出発の1週間前になって、あわてて「海外旅行 英語 フレーズ」と検索する。
出てきたページには、100個や200個の例文が並んでいます。
上から読んでいくと、3分で心が折れます。
覚えきれる量ではないからです。
問題は数ではなく、順番です。
旅の最中に口を開く回数は、場面によってまったく違います。
1日に10回言う言葉もあれば、10日いても一度も言わない言葉もあります。
それなら、回数の多いものから順に覚えれば、覚える量そのものが減ります。
この記事では、旅の英語を「覚える優先順」に並べ直しました。
語の成り立ちは Wiktionary(英語版)の記述に当たって確かめています。取得日はすべて2026年9月16日です。
海外旅行の英語フレーズは「Excuse me.」「Could I have 〜?」「Sorry?」の3つから覚えます|先に結論
先に結論を書きます。
旅先で使う英語は、この3つを先に覚えると、残りが一気にラクになります。
Excuse me.
「すみません」と声をかけるときの1語です。
Could I have a coffee, please?
「コーヒーをください」という頼み方です。
Sorry?
「もう一度お願いします」と聞き返す1語です。
この3つは、①話しかける ②頼む ③聞き返す という、旅の会話の三拍子にそのまま対応しています。
レストランでも、売店でも、駅の窓口でも、ホテルの廊下でも、この三拍子は変わりません。
逆に言えば、この3つが出てこないと、どんなに例文を覚えていても会話が始まりません。
覚える優先順を、口を開く回数で並べるとこうなります
1回の旅で、だいたい何回その言葉を使うかで並べ替えると、優先順がはっきりします。
| 優先順 | 場面 | 覚える中心の言い方 |
|---|---|---|
| 1 | 人に声をかける | Excuse me. |
| 2 | 頼む・注文する | Could I have 〜? |
| 3 | 聞き取れない | Sorry? / Could you say that again? |
| 4 | 場所をさがす | Where is the 〜? |
| 5 | 値段・数を確かめる | How much is it? |
| 6 | 断る・要らないと言う | No, thank you. |
| 7 | お礼を言う | Thank you. / Thanks a lot. |
| 8 | 謝る | I’m sorry. |
この8つより下は、行き先と過ごし方で人によって変わります。
だから、まずこの8つだけを口が勝手に動くところまで持っていくのが近道です。
海外旅行の英語フレーズが覚えられないのは、phraseを「丸暗記の文」だと思っているからです
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
日本語で「フレーズ集」と言うと、決まった文をそのまま覚えるもの、という感じがします。
ところが、英語の phrase はもともとそういう意味ではありません。
Wiktionary の phrase の項には、名詞の語義としてこう書かれています。
A short written or spoken expression.
「短い、書かれた、または話された表現」です。
文法の用語としては、こう書かれています。
A word or, more commonly, a group of words that functions as a single unit in the syntax of a sentence.
「文の中で1つのかたまりとして働く語、またはより多くの場合は語の集まり」という説明です。
つまり phrase は「文」ではなく「かたまり」です。
かたまりなので、前と後ろに別のものをくっつけて使い回せます。
Could I have というかたまりの後ろに、a coffee でも the bill でも another towel でも置けます。
語源をたどると、この感覚はもっとはっきりします。
Wiktionary によれば、phrase は Late Latin の phrasis(diction=言い回し)を経て、古代ギリシャ語の φράσις(phrásis=manner of expression=表現のしかた)にさかのぼります。
さらにその元は φράζω(phrázō=to tell, express=述べる、表す)という動詞です。
phrase の芯にあるのは「述べ方」であって、「決まり文句」ではありません。
だから、200個の文を丸のみするのではなく、使い回せるかたまりを10個持つほうが、実際の旅では強くなります。
出典=Wiktionary|phrase(2026年9月16日取得)
優先順1|海外旅行の英語フレーズは「Excuse me.」から始めます
旅先でいちばん多く口にする言葉は、注文でも道案内でもありません。
人に声をかける最初の一言です。
店員を呼ぶとき、道をあけてもらうとき、人にぶつかりそうなとき、順番を確かめるとき。
1日のうちに何度も言うのに、日本人はここでいちばん固まります。
理由は、日本語の「すみません」が、呼びかけと謝罪の両方を1語でこなしてしまうからです。
英語はこれを2つに分けます。
| 日本語の「すみません」 | 英語 | 使う瞬間 |
|---|---|---|
| 呼びかけの「すみません」 | Excuse me. | これから声をかける、通してもらう |
| 謝罪の「すみません」 | I’m sorry. | もうやってしまったことを謝る |
| 聞き返しの「すみません?」 | Sorry? | 相手の言葉が聞き取れなかった |
excuse という語の成り立ちを見ると、この住み分けが腑に落ちます。
Wiktionary の excuse の項によれば、ラテン語の ex(out=外へ)と causa(a charge=とがめ)が合わさった excūsāre、直訳すると「free from a charge=とがめから解き放つ」がもとになっています。
Excuse me. は「私をとがめから解いてください」=「ちょっと失礼します」という前置きの言葉です。
これから何かをする前に置く言葉なので、声をかける側が先に言います。
動詞の語義にも、同じ向きのものが並んでいます。
「To forgive; to pardon; to overlook(許す、大目に見る)」、「To allow to leave, or release from any obligation(その場を離れることを許す)」などです。
2つ目の語義は、食事の途中で席を立つときの Excuse me. にそのまま対応しています。
出典=Wiktionary|excuse(2026年9月16日取得)
言い方は1つでよく、強さだけ変えます
相手が近ければ小さく、遠ければ少し大きく。
語尾を上げると呼びかけ、下げると「通してください」に寄ります。
別の言い方を増やすより、この1語を毎回きちんと言うほうが、旅の空気は良くなります。
優先順2|頼む海外旅行の英語フレーズは「Could I have 〜?」ひとつで足ります
注文、追加、交換、お願いごと。
旅の「頼む」は、全部この型に乗ります。
Could I have a coffee, please?
