継いだので、まだそこにあるかもしれません」です。
壊れていたときのロストバゲージ英語|damagedは「タグを外さない」が先です
荷物は出てきたけれど、割れている・車輪が取れている、という日もあります。
このときに使う語が damaged です。
Cambridge Dictionary の英語辞典で damage を引くと、動詞の語義が1つ、名詞の語義が2つです。
| damageの語義 | 品詞 | 個数 |
|---|---|---|
| 物を傷つける・だめにする | 動詞 | 1 |
| 害、または損傷 | 名詞 | 1 |
| 損害を与えた側が支払うお金(損害賠償) | 名詞 | 1 |
3つ目の「賠償金」の意味があるので、damages と複数形で出てきたらお金の話です。
窓口で言う一文はこれです。
My suitcase was damaged during the flight.
「スーツケースが飛行中に破損しました」です。
どこが壊れたかは、部位の名前を足すだけで伝わります。
| 壊れた場所 | 言う英語 |
|---|---|
| 車輪 | One of the wheels is broken. |
| 取っ手 | The handle is broken. |
| ファスナー | The zipper doesn’t close anymore. |
| 外側の割れ | There’s a crack on the side. |
| 中身 | Something inside is broken. |
そのうえで、破損のときにいちばん大事な作業は、英語ではなく手です。
カンタス航空は、破損した荷物について次のように書いています。
If your checked bag or mobility equipment is damaged on arrival, firstly, ensure you don’t remove the baggage tag from your damaged item.
「預けた荷物や移動補助具が到着時に破損していた場合、まず、破損した物から荷物タグを外さないようにしてください」という意味です。
さらに、報告に必要なものとして「荷物タグが付いたままの写真」が挙げられています。
タグを外してしまうと、その荷物がその便で運ばれた証拠が消えます。
ちなみに tag という語は、Cambridge Dictionary の英語辞典では名詞11個・動詞5個の合計16個の語義を持ち、SNSのタグ付けからハッシュタグ、鬼ごっこ、車のナンバープレートまで含まれています。
空港で使うのは1つ目の「情報が書かれた小さな紙・布・金属の札」だけです。
届け先を伝えるロストバゲージの英語|ホテル名と滞在日数はセットで言います
荷物が見つかったあと、どこへ届けるかを決めるのはあなたです。
ここで住所を英語で読み上げる必要はありません。
予約確認のメール画面を見せながら、次の一文を言えば十分です。
Could you deliver it to this hotel?
「このホテルまで届けていただけますか」です。
このとき、滞在の日数をセットで言うのが大事です。
荷物が届くころには、もう別の街に移動している人がいるからです。
I’ll be at this hotel until Friday, and then I move to Rome.
「金曜日までこのホテルにいて、そのあとローマへ移動します」という意味です。
移動する予定があるなら、先に言っておくほど話が早くなります。
届くまでにかかる見込みを聞くなら、この形です。
Roughly how long will it take?
「だいたいどのくらいかかりますか」です。
連絡の受け取り方を指定したいときは、こう足します。
Could you contact me by email? My phone may not work here.
「メールで連絡していただけますか。ここでは電話が使えないかもしれません」という意味です。
海外で日本の電話番号が鳴らない状況は珍しくないので、これは言っておく価値があります。
当座の買い物代を尋ねるロストバゲージの英語|essentialsという言葉で聞きます
荷物が来ない夜には、着替えも歯ブラシもありません。
この当座の出費について、英国民間航空局は次のように書いています。
Most airlines will reimburse you for the bare essentials you need to buy when your bag is delayed.
「荷物が遅延したときに買う必要がある最低限の必需品について、たいていの航空会社は払い戻しをします」という意味です。
同じページには、その中身も書かれています。
If you are away from home this may cover essential toiletries, underwear and laundry costs.
「自宅から離れている場合、必需品の洗面用具・下着・洗濯代が対象になることがあります」です。
さらに、支払い方についても書かれています。
Some airlines have a daily rate which they will pay per day your bag is delayed.
「1日あたりの金額を決めていて、荷物が遅れた日数分を支払う航空会社もあります」という意味です。
この「1日いくらか」は会社ごとに違うので、その場で聞くのがいちばん早くなります。
Can I buy essentials and claim it back?
「必需品を買って、あとで請求できますか」という意味です。
上限があるかどうかは、こう聞けます。
Is there a daily limit?
