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税関の英語は緑と赤のレーンで変わります|辞書25語と日米英の申告書の原文を読んで、申告するものの有無で言う一文に分けました

荷物を受け取って出口へ歩いていくと、床に緑と赤の線が引かれている場所があります。

スーツケースを押しながら、その手前でほんの数秒だけ足が止まります。

制服を着た人がこちらを見ていて、短い英語で何かを聞いてきます。

聞かれているのは、たいてい「申告するものはありますか」という一言です。

荷物の中にはお土産のお菓子と、頼まれて買った化粧品と、機内で食べ残したチョコレートが入っています。

それを英語でどう言えばいいのかを考え始めた瞬間に、口が止まります。

税関の英語でつまずく理由は、単語を知らないからではありません。

「申告」という日本語が重たいので、長くて正確な文を組み立てなければいけないと思い込んでしまうからです。

この記事では、Cambridge Dictionary で customs・declare・duty・goods・channel など25語を実際に引いて、語義の数をひとつずつ数えました。

あわせて、日本の税関が配っている申告書の様式そのもの(Customs Form C No.5360-B)、アメリカ税関国境取締局(CBP)の申告書の様式(CBP Form 6059B)、CBPの農産物のページ、CBPの現金のページ、イギリス政府の税関案内の2ページを開いて、申告書と掲示に実際どう書かれているかを確かめています。

出典として並べたのは、この記事を書きながら実際に開けたページだけです。

開けなかったページのURLや語義の数は、1行も書いていません。

なお、入国審査官とのやりとり、免税の手続き、荷物を預けるときの言い方は、この記事では扱いません。

ここで扱うのは、税関で申告するときに口から出す英語だけに絞っています。

TOC

税関の英語は「Nothing to declare.」と「I have something to declare.」の2文で足ります|先に結論

税関の前で必要になるのは、この2文です。

Nothing to declare.

申告するものはありません、という意味です。

I have something to declare.

申告するものがあります、という意味です。

この2文のどちらかを選ぶだけで、税関の入口は抜けられます。

Nothing to declare. のほうは主語も動詞も省かれていますが、これは掲示や返事で使う省略の形です。

きちんと文にしたいときは、次のように言えば足ります。

No, I have nothing to declare.

いいえ、申告するものは何もありません、という意味です。

ここで大事なのは、英語の長さではなく、どちらを選ぶかの判断のほうです。

判断の材料は、荷物の中身が「禁止・制限されているもの」か「持ち込みの枠を超えるもの」に当たるかどうか、この2点だけです。

イギリス政府の税関案内は、申告が必要な場面を次の言い方で書いています。

Before crossing the UK border you must tell customs about (‘declare’) any goods: where you go over your allowances, that are banned or restricted

イギリスの国境を越える前に、枠を超える品物と、禁止または制限されている品物について税関に伝えなければならない、という意味です。

枠を超えていない、禁止も制限もされていない、この2つが両方そろったときだけ Nothing to declare. が使えます。

迷ったときは、あとで説明するとおり申告する側に倒したほうが軽く済みます。

出典=GOV.UK|Duty-free goods(2026年9月20日取得)

税関の英語で止まる理由|辞書に並ぶ customs と declare の語義を数えました

customs も declare も、難しい単語ではありません。

それでも口から出ないのは、この2語が背負っている意味の数が多く、そのうち税関で使う意味が真ん中や後ろに置かれているからです。

Cambridge Dictionary で customs を引くと、英英(cald4)の語義が1個、米英(cacd)が2個、ビジネス英語(cbed)が3個、あわせて6個並んでいます。

英英の1個目は「the place at a port, airport, or border where travellers’ bags are looked at to find out if any goods are being carried illegally」です。

港や空港や国境にあって、違法に運ばれている品物がないか旅行者の荷物を見る場所、という意味になります。

つまり customs の第一の意味は「役所」ではなく「場所」です。

ビジネス英語のセクションでは順番が変わり、1個目が「the government department that deals with taxes on goods coming into and leaving a country」になります。

