旅先で頭が痛くなったとき、いちばん困るのは薬そのものではありません。
薬局が見つからないことと、見つけても何と言えばいいか分からないことです。
しかも、薬局を指す英語は1つではありません。
イギリスで通じる言い方が、アメリカでは別の意味になることもあります。
この記事では、薬局の英語を3つの呼び名から整理して、症状の伝え方、ラベルの読み方、支払いまでを順番に並べます。
語の意味と難易度はCambridge Dictionaryの記述に沿って書きました。
薬そのものの説明は、米国FDA・MedlinePlus(米国国立医学図書館)・英国NHSの記述に沿って書いています。
薬局の英語は国によって3つに分かれます|先に結論
先に結論です。
薬局の英語は、pharmacy・chemist・drugstore の3つです。
いちばん広く通じるのは pharmacy です。
Cambridge Dictionaryは pharmacy を「a shop or part of a shop in which medicines are prepared and sold」と定義しています。
レベルはB1です。
「薬が調製され、売られている店(または店の一部)」という意味なので、国を選びません。
迷ったら pharmacy を使ってください。
出典=Cambridge Dictionary|pharmacy
薬局の英語|chemistはイギリス、drugstoreはアメリカです
残りの2つには、地域の色があります。
chemist(イギリス)
Cambridge Dictionaryは chemist に3つの意味を挙げています。
1つ目は「a person who studies chemistry, or a scientist who works with chemicals or studies their reactions」(化学者)。
2つ目は「a person whose job is to prepare and sell medicines and other goods in a shop」(薬剤師)。
3つ目は「a shop where you can buy medicines, make-up, and sometimes other things such as chocolate」(薬などを売る店)。
レベルは化学者の意味がB1、店・薬剤師の意味がA2です。
同じ辞書のアメリカ英語の欄には、はっきりこう書かれています。
Br A chemist or chemist’s is a drugstore.
「イギリス英語の chemist(または chemist’s)は、drugstore のことだ」という記述です。
つまり、chemist は1語で「化学者」と「薬局」の両方を指します。
ここが、日本人がいちばん驚くところです。
イギリスで「Where is the chemist?」と聞けば薬局を探していると伝わりますが、アメリカで同じことを言うと、化学者を探していると受け取られる可能性があります。
出典=Cambridge Dictionary|chemist
drugstore(アメリカ)
Cambridge Dictionaryは drugstore を「a shop where you can buy medicines, make-up, and other things such as chocolate」と定義しています。
レベルはB1です。
薬だけでなく化粧品やお菓子も売っている、という定義そのものが、アメリカの薬局の姿を表しています。
出典=Cambridge Dictionary|drugstore
3つの使い分けまとめ
- pharmacy=どこでも通じる。迷ったらこれ
- chemist=イギリスで通じる。アメリカでは「化学者」に聞こえうる
- drugstore=アメリカで通じる。日用品も並ぶ大きな店を指すことが多い
なお、スーパーの中に薬のカウンターがあることもあります。
その場合は「the pharmacy counter」と呼べば伝わります。
薬局の英語で最初に言う一文はこれだけで足ります
店に入ったら、最初の一文は短くて構いません。
- Excuse me, I’m looking for something for a headache.(すみません、頭痛に効くものを探しています)
something for 〜(〜に効くもの)という形が、いちばん応用が利きます。
商品名を知らなくても、症状さえ言えれば成立するからです。
- something for a cold(風邪に効くもの)
- something for a sore throat(のどの痛みに効くもの)
- something for an upset stomach(胃の不調に効くもの)
- something for motion sickness(乗り物酔いに効くもの)
- something for allergies(アレルギーに効くもの)
- something for a cough(せきに効くもの)
道を聞くだけなら、こうです。
- Is there a pharmacy near here?(この近くに薬局はありますか)
- Where is the nearest pharmacy?(いちばん近い薬局はどこですか)
薬局の英語で症状を伝える型|「どこが・いつから・どのくらい」
薬剤師に相談するときは、3つを言えば足ります。
どこが痛いか。いつからか。どのくらいか。
どこが
- I have a headache.(頭が痛いです)
- I have a stomachache.(お腹が痛いです)
- I have a sore throat.(のどが痛いです)
- My back hurts.(背中が痛いです)
have a 〜ache と 〜 hurts のどちらでも通じます。
いつから
- Since yesterday.(昨日からです)
- For three days.(3日間です)
since+時点、for+期間、という違いだけ覚えれば十分です。
どのくらい
Cambridge Dictionaryは pain の例文に「Are you in (= suffering from) pain?」を挙げています。
in pain は「痛みがある状態」を指す言い方です。
聞かれたら、こう答えられます。
- Yes, I’m in pain.(はい、痛みがあります)
- It’s not too bad.(そこまでひどくはありません)
- It’s getting worse.(だんだんひどくなっています)
薬局の英語で「処方箋なしで買えますか」と聞く言い方
海外の薬局には、処方箋が要る薬と、要らない薬が並んでいます。
この区別を表す語が over-the-counter です。
Cambridge Dictionaryは、形容詞の over-the-counter を「An over-the-counter drug is bought from a shop without the person who buys it having visited a doctor first」と定義しています。
アメリカ英語の欄では「legally sold without a prescription(= special written instruction from a doctor)」と書かれています。
副詞としての例文は「You can buy most cold remedies over the counter.」です。
出典=Cambridge Dictionary|over-the-counter
米国FDAも、公式ページでこう説明しています。
Over-the-counter medicine is also known as OTC or nonprescription medicine. All these terms refer to medicine that you can buy without a prescription.