「1日あたりの上限はありますか」です。
そして、買ったあとの行動がいちばん大事です。
カンタス航空は、遅延した荷物のページで次のように書いています。
Please ensure you keep any receipts for additional emergency expenses in case you need to make a claim for compensation later.
「あとで補償を請求する必要が出た場合に備えて、緊急の追加出費のレシートは保管しておいてください」という意味です。
なお claim という語は、Cambridge Dictionary の英語辞典で動詞5個・名詞3個の合計8個の語義を持ち、「証明はできないが本当だと主張する」という荷物とは関係のない意味も含まれています。
空港で使うのは「自分のものだから返してほしいと求める」「お金を書面で請求する」のほうの語義です。
書面で出す期限は7日と21日|EUと英国の公的ページが同じ数字を書いています
窓口で報告するだけでは、手続きは終わりません。
あとから書面で請求する段階があり、そこには期限があります。
英国民間航空局は、請求のしかたとして次の2つを並べています。
| 何について | 期限(英国民間航空局の記載) |
|---|---|
| 紛失・盗難・破損 | 7日以内(Within seven days) |
| 遅延した荷物 | 受け取ってから21日以内(Within 21 days) |
EUの公式案内「Your Europe」の航空旅客の権利のページにも、同じ数字が出ています。
紛失・破損は7日以内、遅延は荷物を受け取ってから21日以内に、航空会社へ書面で申し立てる、という書き方です。
同じページには、EU全体で共通の書式は無い、とも書かれています。
金額の上限についても、両方のページが数字を出しています。
| 出典 | 書かれている上限 |
|---|---|
| Your Europe(EU) | およそ1,300ユーロまでの補償 |
| 英国民間航空局 | 上限はおよそ1,000ポンド。ただしこの額を受け取るのは極めてまれ、と明記 |
英国民間航空局は、補償額を決める固定のルールは無く、失った物の価値によると書いています。
同じページには、レシートやクレジットカードの記録で価値を証明する必要があること、そして新品の値段ではなく失った時点での年数に応じた価値で見ることも書かれています。
もう1つ、Your Europe には事前の手続きについても書かれています。
およそ1,300ユーロを超える補償の上限を、有料で航空会社に求めることができる、という説明です。
ただし、これは事前に、遅くともチェックインの時点で手配する必要がある、と書かれています。
荷物が出てこなくなってからでは間に合わない手続きです。
高価な物を預ける予定があるなら、カウンターでこう聞けます。
Can I declare a higher value for this bag?
「このかばんに、より高い価額を申告できますか」という意味です。
乗り継ぎで複数の航空会社に乗った場合の請求先についても、英国民間航空局が書いています。
どの航空会社にも請求できるが、通常は最後に乗った航空会社が対応するので、そこから始めるのがよい、という説明です。
係員が言ってくるロストバゲージの英語と、聞き取れなかったときの逃げ方
窓口では、相手のほうが早口です。
よく出てくる文を先に見ておけば、音の輪郭で見当が付きます。
| 相手が言ってくる英語 | 意味 | 返し方 |
|---|---|---|
| Can I see your boarding pass and baggage tag? | 搭乗券とタグを見せてください | Sure, here you are. |
| Did you have a connecting flight? | 乗り継ぎ便はありましたか | Yes, I transferred in Doha. |
| Can you describe your bag? | かばんの特徴を教えてください | It’s a medium black hard-shell suitcase. |
| Where can we deliver it? | どこへ届ければよいですか | To this hotel, please. |
| We’ll contact you as soon as we locate it. | 見つかり次第ご連絡します | Thank you. Could you email me as well? |
| Please keep this reference number. | この参照番号を保管してください | Got it, thank you. |
聞き取れなかったときは、聞き返す一文を1つだけ用意しておけば足ります。
Sorry, could you write that down for me?
「すみません、それを書いていただけますか」です。
書いてもらえば、読む時間が生まれます。
ゆっくり言い直してもらうなら、この形です。
Could you say that again more slowly?