国に出入りする品物の税を扱う政府の部署、という意味で、こちらが日本語の「税関」という組織名に近い使い方です。

同じセクションの3個目には「taxes that are paid on goods that are brought into a country」も載っています。

customs という1語が、場所と、役所と、税金の3つを兼ねている、と覚えておくと掲示が読みやすくなります。

declare のほうは、もっと極端です。

Cambridge Dictionary で declare を引くと、英英の語義が3個、米英が1個、ビジネス英語が5個、あわせて9個並びます。

英英の1個目は「to announce something clearly, firmly, publicly, or officially」で、はっきりと公に宣言する、という意味です。

税関の話に当たるのは2個目の「to officially tell someone the value of goods you have bought, or the amount of money you have earned because you might have to pay tax」です。

税を払う必要があるかもしれないので、買った品物の価値や稼いだ金額を公式に伝える、という意味になります。

ビジネス英語のセクションには、もっと直球の語義が3個目に置かれています。

to tell customs that you are bringing goods into a country on which you have to pay tax

税を払わなければならない品物を国に持ち込むと税関に伝える、という意味です。

declare の税関での意味は、辞書の1個目ではなく2個目や3個目に置かれています。

中学英語で「宣言する」と覚えた語が、空港では「中身を伝える」という事務的な動詞に変わる、この段差が止まる原因です。

ちなみに declare の英英セクションの3個目は、クリケットで攻撃を打ち切るという意味でした。

辞書は場面順には並んでいないので、税関の話を探すときは後ろまで目を走らせる必要があります。

出典=Cambridge Dictionary|customs/Cambridge Dictionary|declare(2026年9月20日取得)

税関の英語に出てくる declare・duty・goods・allowance を、辞書の語義で並べ直します

税関まわりの英語は、似た顔をした語が固まって出てきます。

Cambridge Dictionary で1語ずつ引いて、税関で意味を持つ語義だけを抜き出すと、役割がきれいに分かれました。

語 辞書に載っている語義(抜粋) 税関ではどこに出るか
declare(動詞) to tell customs that you are bringing goods into a country on which you have to pay tax 職員の質問と、申告書の表題
declaration(名詞) a written statement that you sign, giving information or saying that something is true 申告書そのものの名前
duty(名詞) a tax paid to the government, especially on things that you bring into a country 払うことになる税の名前
goods(名詞) things for sale, or the things that you own 申告の対象になる品物の総称
dutiable(形容詞) dutiable goods are goods that you have to pay tax on when you bring them into a country 課税対象だという掲示
allowance(名詞) an amount of goods that you are allowed to buy and take into another country before you have to start paying tax 持ち込める枠のこと
exceed(動詞) to be greater than a number or amount, or to go past an allowed limit 枠を超えたという表現

declare は動詞、declaration は紙、duty は税金、goods は品物、allowance は枠です。

この5語の役割さえ分かれていれば、申告書の表題も掲示も、だいたい読めます。

declaration は、英英の語義が2個、米英が1個、ビジネス英語が4個で、あわせて7個ありました。

そのうち税関の紙に当たるのは、ビジネス英語の2個目「a written statement that you sign, giving information or saying that something is true」です。

署名して出す書面、という定義がそのまま申告書の性質を説明しています。

duty は、英英が3個、ビジネス英語が7個で、税の意味は英英の3個目に置かれていました。

duty の1個目と2個目は「義務」と「職務」なので、税の意味は後ろにいます。

duty-free という掲示の duty は、この3個目の意味です。

goods は、英英が2個、米英が1個、ビジネス英語が2個でした。

英英の1個目が「things for sale, or the things that you own」で、売り物か自分の持ち物か、という広い範囲を指します。

日本語の「商品」よりずっと広く、自分の持ち物まで含む語だと知っておくと、Do you have any goods to declare? と聞かれたときに慌てません。

allowance は、英英が5個、米英が2個、ビジネス英語が7個と数が多く、税関の意味はビジネス英語の3個目にありました。

allowance の1個目は「定期的にもらうお金」なので、小遣いの意味だけを覚えていると税関の掲示で迷います。

出典=Cambridge Dictionary|declaration/duty/goods/dutiable/allowance/exceed(2026年9月20日取得)