OTC、nonprescription、over-the-counter は同じものを指す、という記述です。
出典=U.S. FDA|Understanding Over-the-Counter Medicines
そこで、店で使える一文はこうなります。
- Can I buy this over the counter?(これは処方箋なしで買えますか)
- Do I need a prescription for this?(これには処方箋が要りますか)
prescription の意味も確認しておきます。
Cambridge Dictionaryは prescription を「a piece of paper or an electronic document on which a doctor writes the details of the medicine or other treatment that someone needs」と定義しています。
例文に「These drugs are only available on prescription.」があります。
on prescription(処方箋が要る)という形で使われます。
出典=Cambridge Dictionary|prescription
薬局の英語でいちばん大事なのは商品名ではなく成分名です
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
日本で使っていた薬の商品名は、海外ではまず通じません。
通じるのは、成分名です。
分かりやすい例が、日本でもよく使われる解熱鎮痛成分です。
米国国立医学図書館のMedlinePlusは、acetaminophen のページで「Other names」として APAP/N-acetyl-para-aminophenol/Paracetamol を挙げています。
つまり、アメリカでいう acetaminophen と、イギリスでいう paracetamol は同じものを指します。
同じページには、こう書かれています。
Acetaminophen is used to relieve mild to moderate pain and to reduce fever.
Acetaminophen is available without a prescription, but your doctor may prescribe acetaminophen to treat certain conditions.
出典=MedlinePlus(米国国立医学図書館)|Acetaminophen
英国NHSも、paracetamol のページでこう書いています。
Paracetamol is a painkiller that can be used to treat: headaches, joint swelling and stiffness, symptoms of a cold or flu, such as a high temperature (fever), toothache, sore throat
そして、購入場所についてはこう書かれています。
You can buy most types from shops and pharmacies
出典=NHS|About paracetamol for adults
同じ成分に、国によって2つの名前がある。
これを知っているだけで、旅先の薬局で言葉に詰まる回数がぐっと減ります。
薬の名前をメモしていくときは、商品名ではなく成分名を控えていくのがおすすめです。
薬局の英語でラベルを読む|Drug Factsの見出しは決まっています
アメリカの市販薬の箱には、Drug Facts というラベルが付いています。
見出しの並びが決まっているので、英語が読めなくても、どこに何が書いてあるかが分かります。
- Active ingredient(有効成分)
- Purpose(その成分の働き)
- Uses(何に使うか)
- Warnings(警告)
- Directions(使い方)
- Other information(その他)
- Inactive ingredients(添加物)
FDAは、市販薬について「are safe and effective when you follow the directions on the label and as directed by your health care professional」と書いています。
ラベルの Directions(使い方)に従うことが前提だ、という記述です。
出典=U.S. FDA|Understanding Over-the-Counter Medicines
ラベルを見て分からなければ、その場で聞けます。
- How do I take this?(これはどうやって飲みますか)
- How many times a day?(1日に何回ですか)
- With food or without food?(食後ですか、空腹時ですか)
- Are there any side effects?(副作用はありますか)
⛔ この記事では、具体的な用量は書きません。
体重・年齢・持病・ほかに飲んでいる薬で変わるからです。
必ず、その場の薬剤師か医師に確認してください。
薬局の英語で必ず伝えたい「いま飲んでいる薬」
薬を買うときに、いちばん危ないのは重複です。
英国NHSは、paracetamol についてこう注意しています。
You should also avoid taking paracetamol at the same time as other medicines containing paracetamol, for example, cold and flu remedies. This is because you may take too much, which can be dangerous.
