海外のバスで本当に怖いのは、乗るときではありません。降りるときです。
乗るのは、運転手に行き先を見せて、お金かカードを出せば終わります。
ところが降りるときは、誰も声をかけてくれません。
窓の外の景色は知らない街で、次がどこかも分からない。
バスの英語がむずかしく感じるのは、降りる合図の出し方が国ごとに決まっていて、しかもそれが言葉ではないからです。
この記事では、まず辞書に載っている bus・alight・stop・coach の語義を全部数えます。
そのうえで、バス停で待つところから、乗り、払い、降りる合図を出し、実際に降りるまでを、起きる順番に並べ直します。
語義と例文は、Cambridge Dictionary の英語辞典のページを1つずつ開いて数えました。取得日はすべて2026年9月16日です。
乗客が守る決まりは、イギリスの法令データベース legislation.gov.uk に載っている1990年の規則の原文と、アメリカのボストン(MBTA)とシアトル周辺(King County Metro)の交通局が公開している案内に当たって確かめています。
バスの英語は「Does this bus go to 〜?」から始まります|先に結論
先に結論です。
バスで必要な英語は2文だけです。乗る前の確認と、降りる前の確認です。
乗る前は、これを言います。
Does this bus go to the museum?
「このバスは博物館へ行きますか」です。
行き先の語を替えるだけで、どの街でも使えます。
降りる前は、これを言います。
Could you tell me when to get off?
「いつ降りればいいか教えていただけますか」=この1文を乗るときに言っておけば、降りる場所を自分で見張らずに済みます。
この2文の間に起きることは、ほとんど言葉を使いません。
バスで起きることは5つだけ
どの国のバスでも、乗客の側にやることは5つです。
①バス停で待って合図する ②行き先を確かめて乗る ③運賃を払う ④降りる合図を出す ⑤降りる。
このうち、英語を話すのは②だけです。①④⑤は動作で、③はお金かカードで済みます。
以下、順番に見ていきます。
バスの英語でbusの語義8個|2つは「レストランで食器を下げる」
ここが、この記事でいちばん意外なところです。
Cambridge Dictionary の bus のページを2026年9月16日に開いて、載っている語義を1つずつ数えました。
全部で8個ありました。
| busの語義が指しているもの | 個数 |
|---|---|
| 大勢が乗る大型の車(名詞) | 2 |
| 人をバスで運ぶ(動詞) | 2 |
| レストランで使い終わった食器を下げる(動詞) | 2 |
| 子どもを学区外の学校までバスで通わせる | 1 |
| コンピュータの中で情報を運ぶ配線 | 1 |
乗り物としての語義は8個のうち2個で、同じ数だけ「食器を下げる」という意味が載っています。
その語義は、こう書かれています。
to remove dirty plates, glasses, etc. from tables after they have been used by customers in a restaurant, etc.
「レストランなどで客が使い終わったあとの皿やグラスをテーブルから下げること」です。
辞書の例文も、そのまま飲食店の話です。
You have to order at the counter, take your order to a table and bus your own tray.
「カウンターで注文し、料理をテーブルへ運び、自分でトレーを下げてください」=店の貼り紙で見かける表現です。
乗り物のほうの語義は、こちらです。
a large vehicle in which people are driven from one place to another
「人がある場所から別の場所へ運ばれる大型の乗り物」です。
辞書は take the bus という言い方も載せていて、これが「バスに乗る」にあたります。
Did you take the train or go by bus?
「電車で行きましたか、それともバスで行きましたか」=take the bus と go by bus は、どちらも同じ場面で使えます。
降りるの英語はget offかalightか|alightの語義8個のうち乗り物は2つ
海外のバスや駅の表示で、alight という語を見たことがあるかもしれません。
Cambridge Dictionary の alight のページを開いて数えたところ、語義は8個ありました。
| alightの語義が指しているもの | 個数 |
|---|---|
| 燃えている・明るく照らされている・輝いている | 4 |
| 乗り物から降りる | 2 |
| 鳥や虫が舞い降りて止まる | 2 |
降りる意味は8個のうち2個で、いちばん多いのは「燃えている」という形容詞のほうです。
乗り物の語義は、こう書かれています。
to get out of a vehicle, especially a train or bus
「乗り物から、とくに列車やバスから降りること」です。
辞書の例文は、こうなっています。
He helped her alight from the train.