緑と赤のレーンに書かれた税関の英語は、3つの言葉を知れば読めます

出口が2つに分かれている空港では、どちらへ進むかを自分で決めることになります。

この分かれ道を英語では channel と呼びます。

Cambridge Dictionary で channel を引くと、英英セクションの語義が10個並んでいました。

1個目はテレビやラジオの放送局、3個目は水路、5個目は連絡の経路です。

空港の話に当たるのは、8個目に置かれている語義です。

a route or way out of an airport or port where travellers’ bags are examined

旅行者の荷物が検査される、空港や港の出口の経路、という意味です。

channel は10個の語義のうち8番目で、ようやく空港の意味になります。

テレビのチャンネルしか思い浮かばないまま掲示を見ると、意味が結びつかないのは当然でした。

イギリス政府の税関案内は、この分かれ道を次のように説明しています。

Most of our ports and airports have two exits or ‘channels’: the red and green channel.

ほとんどの港と空港には、赤と緑という2つの出口、つまりchannelがある、という意味です。

同じページには、出口が1つしかない場所についての説明も続きます。

Some ports and airports only have one exit and a red point phone where you can declare goods.

出口が1つしかなく、品物を申告できる red point phone が置かれている港や空港もある、という意味です。

赤い電話機が置いてあるだけの場所もある、という事実は、掲示を探しても分からないので先に知っておくと安心です。

どちらへ進むかの基準も、同じページに書かれています。

レーン 政府のページの原文 意味
Green channel Use the green channel if you are travelling with goods that: do not go over your allowances, are not banned or restricted 枠を超えず、禁止も制限もされていない品物だけなら緑へ
Red channel / red point phone You must use the red channel or the red point phone if you are arriving and you: have personal goods or cash to declare, have commercial goods to declare, you need to make a declaration 申告する品物か現金がある、または商用の品物があるなら赤へ

緑は「条件を満たしているなら使ってよい」という書き方で、赤は「使わなければならない」という書き方になっています。

use と must use という助動詞の差が、そのまま義務の重さの差になっています。

なお、日本語の解説でよく見る Nothing to declare という句は、Cambridge Dictionary には見出しとして立っていませんでした。

今回開いたイギリス政府のページにも、この句そのものは出てきません。

掲示の文言は国と空港で違うので、ここでは実際に開けたページに書いてある呼び方だけを並べています。

禁止と制限を表す語も、掲示の常連です。

prohibited は Cambridge Dictionary の英英セクションに語義が3個あり、もとの動詞 prohibit は「to officially refuse to allow something」と定義されています。

restricted のほうは英英が3個、ビジネス英語が2個で、1個目は「limited, especially by official rules, laws, etc.」でした。

prohibited は持ち込めない、restricted は条件つきで持ち込める、という違いです。

出典=Cambridge Dictionary|channel/prohibited/restricted/GOV.UK|UK customs information: England, Scotland and Wales(2026年9月20日取得)

税関の申告書に並ぶ英語の欄を、日本とアメリカの実物で1つずつ読みます

申告書は、機内で配られたときに読むと時間が足りません。

欄の名前はほとんど決まっているので、先に日本語をあてておくと、あとは書き写すだけになります。

日本の税関の様式は Customs Form C No.5360-B という番号で、表題は次のとおりです。

CUSTOMS DECLARATION / Declaration of Accompanied Articles and Unaccompanied Articles

税関申告書、携帯品・別送品申告書、という意味です。

その下には、提出についての注意が1行だけ書かれています。

Please fill in the following information and submit to Customs. (Only one written declaration per family is required.)