「コーヒーをいただけますか」です。
Could I have の後ろを入れ替えるだけで、場面が丸ごと変わります。
| 頼みたいこと | 言う英語 | 意味 |
|---|---|---|
| 水がほしい | Could I have some water, please? | お水をいただけますか |
| 会計をしたい | Could I have the bill, please? | お会計をお願いします |
| タオルを追加したい | Could I have another towel, please? | タオルをもう1枚いただけますか |
| 袋がほしい | Could I have a bag, please? | 袋をいただけますか |
| 領収書がほしい | Could I have a receipt, please? | 領収書をいただけますか |
| 持ち帰りたい | Could I have a box for this, please? | これを入れる箱をいただけますか |
6つの場面を、覚えた型1つでまかなえています。
これが、さきほどの「phrase=かたまり」の実際の使い方です。
please は最後に置けば安全です
please をどこに入れるか迷ったら、文の最後にコンマを打って足してください。
Wiktionary の please の項には、副詞の語義として「Used to make a polite request.(ていねいな依頼をするときに使う)」とだけ書かれています。
please は意味を足す語ではなく、依頼であることを示す合図の語です。
語源は、ラテン語の placēō(to please, to seem good=喜ばせる、好ましく見える)です。
相手にとって好ましいかどうかを立てる語なので、命令形にくっつけると柔らかくなります。
ただし、Water, please. のように名詞だけに付けると、場面によってはぶっきらぼうに響きます。
Could I have を前に置いてから please を足す。この順番を体に入れておくと迷いません。
なお、同じ項には間投詞としての please も載っていて、「(often with yes) Used as an affirmative to an offer.(申し出に対する肯定の返事として使う)」とあります。
Would you like some coffee? と聞かれて Yes, please. と返すのが、まさにこれです。
出典=Wiktionary|please(2026年9月16日取得)
優先順3|聞き取れなかったときの海外旅行の英語フレーズを先に決めておきます
旅の英語でいちばん怖いのは、話せないことではなく、聞き取れないことです。
こちらの用件は伝わったのに、返ってきた言葉が分からない。
そこで固まってしまい、笑ってごまかして、結局違うものが出てくる。
この事故は、聞き返す言葉を先に決めておくだけで、かなり減ります。
| 状況 | 言う英語 | 意味 |
|---|---|---|
| とにかく聞き返す | Sorry? | すみません、もう一度 |
| ていねいに聞き返す | Could you say that again, please? | もう一度おっしゃっていただけますか |
| 速すぎる | Could you speak more slowly, please? | もう少しゆっくりお願いします |
| 書いてほしい | Could you write it down, please? | 書いていただけますか |
| 意味が分からない | What does that mean? | それはどういう意味ですか |
| 確認したい | You mean 〜, right? | つまり〜ということですね |
この表の下3つは、旅の最後まで使わない人もいますが、上3つは初日から使います。
とくに Could you write it down, please? は、数字と地名に強い1文です。
駅名、金額、便名、部屋番号は、耳で取るより紙で見たほうが確実です。
優先順4|場所をさがす海外旅行の英語フレーズは、国で語が入れ替わります
道や設備をさがす型は、Where is the 〜? の一本でかまいません。
問題は、〜 に入れる語のほうです。
トイレを表す語は、国によって入れ替わります。
Wiktionary の restroom の項には、語義として「A room containing a public toilet(公衆トイレのある部屋)」とあり、ラベルとして US English と Philippine English、そして euphemistic(婉曲表現)が付いています。
語の成り立ちは rest(休息)+ room(部屋)で、もともとは休憩室を指す語から来ている、とも書かれています。
つまり restroom は、アメリカで使われる、直接的な語を避けた言い方です。
イギリスやオーストラリアでは toilet がふつうに使われます。
| さがすもの | 言う英語 | 補足 |
|---|---|---|
| トイレ(米国で) | Where is the restroom? | 婉曲表現として定着している |
| トイレ(英国・豪州で) | Where is the toilet? | そのまま通じる |
| 駅 | Where is the station? | 地下鉄なら the subway station など |
| 両替所 | Where can I change money? | Where is 〜? から型を変える |
| エレベーター | Where is the lift? | 英国では elevator より lift |
| いま地図で見たい | Could you show me on the map? | スマホの地図を見せながら |