「彼は彼女が列車から降りるのを手伝った」=alight from 〜 の形で使います。
ただし、自分で話すときに alight を使う必要はありません。
日常の会話では get off が使われます。
Where should I get off for the castle?
「お城へ行くには、どこで降りればいいですか」=alight は表示や放送で読む語、get off は自分が言う語、と分けておけば足ります。
バスの中で運転手に話しかけていい場面は2つだけ|イギリスの規則の原文
バスの中で、運転手にどこまで話しかけていいのか迷ったことはありませんか。
イギリスには、乗客の行動を定めた規則があります。
1990年の Public Service Vehicles (Conduct of Drivers, Inspectors, Conductors and Passengers) Regulations です。
2026年9月16日に legislation.gov.uk で原文を開いたところ、第6条に、乗客がしてはいけないことが並んでいました。
その1つがこれです。
No passenger on a vehicle shall … speak to the driver unless (i) in an emergency or on grounds of safety; or (ii) it is to give directions as to the stopping of the vehicle;
「乗客は運転手に話しかけてはならない。ただし、①緊急時または安全上の理由がある場合、②車を停めることについての指示を伝える場合は、この限りではない」です。
つまり、走行中に運転手へ話しかけてよい場面は、規則の上では2つしかありません。
そして、そのうち1つが「ここで降ります」と伝えることです。降車を伝えるのは、規則がはっきり認めている行為です。
同じ規則の第5条には、運転手の側の義務も書かれています。
A driver shall, when picking up or setting down passengers, stop the vehicle as close as is reasonably practicable to the left or near side of the road.
「運転手は乗客を乗せる、または降ろすとき、合理的に可能な限り道路の左側または歩道側に寄せて停めなければならない」です。
picking up が「乗せる」、setting down が「降ろす」=この2語は、案内表示でもよく見かけます。
バスの英語で運賃を払うのは乗った直後|規則が「乗車後ただちに」と書いている
日本のバスには、後払いの路線がたくさんあります。
そこが、海外のバスといちばんずれるところです。
同じイギリスの規則の第7条には、こう書かれています。
immediately on boarding the vehicle, pay the fare for the journey he intends to take to the driver
「乗車後ただちに、これから乗る区間の運賃を運転手に支払うこと」です。
boarding が「乗り込むこと」です。
同じ条には、行き先を伝える義務も書かれています。
declare, if so requested by the driver, inspector or conductor, the journey which he intends to take
「運転手・検札係・車掌に求められた場合は、これから乗る区間を申告すること」です。
だから、乗るときにこう言う必要があります。
Single to the cathedral, please.
「大聖堂まで1人分お願いします」です。
切符を受け取ったあとの決まりも、同じ条に書かれています。
accept and retain for the rest of his journey any ticket which is provided on payment of a fare
「運賃の支払いに対して渡された切符は受け取り、その旅程のあいだ保持すること」=降りるまで捨てないでください、ということです。
なお、この規則は「運賃」という語の条件も決めています。
車内に運賃表があり、その表を見れば自分の区間の金額が分かる状態でなければ、支払った額は運賃として扱われないと書かれています。
金額が分からないときは、車内の運賃表を指さして聞けば、根拠のある話になります。
アメリカのバスの英語|払い方と降車リクエストは交通局が公開している
アメリカでは、交通局が乗り方そのものを図つきで公開しています。
ボストンの MBTA の Beginner’s Guide to the Bus を2026年9月16日に開いたところ、待ち方がこう書かれていました。
Stay a safe distance from the curb. As the bus approaches, try to position yourself near the bus stop sign, where you’ll be most visible to the operator so they know they need to stop.
「縁石から安全な距離を取って立つこと。バスが近づいてきたら、運転士からいちばん見えるバス停の標識のそばに立ち、停まる必要があると分かるようにすること」です。
つまり、手を挙げるかどうか以前に「標識のそばで見える位置に立つ」ことが案内されています。
払い方も同じページに書かれています。
カードは fare box の読み取り面にタッチし、現金の人は紙幣と硬貨を fare box の投入口に入れる、という手順です。
同じ MBTA のバス運賃のページでは、市内路線の片道運賃が $1.70、割引カードでは $0.85 と公開されていました。
同じページには、2026年9月1日から2時間の乗り換え枠の中で乗り換えが可能になる試行が始まる、とも書かれています。
降りる合図は、言葉ではなくボタンかひも
ここが、この記事のいちばん実用的なところです。
MBTA は、降車の合図をこう案内しています。
Stops may be requested by pressing the yellow or gray strips located near the windows of the bus, or the red “Stop” buttons located on vertical handrails.