家族なら書面の申告は1枚でよい、と様式そのものに書かれています。

氏名の欄は「Last name (or Surname)」と「First & middle name」に分かれています。

Cambridge Dictionary で surname を引くと語義は英英に1個で、「the name that you share with other members of your family; last name」と書かれていました。

家族のほかの人と共有している名前、つまり名字です。

given name のほうも英英に1個で、「the name that is chosen for you at birth and is not your family name」でした。

生まれたときに選ばれた名前で、家族の名前ではないほう、つまり下の名前です。

米英セクションではもっと短く、surname が「your last name」、given name が「your first name」と言い換えられています。

surname は last name、given name は first name とそのまま置き換えられる、と辞書が言い切っています。

残りの欄も並べておきます。

日本の様式の欄(原文) 意味 書くときの注意
Flight No./Name of Vessel 便名または船名 搭乗券に印刷されている記号と数字をそのまま写す
Point of embarkation 出発地 乗ってきた空港や都市の名前
Date of Arrival in Japan 入国日 年・月・日の順に欄が分かれている
Address in Japan (Accommodation) 日本での住所(滞在先) ホテル名でよい。電話番号の欄が続く
Nationality 国籍 辞書の語義は「the official right to belong to a particular country」
Occupation 職業 辞書の1個目の語義は「a person’s job」
Passport No. 旅券番号 顔写真のページの右上
Number of Family members Traveling with You 同伴の家族の人数 20歳以上・6歳から19歳・6歳未満の3つに分かれている

質問の欄は3つあり、1つ目は持ち込むものを6項目に分けて聞いてきます。

原文では、麻薬や銃器などの Prohibited item(s)、肉製品や野菜や果物などの Restricted item(s)、金地金、免税の枠を超える Goods (purchases, souvenirs, gifts)、商用の品物や見本、そして人から頼まれて運ぶ荷物、の6つが並んでいます。

6つ目の「人に頼まれて運ぶ荷物」まで質問に入っている点は、見落としやすいところです。

様式の注意書きには、次の1文が置かれています。

Any false declaration or failure to declare may be subject to penalty in laws and regulations concerned.

虚偽の申告や申告しないことは、関係する法令で罰則の対象になりうる、という意味です。

最後の署名欄の上には、宣誓の1文が印刷されています。

I declare that the above particulars are true and correct.

上の記載事項は真実かつ正確であると申告します、という意味です。

アメリカの様式は欄の名前が少し違います

CBP Form 6059B という様式も、表題は Customs Declaration です。

ただし氏名の欄は surname ではなく、1番の欄が「Family Name」、その下が「First (Given)」と「Middle」になっていました。

開いた2つの様式のうち、surname という語を使っていたのは日本の様式のほうだけです。

渡航の目的を聞く欄も、形が違います。

日本語の解説でよく見る purpose of visit という欄は、今回開いた2つの様式のどちらにもありませんでした。

アメリカの様式にあるのは、10番の「The primary purpose of this trip is business:」という質問で、Yes と No のどちらかに印を付ける形です。

この旅行の主な目的は商用ですか、という聞き方になっています。

Cambridge Dictionary で purpose を引くと、英英の語義が5個、米英が4個、ビジネス英語が6個ありました。

英英の1個目は「why you do something or why something exists」で、なぜそれをするのか、という理由そのものを指します。

11番から14番の質問も、そのまま覚えておくと役に立ちます。

番号 質問の原文 意味
11 (a) I am (We are) bringing fruits, vegetables, plants, seeds, food, insects 果物・野菜・植物・種・食品・昆虫を持ち込むか
11 (b) meats, animals, animal/wildlife products 肉・動物・動物や野生生物の製品
11 (d) soil or have been on a farm/ranch/pasture 土、または農場や牧場に行ったか
12 I have (We have) been in close proximity of livestock 家畜に近づいたか(触れた場合を含む)
13 I am (We are) carrying currency or monetary instruments over $10,000 U.S. or foreign equivalent 1万米ドル相当を超える現金や有価証券を持っているか
14 I have (We have) commercial merchandise 商用の品物を持っているか