風邪薬などに同じ成分が入っていることがあるので、重ねて飲まないように、という記述です。
出典=NHS|About paracetamol for adults
MedlinePlusにも、acetaminophen が咳・風邪の薬に配合されて売られている、という記述があります。
だから、薬局ではこの2文を必ず言ってください。
- I’m already taking this.(これをすでに飲んでいます)
- I’m allergic to 〜.(〜にアレルギーがあります)
いま飲んでいる薬の箱や、成分名を書いたメモを見せるのがいちばん確実です。
英語で説明しきる必要はありません。
見せるほうが速く、正確です。
薬局の英語|痛み止め・かたち・数量の言い方
痛み止め
Cambridge Dictionaryは painkiller を「a drug that is used to reduce or remove physical pain」と定義しています。
出典=Cambridge Dictionary|painkiller
- Do you have any painkillers?(痛み止めはありますか)
薬のかたち
- tablet(錠剤)
- capsule(カプセル)
- liquid(液体・シロップ)
- ointment / cream(軟膏・クリーム)
- patch(貼り薬)
- eye drops(目薬)
錠剤が飲みにくい方は、こう言えます。
- Do you have this in liquid form?(これの液体のものはありますか)
数量と大きさ
- A small box, please.(小さい箱をお願いします)
- The smallest one, please.(いちばん小さいものをお願いします)
旅先では、量は少なめで十分なことがほとんどです。
薬局の英語|会計で使う言い方
- How much is it?(いくらですか)
- Do you take credit cards?(カードは使えますか)
- Can I have a receipt, please?(レシートをもらえますか)
レシートは必ずもらってください。
海外旅行保険を使う場合に、必要になることがあります。
薬局の英語に出てくる語の難易度をCambridgeで並べます
Cambridge Dictionaryが付けているCEFRレベルは、次のとおりです。
- chemist(薬局・薬剤師の意味)=A2
- chemist(化学者の意味)=B1
- pharmacy=B1
- drugstore=B1
A2は「初級の上」です。
つまり、薬局の英語は語のレベルとしては高くありません。
難しいのは、同じ物に地域ごとの別名があることと、商品名では通じないことの2つだけです。
この2つを知っていれば、あとは中学校で習う文型で足ります。
薬局の英語でやってはいけない3つの伝え方
1|日本の商品名をそのまま言う
まず通じません。
成分名か、症状で伝えてください。
2|「強いのをください」とだけ言う
Give me a strong one. は、伝わりますが、乱暴に響きます。
そして、強さは薬剤師が症状から判断するものです。
症状と経過を伝えるほうが、結果的に適切なものが出てきます。
3|自己判断で複数を同時に買う
前述のNHSの注意のとおり、成分が重なることがあります。
複数買うときは、必ず Can I take these together?(これらは一緒に飲めますか)と聞いてください。
薬局の英語についてよくある質問
Q. イギリスで pharmacy と言っても通じますか
通じます。
Cambridge Dictionaryの pharmacy の定義には地域の限定が付いていません。
chemist はイギリスで使われる言い方、という位置づけです。
Q. 日本から持っていった薬を英語で説明できますか
成分名を英語で控えていけば説明できます。
商品名だけを覚えていくと、薬剤師も判断できません。
Q. 薬剤師に相談してもいいのですか
薬局に薬剤師がいるのは、相談を受けるためでもあります。
Can I speak to the pharmacist?(薬剤師さんとお話しできますか)と聞いてください。
Q. 症状が重いときはどうしますか
薬局ではなく医療機関にかかってください。
薬局で I think I need to see a doctor. Where is the nearest clinic?(医者にかかったほうがよさそうです。いちばん近い診療所はどこですか)と聞けば、教えてもらえます。
まとめ|薬局の英語は、3つの呼び名と1つの発想で足ります
持ち帰る形にまとめます。
- 薬局の英語は pharmacy・chemist・drugstore の3つ。迷ったら pharmacy
- chemist はイギリスの言い方で、アメリカでは「化学者」の意味にもなる
- 症状は
something for 〜の形で言えば、商品名を知らなくても通じる - 処方箋が要るかどうかは over-the-counter という語で聞ける
- いちばん大事なのは商品名ではなく成分名。acetaminophen と paracetamol は同じものを指す(MedlinePlus)
- 同じ成分が風邪薬にも入っていることがある。重ねて飲まない(NHS)
今日ひとつだけ覚えるなら、これです。
Excuse me, I’m looking for something for 〜.
この形さえあれば、単語を1つ入れ替えるだけで、どの不調にも使えます。
この記事の立場について
この記事は、Cambridge Dictionaryの記述と、米国FDA・MedlinePlus・英国NHSの公開情報だけを根拠に書いています。
筆者個人の服薬体験・渡航体験は含めていません。
参考元・出典一覧
- Cambridge Dictionary|pharmacy
- Cambridge Dictionary|chemist
- Cambridge Dictionary|drugstore
- Cambridge Dictionary|over-the-counter
- Cambridge Dictionary|prescription
- Cambridge Dictionary|painkiller
- Cambridge Dictionary|pain
- U.S. FDA|Understanding Over-the-Counter Medicines
- MedlinePlus(米国国立医学図書館)|Acetaminophen
- NHS|About paracetamol for adults
情報確認日
2026年9月8日(各出典ページの記述をこの日に確認しています)
免責事項
この記事は英語の言い方をまとめたものであり、医療上の助言ではありません。
薬の選び方・飲み方・飲み合わせは、必ず現地の薬剤師または医師に確認してください。
薬の名称・分類・販売のきまりは国によって異なります。
症状が重いとき、長引くときは、薬局ではなく医療機関にかかってください。
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