「降車は、窓のそばにある黄色または灰色の帯を押すか、縦の手すりにある赤い Stop ボタンを押すことで要求できる」です。
シアトル周辺の King County Metro は、別の形を案内しています。
When your stop is next, pull the yellow cord or push a red STOP button.
「自分の降りるバス停が次になったら、黄色いひもを引くか、赤い STOP ボタンを押すこと」です。
降りる出口についても書かれています。
Exit through a side or back door unless you need the front door ramp.
「前扉のスロープが必要な場合を除き、横の扉か後ろの扉から降りること」=降りるときに前へ戻らなくてよい、という意味です。
合図を出し忘れたときは、声で伝えて構いません。
Next stop, please!
「次のバス停でお願いします」です。
バス停の英語はstop|語義31個のうち、バス停を指すのは2つ
stop は、中学校で「止まる」と習う語です。
Cambridge Dictionary の stop のページを開いて数えたところ、語義は31個ありました。
そのうち、バス停を指す語義は2つだけです。
a place where vehicles, especially buses, stop in order to allow passengers to get off and on
「乗客が乗り降りできるように、とくにバスなどの車両が停まる場所」です。
残りの29個は、やめること、機械が動かなくなること、小切手の支払停止、オルガンの音栓、ボクシングの試合終了などを指しています。
そのため、バス停の話をするときは bus stop と2語で言うほうが確実です。
| 言いたいこと | 言う英語 | 意味 |
|---|---|---|
| バス停の場所 | Where is the nearest bus stop? | いちばん近いバス停はどこですか |
| いくつ先か | How many stops is it? | いくつ先のバス停ですか |
| 次で降りる | I’m getting off at the next stop. | 次のバス停で降ります |
| 降り損ねた | I think I missed my stop. | 降りるバス停を過ぎてしまったようです |
How many stops is it? は、降りる場所が分からないときにいちばん効く質問です。数字で返ってくるので、聞き取りやすくなります。
イギリスのcoachは長距離バス|バスの英語で間違えやすい1語
空港から市内へ向かうとき、案内表示に coach と書いてあることがあります。
Cambridge Dictionary の coach のページを開いて数えたところ、語義は20個ありました。
| coachの語義が指しているもの | 個数 |
|---|---|
| スポーツや技能を教える指導者、教え込むこと | 10 |
| 乗り物(長距離バス・馬車・列車の客車) | 6 |
| 飛行機や列車の安い等級の座席 | 4 |
辞書は、イギリス英語について「Br A coach is a bus.」=イギリスでは coach はバスのことだ、とはっきり書いています。
長距離バスのほうの語義は、こうです。
a long motor vehicle with comfortable seats, used to take groups of people on journeys
「座り心地のよい座席を備えた長い自動車で、団体を旅に連れて行くために使われるもの」です。
辞書の例文も、そのまま旅行の場面です。
We’re going to the airport by coach.
「私たちは空港までバスで行きます」=coach station は「長距離バスターミナル」です。
一方でアメリカ英語では、coach は飛行機や列車のエコノミー相当の席を指します。
辞書には fly coach(エコノミーで飛ぶ)という例文も載っています。
同じ1語が、イギリスでは長距離バス、アメリカでは安い席になります。看板で見たときは、どちらの国かで読み替えてください。
運転手が言ってくるバスの英語と、聞き取れなかったときの逃げ方
こちらが話すより、向こうから飛んでくる英語のほうが怖い、という人は多いはずです。
ただ、バスで言われる内容は数が限られています。
| 言われる英語 | 意味 | こう返す |
|---|---|---|
| Where are you going? | どちらまでですか | To the cathedral, please. |
| Single or return? | 片道ですか、往復ですか | Single, please. |
| Exact change only. | おつりは出ません | Sorry, I only have a note. |
| Move down, please. | 奥へ詰めてください | Sorry. |
| This is the last stop. | ここが終点です | Thank you. |
| Alight here for the museum. | 博物館へはここで降りてください | Thank you. |
| Tap your card here. | ここにカードをタッチしてください | Like this? |
Exact change only. は、両替ができない路線で必ず出てくる表示です。小銭を先に用意しておくと、この場面はまるごと消えます。
聞き取れなかったときは、指さしが最短です。
Sorry, could you show me on the map?