品物を書き出す欄の名前は「Description of Articles」で、日本の様式では「Description of Accompanied Articles」でした。

goods to declare という欄名は、今回開いた2つの様式のどちらにも印刷されていませんでした。

欄の名前は様式ごとに違うので、覚えるのは語ではなく「何を聞かれているか」のほうです。

出典=日本税関|Customs Form C No.5360-B/U.S. Customs and Border Protection|CBP Form 6059B/Cambridge Dictionary|surname/given name/nationality/occupation/purpose(2026年9月20日取得)

「申告するものはありますか」に答える税関の英語は、1文で終わります

職員が声をかけてくるときの言い方は、ほとんど決まっています。

長い順に並べても、3つしかありません。

Do you have anything to declare?

申告するものはありますか、という意味です。

Anything to declare?

同じ意味の省略形で、現場ではこちらのほうがよく使われます。

Any food or plants?

食べ物や植物はありますか、という意味です。

聞かれ方が短いので、答えも短くて構いません。

答え方を、荷物の中身別に並べておきます。

荷物の中身 言う英語 意味
申告するものがない No, nothing to declare. いいえ、申告するものはありません
申告するものがある Yes, I have something to declare. はい、申告するものがあります
お土産だけ Just some souvenirs for my family. 家族へのお土産だけです
もらい物 These are gifts. これは贈り物です
お菓子が入っている I have some snacks. Is that OK? お菓子が入っています。大丈夫ですか
自分で使うもの They’re all for personal use. すべて自分で使うものです
判断に迷う I’m not sure. Could you check this? 分かりません。これを見てもらえますか

最後の I’m not sure. Could you check this? が、いちばん安全な逃げ道です。

判断できないものを黙って通すより、見せて判断してもらうほうが、あとが軽く済みます。

gift という語も押さえておくと便利です。

Cambridge Dictionary で gift を引くと、英英の語義が6個、米英が2個、ビジネス英語が3個ありました。

英英の1個目は「a present or something that is given」で、贈られたものを広く指します。

アメリカの申告書の説明文には「For gifts, please indicate the retail value.」という指示もあり、贈り物には小売価格を書くよう求めています。

贈り物だから申告しなくてよい、という扱いにはなっていません。

出典=Cambridge Dictionary|gift/CBP Form 6059B(2026年9月20日取得)

食品と植物についての税関の英語は、黙るより言うほうが軽く済みます

税関でいちばん多い行き違いは、食べ物です。

お土産のお菓子や、機内で残したフルーツや、真空パックの肉製品が、そのまま検査の対象になります。

アメリカ税関国境取締局の農産物のページには、次の1文が置かれています。

All agriculture items must be declared and are subject to inspection by a CBP Agriculture Specialist at ports of entry to ensure they are free of plant pests and foreign animal diseases.

すべての農産物は申告しなければならず、植物の害虫や外国の家畜の病気がないことを確かめるために、入国地で検査の対象になる、という意味です。

ここは「申告してもよい」ではなく must be declared と書かれています。

申告しなかった場合についても、同じページに書かれています。

undeclared prohibited agriculture items will be confiscated and can result in the issuance of a civil penalty to the traveler for failure to declare the prohibited item

申告されなかった禁止対象の農産物は没収され、申告しなかったことについて旅行者に民事上の制裁金が科されることがある、という意味です。

一方で、申告したうえで持ち込めないと分かった品物は、入国地に置いていくという選択ができる、とも書かれています。

申告すれば「置いていく」で済み、黙っていると「没収」と「制裁金」に変わる、という差です。

この差を知っているかどうかだけで、税関での行動が決まります。

confiscate という語は、Cambridge Dictionary の英英・米英・ビジネス英語のどのセクションにも語義が1個ずつしかありませんでした。

米英の定義は「to officially take private property away from someone, usually by legal authority」で、法的な権限に基づいて私有財産を取り上げる、という意味です。