「もう一度ゆっくり言っていただけますか」です。
ロストバゲージの英語で避けたい言い方と、言い直しの形
言い方を変えるだけで、話が早くなる場面があります。
| 避けたい言い方 | なぜか | 言い直し |
|---|---|---|
| You lost my bag! | 相手個人を責める形になり、事実確認より先に空気が固くなる | My baggage didn’t arrive. |
| Where is my bag? | この時点では係員も知らないので、答えようがない | Could you check where it is now? |
| I want money. | その場のカウンターは補償の決定権を持っていないことが多い | How do I claim for essentials? |
| (黙って出口へ向かう) | 受取エリアを出ると戻れない空港がある | その場で窓口を探す |
責める言い方をやめるだけで、同じ係員が同じ手続きを、少し丁寧にしてくれます。
ロストバゲージの英語によくある質問
lost baggage と delayed baggage、どちらで言えばいいですか
窓口に着いた時点では、delayed のほうが実態に近い言い方です。
カンタス航空は、21日までの間に到着していない荷物は遅延として扱う、と書いています。
ただし、最初の一言は My baggage didn’t arrive. で構いません。相手が正しい呼び名に置き換えてくれます。
タグの控えを失くしてしまいました
搭乗券と予約番号があれば、そこから記録をたどれることがあります。
窓口では、正直にこう言うのがいちばん早くなります。
I can’t find the tag, but here’s my boarding pass.
次の旅からは、預けたあとにタグの控えをスマホで撮っておくと、この場面がなくなります。
PIRをもらえませんでした
英国民間航空局のページは、PIRを受け取ることが「あります(may receive)」という書き方をしています。
紙ではなく、参照番号だけをメールで送る会社もあります。
大事なのは紙そのものではなく、参照番号が手元にあることです。
Could I have a copy of the report?
「報告書の控えをいただけますか」と聞いておくと安心です。
その日のうちに次の街へ移動します
移動の予定は、窓口で先に伝えてください。
I’m flying to Lisbon tonight. Could you send it there instead?
「今夜リスボンへ飛びます。代わりにそちらへ送っていただけますか」という意味です。
あとから届け先を変えるより、その場で決めたほうが手続きが1回で済みます。
旅行保険と航空会社、どちらに請求すればいいですか
英国民間航空局は、航空会社が実際にかかった費用の全額を支払うとは限らないため、旅行保険に請求したほうがよい場合がある、と書いています。
ただし、保険には免責額があり、英国の例としておよそ40ポンドという数字が挙げられています。
また、保険の請求には期限があることも書かれています。
どちらに出すにしても、先に空港で報告を作っておくことが前提になります。
この1文だけ覚えて帰ってください|ロストバゲージの英語のまとめ
最後に、その場で使う順番に並べ直します。
| 場面 | 言う英語 | 意味 |
|---|---|---|
| 窓口で最初に | My baggage didn’t arrive. | 荷物が出てきませんでした |
| 窓口を探す | Where is the baggage service counter? | 荷物のカウンターはどこですか |
| 状況を足す | I waited at carousel 5, but it never came out. | 5番のベルトで待ちましたが出てきませんでした |
| 荷物を説明する | It’s a medium black hard-shell suitcase. | 中型で黒いハードケースです |
| 乗り継ぎを伝える | I transferred in Dubai. | ドバイで乗り継ぎました |
| 届け先を決める | Could you deliver it to this hotel? | このホテルに届けてもらえますか |
| 買い物代を聞く | Can I buy essentials and claim it back? | 必需品を買って請求できますか |
| 控えをもらう | Could I have a copy of the report? | 報告書の控えをいただけますか |
| 聞き返す | Sorry, could you write that down for me? | すみません、書いていただけますか |
この9つが言えれば、荷物が出てこない日の手続きは最後まで進みます。
そして、そのうち本当に覚えて帰ってほしいのは1文だけです。
My baggage didn’t arrive.
ベルトが止まった瞬間に、この1文が出れば、そこから先は相手の仕事になります。
英語がうまいかどうかではなく、外に出る前に窓口へ行けるかどうかで結果が変わります。
受取エリアを出ずに、壁際の荷物デスクを探してください。
出典=Cambridge Dictionary|baggage/luggage/lost/missing/carousel/reclaim/baggage claim/lost and found/lost property/delay/damage/tag/claim/irregularity(いずれも2026年9月17日取得)
出典=UK Civil Aviation Authority|Lost, delayed or damaged baggage/Your Europe(European Union)|Air passenger rights/Qantas|Delayed, lost or damaged baggage(いずれも2026年9月17日取得)
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