「すみません、地図で示していただけますか」=降りる場所の話なら、これでほぼ片づきます。
周りの乗客に聞いてもかまいません。
Excuse me, is this the stop for the museum?
「すみません、博物館へはここで降りるのですか」です。
バスの英語で避けたい言い方と、言い直しの形
単語だけを投げると、相手は推測で動くことになります。
| 避けたい言い方 | 何が起きるか | 言い直し |
|---|---|---|
| Museum? | 行き先か降車地か分からない | Does this bus go to the museum? |
| Stop! | 非常時の合図と取られることがある | Next stop, please. |
| Down! Down! | 降りたいことが伝わらない | I’d like to get off here, please. |
| How much? | どの区間の話か決まらない | How much is it to the cathedral? |
| (黙ってお金を置く) | 行き先が分からず切符が出ない | Single to the cathedral, please. |
とくに Stop! の一語は避けてください。イギリスの規則でも、運転手に非常停止と誤解されうる合図を出すことは禁じられています。
走行中に降りたいと伝えるときは、必ず「次のバス停で」を付けます。
I’d like to get off at the next stop, please.
「次のバス停で降りたいのですが」=これなら、停める場所も一緒に伝わります。
バスの英語によくある質問
手を挙げないとバスは停まりませんか
路線と場所によります。
ボストンの MBTA は、バス停の標識のそばに立って運転士から見えるようにすることを案内しています。
見える位置に立ち、バスが近づいたら運転士と目を合わせる。これが、どの国でもいちばん確実な合図です。
運賃は降りるときに払うのではないのですか
イギリスの規則では、乗車後ただちに払うと定められています。
日本の後払い路線に慣れていると、ここでつまずきます。
乗ったらまず運転手のほうを向いて、行き先を言ってから払う。この順番を体で覚えておいてください。
切符は降りるまで持っていないといけませんか
イギリスの規則には、渡された切符を旅程のあいだ保持することと書かれています。
検札の求めに応じて示すことも、同じ条に並んでいます。
小さな紙なので、ポケットではなく財布に入れておくほうが安全です。
降りるバス停を過ぎてしまったら、どうしますか
次のバス停で降りて、歩いて戻るのがいちばん早い解決です。
I think I missed my stop.(降りるバス停を過ぎてしまったようです)と伝えれば、戻り方を教えてもらえます。
走行中のバスは、バス停以外では停まれません。焦って前へ歩かないでください。
現金しか持っていないときは乗れませんか
路線によります。
ボストンの MBTA は、市内路線の運賃について、カードでも現金でも同じ額だと公開しています。
一方で、両替ができない路線では Exact change only.(ちょうどの額のみ)と書かれています。小銭は先に作っておいてください。
この1文だけ覚えて帰ってください|バスの英語のまとめ
最後に、持ち帰るものを1つだけにします。
Could you tell me when to get off?
これだけです。乗るときにこの1文を言っておけば、降りる場所を自分で見張らずに済みます。
そのあとの流れも、もう一度並べておきます。
| 場面 | 言う英語 | 意味 |
|---|---|---|
| バス停を探す | Where is the nearest bus stop? | いちばん近いバス停はどこですか |
| 行き先を確かめる | Does this bus go to the museum? | このバスは博物館へ行きますか |
| 運賃を聞く | How much is it to the museum? | 博物館まではいくらですか |
| 買う | Single to the museum, please. | 博物館まで1人分お願いします |
| 降りる場所を頼む | Could you tell me when to get off? | いつ降りればいいか教えてください |
| いくつ先か聞く | How many stops is it? | いくつ先のバス停ですか |
| 降りる合図 | Next stop, please. | 次のバス停でお願いします |
| 乗り過ごした | I think I missed my stop. | 降りるバス停を過ぎてしまったようです |
この8つが言えれば、バスの中で困る場面はほとんど残りません。
英語がうまいかどうかではなく、降りる合図の出し方を知っているかどうかです。
合図の形を知っていれば、放送が聞き取れなくても、指1本で意思は伝わります。
出典=Cambridge Dictionary|bus/alight/stop/coach(いずれも2026年9月16日取得)
出典=legislation.gov.uk|The Public Service Vehicles (Conduct of Drivers, Inspectors, Conductors and Passengers) Regulations 1990/MBTA|Beginner’s Guide to the Bus/MBTA|Bus Fares/King County Metro|How to ride(いずれも2026年9月16日取得)
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