似た語の seize は英英に4個の語義があり、3個目が「If the police or other officials seize something, they take possession of it with legal authority」でした。

イギリス側の案内も、食品については厳しい書き方をしています。

From most countries outside the EU, you are not allowed to bring in any meat, honey or dairy products

EU圏外のほとんどの国からは、肉・はちみつ・乳製品を持ち込むことができない、という意味です。

はちみつが名指しで入っている点は、お土産を選ぶときに効いてきます。

日本の申告書でも、2つ目の質問に「Meat products, Vegetables, Fruits, Animals, Plants and other Restricted item(s)」が並んでいます。

肉製品・野菜・果物・動物・植物、そのほかの制限対象品目、という意味です。

食品の話をするときに使える言い方も、短いもので足ります。

言う英語 意味
I have some snacks in my bag. かばんにお菓子が入っています
It’s a packaged snack. No meat inside. 包装されたお菓子です。肉は入っていません
I have some dried noodles. 乾麺が入っています
No meat, no fruit, no plants. 肉も果物も植物もありません
Should I throw this away? これは捨てたほうがいいですか

傷みやすい食品を表す perishable という語も、掲示で見かけます。

Cambridge Dictionary の英英の定義は「Perishable food decays quickly」で、perishableな食品はすぐに傷む、という1文だけでした。

Should I throw this away? の一言があれば、判断そのものを職員に渡せます。

出典=U.S. Customs and Border Protection|Agricultural Items/GOV.UK|UK customs information/Cambridge Dictionary|confiscate/seize/perishable(2026年9月20日取得)

現金についての税関の英語は、国ごとに線がはっきり引かれています

現金の申告は、品物の申告とは別の話として扱われています。

しかも、いくらから申告が必要かという線が、国ごとに数字で決まっています。

今回開いた3つの公的ページには、それぞれ別の数字が書かれていました。

国 申告が必要になる線 原文の表現
日本 100万円相当を超える現金など Cash, Checks (including T/C), Promissory Notes, Securities which exceed the amount of 1,000,000 yen or its equivalent, or precious metals, etc. exceeding 1kg.
アメリカ 1万米ドルを超える額 Federal law mandates that when entering or leaving the United States you must report amounts exceeding $10,000 to U.S. Customs and Border Protection (CBP).
イギリス 1万ポンド相当以上 If you are carrying cash equivalent to £10,000 or more when you enter or leave Great Britain to or from any other country you must declare it.

アメリカは exceeding(超える)、イギリスは or more(以上)と、線の引き方の言葉まで違います。

日本の税関のページには、申告の義務そのものについても書かれています。

All passengers entering Japan are required to declare about your belongings.

日本に入国するすべての旅客は、持ち物について申告することが求められる、という意味です。

アメリカの申告書には、現金そのものは違法ではないという前置きが入っています。

The transportation of currency or monetary instruments, regardless of the amount, is legal.

金額にかかわらず、現金や有価証券を運ぶこと自体は合法である、という意味です。

持っていることが問題なのではなく、報告しないことが問題になる、という構造です。

報告しなかった場合については、同じ様式に続きが書かれています。

Failure to file the required report or failure to report the total amount that you are carrying may lead to the seizure of all the currency or monetary instruments

必要な報告をしないこと、または運んでいる総額を報告しないことは、現金や有価証券のすべての差し押さえにつながりうる、という意味です。

CBPの現金のページも、同じ趣旨をもう一度書いています。

報告しなかった個人は、現金や有価証券が没収され差し押さえられる危険があり、民事または刑事の制裁を受けることがある、という書き方です。

使う書式の名前も決まっていて、アメリカでは FinCEN Form 105 と呼ばれています。

日本の申告書では、現金の質問に Yes と答えた場合に別の書面を出すよう指示されています。

If you choose “Yes”, please submit “DECLARATION OF CARRYING OF MEANS OF PAYMENT, ETC” to Customs.