迷ったら、Where is the toilet? で押し通しても通じます。
通じないことより、言えずに探し回るほうが損だからです。
出典=Wiktionary|restroom(2026年9月16日取得)
優先順5〜8|値段・断る・お礼・謝罪の海外旅行の英語フレーズ
ここから下は、覚える順としては後ろでかまいません。
ただし、どれも1日に一度は出てきます。
| 場面 | 言う英語 | 意味 |
|---|---|---|
| 値段を聞く | How much is it? | いくらですか |
| 合計を聞く | How much is it in total? | 全部でいくらですか |
| カードが使えるか | Can I pay by card? | カードで払えますか |
| 見ているだけ | I’m just looking, thank you. | 見ているだけです |
| 要らない | No, thank you. | けっこうです |
| お礼 | Thank you so much. | ありがとうございます |
| 謝る | I’m sorry about that. | すみませんでした |
| 大丈夫だと伝える | That’s all right. | 大丈夫です |
断るときは、No. だけで終えず、thank you を必ず足してください。
No. 単体は、日本語の「いいえ」より強く響きます。
語尾に thank you が付くだけで、拒否が辞退に変わります。
海外旅行の英語フレーズで、日本人がやりがちな3つの言い方
ここは、覚えることではなく、やめることの話です。
1|I can’t speak English. と最初に言ってしまう
謙遜のつもりで先に言う人がとても多い1文です。
ところが相手からすると、これは「英語でのやり取りができない」という宣言に聞こえます。
言うなら、こちらのほうが場が進みます。
Sorry, my English is not so good. Could you speak slowly?
「英語があまり得意ではないので、ゆっくりお願いできますか」です。
できないと言い切るのではなく、どうしてほしいかまで言うのがコツです。
2|分からないのに Yes と答えてしまう
聞き取れないまま Yes を重ねると、頼んでいないものが出てきます。
レストランなら追加の皿、店なら保証の付帯、ホテルなら有料の朝食。
分からないときの返事は Yes ではなく Sorry? です。
3|語尾を上げずに単語だけ置く
Toilet. や Water. のように単語だけを置くと、要求に聞こえることがあります。
語を1つ増やすだけで角が取れます。Toilet? ではなく Where is the toilet? と言えば十分です。
場面別に「どの記事を読めばいいか」だけ先に置いておきます
ここまでが、どの場面にも共通する土台です。
そのうえで、場面ごとに固有の語が必要になるところが4つあります。
| 場面 | 固有の語が必要な理由 |
|---|---|
| ホテルのフロント | check in の語義が空港とホテルで混ざる |
| 薬局 | 国によって店の呼び名そのものが変わる |
| 帰りの出国審査 | 職員が聞いてくる質問の型が決まっている |
| 空港と保安検査 | 係員の指示が命令形で速く飛んでくる |
それぞれの詳しい言い方は、別の記事にまとめてあります。
ホテルのフロントは ホテルチェックインの英語を辞書の語義から組み直した記事 に、薬局は 薬局の英語と市販薬の買い方をまとめた記事 に、帰りの出国審査は 出国審査の英語で聞かれることを場面別に並べた記事 にあります。
この記事は、その手前にある「どこでも使う土台」を担当しています。
海外旅行の英語フレーズについてよくある質問
何個くらい覚えて行けばいいですか
この記事の優先順の表にある8つを口が動くところまで持っていければ、旅は回ります。
数を増やすより、同じ8つを声に出した回数のほうが、旅先での出やすさに直結します。
翻訳アプリがあれば覚えなくていいですか
アプリは、書いてある文を訳すのは得意です。
ただ、人に声をかける最初の一言と、聞き返す一言だけは、取り出している間に場面が過ぎます。
アプリを出すための時間を稼ぐ言葉として、Excuse me. と Sorry? を持っておくのが現実的です。
発音が通じるか心配です
短い語ほど通じやすくなります。
長い文を言おうとすると、どこで区切るかが分からなくなって伝わりにくくなります。
3語から5語で言い切る。これだけで通じ方が変わります。
アメリカとイギリスで、覚える言葉を変えるべきですか
土台の3つは同じです。
入れ替わるのは、restroom と toilet、elevator と lift のような、物の名前だけです。
行き先が決まってから、名前の部分だけ差し替えれば足ります。
現地の言葉であいさつだけ覚えるのは意味がありますか
あいさつの1語は、そのあとの英語のやり取りを和らげます。
ただし、あいさつを現地語にすると、相手も現地語で返してきます。
そのときに Sorry? と返せる用意があれば、困りません。
この1文だけ覚えて帰ってください
最後に1文だけ選ぶなら、これです。
Excuse me. Could I have 〜, please?
声をかける言葉と、頼む型が、ひと続きになっています。
〜 のところに、そのとき欲しいものの名前を入れるだけです。
名前が分からなければ、指をさして this と言えば足ります。
そして、返ってきた言葉が分からなければ Sorry? と聞き返す。
この3段構えを持って飛行機に乗れば、旅先で困る回数はかなり減ります。
覚える量を減らすことが、いちばんの準備です。
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