「はい」を選んだ場合は、支払手段等の携帯輸出・輸入申告書を税関に提出してください、という意味です。

現金の申告は、通常の申告書とは別の紙で行う仕組みになっています。

currency と cash の違いも、辞書で分かれていました。

Cambridge Dictionary の currency は、英英の1個目が「the money that is used in a particular country at a particular time」で、ある国のある時点で使われているお金、つまり通貨そのものを指します。

cash の英英の1個目は「money in the form of notes and coins」で、紙幣と硬貨という形をしたお金です。

currency は通貨の種類、cash は手元にある現物、という分かれ方です。

現金について言うときの英語も、短いもので足ります。

言う英語 意味
I’m carrying cash. Do I need to declare it? 現金を持っています。申告が必要ですか
It’s under the limit. 上限より下です
Where do I declare cash? 現金はどこで申告しますか
Which form should I fill out? どの用紙に記入すればいいですか

なお、ここに挙げた線の数字は、いずれもこの記事を書いた日に公的なページで確かめたものです。

数字も手続きも変わることがあるので、出発の前には必ず各国の税関の公式ページで最新の内容を確かめてください。

出典=日本税関|Procedures of Passenger Clearance/Customs Form C No.5360-B/CBP|Money and Other Monetary Instruments/GOV.UK|UK customs information/Cambridge Dictionary|currency/cash(2026年9月20日取得)

税関の職員が言ってくる英語と、聞き取れなかったときの逃げ方

こちらが言えるようになっても、返ってくる言葉が分からないと止まります。

税関で使われる言い回しは数が少ないので、先に並べておけば耳が拾えます。

職員が言う英語 意味 こちらの動き
Anything to declare? 申告するものはありますか Nothing to declare. か I have something to declare. で答える
Can I see your declaration form? 申告書を見せてもらえますか 紙か画面を渡す
Please open your bag. かばんを開けてください 開けて、手は荷物から離す
What’s in here? この中身は何ですか It’s a gift. などと一言で答える
Is this for personal use? これは自分で使うものですか Yes, it’s for me. と答える
Did you buy this abroad? これは海外で買いましたか Yes, I bought it in Paris. のように場所を足す
Step over here, please. こちらへ来てください ついていく。検査台への案内であることが多い
You’re all set. 手続きは終わりです Thank you. と言って進む

inspect という語は、辞書の英英に3個の語義があり、2個目が「to officially visit a place or a group of people in order to check that everything is correct and legal」でした。

正しく合法かどうかを確かめるために公的に訪れる、という意味で、検査という日本語よりも手続きの色が濃い語です。

baggage も押さえておくと便利で、英英の1個目は「bags, cases, etc. that you take with you when you travel」でした。

聞き取れなかったときは、次の3つのうちどれかを使えば会話が続きます。

Sorry, I didn’t catch that.

すみません、聞き取れませんでした、という意味です。

Could you say that again, please?

もう一度言ってもらえますか、という意味です。

Could you write it down?

書いてもらえますか、という意味です。

この3つを持っていれば、分からないまま黙り込む時間がなくなります。

やらないほうがいい答え方

黙ってうなずくのは、いちばん避けたい動き方です。

質問の内容を取り違えたまま Yes と答えてしまうと、答えた内容が申告そのものになります。

日本の申告書にもアメリカの申告書にも、記載が真実であるという宣誓の1文が印刷されています。

分からないときは、Yes でも No でもなく I’m not sure. と言うほうが正確です。

冗談を言うのも、この場面ではやめておいたほうが無難です。

持ち込みの可否を判断している最中なので、話が長くなるだけで得がありません。

出典=Cambridge Dictionary|inspect/baggage(2026年9月20日取得)

税関の英語についてよくある質問

Nothing to declare. の一言だけで通じますか

通じます。

主語と動詞が省かれた形ですが、Anything to declare? という省略の質問に対する省略の返事なので、形がそろっています。

落ち着いて言いたいときは No, I have nothing to declare. と足してください。

declare と declaration はどう使い分けますか

declare が動詞で、declaration が名詞です。

口で言うときは I have something to declare.、紙を指して言うときは Here is my declaration form. になります。

辞書では declaration のビジネス英語の語義に「a written statement that you sign」とあり、署名する書面であることがはっきり書かれています。

お土産は申告しなくていいのですか

お土産だから申告が要らない、という扱いにはなっていません。

日本の申告書の質問には「Goods (purchases, souvenirs, gifts) exceeding duty-free allowance」と、souvenirs と gifts が名指しで入っています。

アメリカの申告書にも「For gifts, please indicate the retail value.」と書かれており、贈り物には小売価格を記入するよう求めています。

英語が分からないときは黙っていてもいいですか

黙るより、分からないと言うほうが安全です。

アメリカ税関国境取締局の農産物のページは、申告しなかった禁止対象品は没収され、制裁金の対象になりうると書いています。

I’m not sure. Could you check this? と言って見せれば、判断は職員の側に移ります。

免税の枠の金額がこの記事に書かれていないのはなぜですか

枠の金額と数量は、国ごとに違ううえに改定されるからです。

この記事では、実際に開けたページに書いてあった現金の線だけを取得日つきで載せ、品物の枠の数字には触れていません。

枠の数字が必要なときは、渡航先の税関の公式ページで、出発の直前に確かめてください。

税関の英語で、この1文だけ覚えて帰ってください

ここまで25語の辞書の語義と、日本・アメリカ・イギリスの公的なページを並べてきました。

最後に残しておきたいのは、たったこれだけです。

I have something to declare.

申告するものがあります、という1文です。

Nothing to declare. は、条件を満たしているという判断が要るので、実は難しいほうの文です。

I have something to declare. のほうは、判断を職員に渡す文なので、間違えようがありません。

申告して持ち込めないと分かれば置いていけばよく、黙って通せば没収と制裁金に変わります。

この差が、覚える文をこちらに決めた理由です。

中身を聞かれたら These are gifts. か They’re all for personal use. と続けてください。

聞き取れなかったら Could you say that again, please? と返してください。

覚える文は1つ、そこに続きが2つ、聞き返しが1つ、これで税関の英語は足ります。

緑と赤の線の前で立ち止まる時間が、少しでも短くなればうれしいです。

この記事で開いたページの一覧

この記事を書きながら、実際に開いて中身を読んだページだけを並べます。

出典 何を確かめたか
Cambridge Dictionary|customs 3セクション合計6個の語義と、場所・役所・税金の3つの顔
declare/declaration 税関の意味が置かれている語義の位置
duty/dutiable/duty-free 税としての duty の語義と、派生語の定義
goods/gift/baggage 申告の対象になる品物を指す語の範囲
allowance/exceed 枠と、枠を超えることを表す語義
channel 英英の語義10個のうち、空港の出口を指すのが8個目であること
prohibited/restricted/perishable 掲示に出る禁止・制限・傷みやすさの語義
confiscate/seize/inspect 没収・差し押さえ・検査を表す語の語義の数
surname/given name/nationality/occupation/purpose 申告書の欄に出る語の語義
currency/cash 通貨と現物の分かれ方
日本税関|Procedures of Passenger Clearance 全旅客に申告が求められること、現金の申告の線
日本税関|Customs Form C No.5360-B 申告書の欄の名前、3つの質問、宣誓と罰則の文
U.S. Customs and Border Protection|CBP Form 6059B 15項目の欄と質問、現金と農産物についての説明文
CBP|Agricultural Items 農産物は全部申告が必要なこと、申告しない場合の扱い
CBP|Money and Other Monetary Instruments 1万米ドルを超える額の報告義務と、報告しない場合の扱い
GOV.UK|Duty-free goods 申告が必要になる2つの条件
GOV.UK|UK customs information: England, Scotland and Wales 緑と赤のレーン、red point phone、現金と食品の決まり

すべて2026年9月20日に取得しています。

税関の決まりと数字は変わることがあるので、出かける前には渡航先の税関の公式ページで最新の情報を確かめてください。

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