海外のカフェのレジで、後ろに列ができているのを背中で感じながら固まったことはありませんか。
頼みたいものは決まっています。
それなのに、飲み物の名前を言った直後に、サイズ・ミルク・温度・店内か持ち帰りかを次々に聞かれて、そこで言葉が止まります。
カフェの注文が難しいのは、英語が難しいからではなく、レジの前で答えるべき質問が4つも5つも連続するからです。
日本のカフェでも同じ数だけ聞かれていますが、日本語だと考えなくても答えが出ます。
英語になると、1問ごとに頭が止まり、そのたびに列の空気が重くなります。
しかも、カフェで使われる語は、辞書どおりの意味で使われていないものが混ざっています。
この記事では、Longman Dictionary of Contemporary English(ロングマン現代英英辞典)のオンライン版と、英語版Wiktionaryで、カフェに出てくる語を1語ずつ引き直しました。
tall・grande・venti・latte・cappuccino・espresso・americano・flat white・decaf・skinny・regular・takeaway・to go の13語です。
いちばん驚いたのは tall で、ロングマンには語義が5個ありますが、そのどれにも「カフェのいちばん小さいサイズ」という意味はありませんでした。
以下、レジに並んでから飲み物を受け取るまでを、聞かれる順番どおりに組み直します。
カフェの注文の英語は「Can I get a 〜, please?」の1文で足ります|先に結論
覚えるのは、この1文です。
Can I get a latte, please?
「ラテをお願いします」という意味です。
a の後ろを、メニューに書いてある飲み物の名前にそっくり入れ替えるだけで、どのカフェでも使えます。
読み方は「キャナイ ゲッタ ラテイ、プリーズ」で通じます。
サイズが決まっているなら、飲み物の名前の前に入れてしまうほうが速いです。
Can I get a small latte, please?
サイズを先に言えば、サイズを聞き返される1問が消えます。
持ち帰りたいなら、さらに後ろに3語足すだけです。
Can I get a small latte to go, please?
サイズ・飲み物・to go の3つを1文に詰めると、聞かれる質問がほぼ全部先回りで消えます。これがレジの前で止まらないための、いちばん確実な組み立てです。
あとは、この1文に何をどう足せるのかを、語の意味から順番に見ていきます。
カフェの注文の英語で最初に止まるのはサイズ|ventiはイタリア語の「20」でした
飲み物の名前を言うと、たいてい最初に返ってくるのがサイズの質問です。
What size?
「サイズはどうしますか」です。
ここで困るのは、店によってサイズの呼び名がまるごと違うことです。
英語版Wiktionaryで grande を引くと、アメリカ英語のコーヒーのサイズとして「venti より小さく tall より大きい、たいてい16オンス(およそ455ミリリットル)」と書かれています。
語源はイタリア語の grande で、英語の grand と同じ系統の語だと説明されています。
同じくWiktionaryで venti を引くと、「grande より大きく、たいてい20オンス(およそ0.6リットル)」とあり、語源はイタリア語の venti、つまり数字の「20」だと書かれています。
20オンスだから venti です。
名前がそのまま容量を指していたと分かると、急に覚えやすくなります。
ところが tall のほうは、そうはいきません。
ロングマンで tall を引くと語義は5個です。
| 語義の位置 | 辞書の書き方 | 日本語 |
|---|---|---|
| 1番目 | a person, building, tree etc that is tall is a greater height than normal | 人・建物・木などの背が普通より高い |
| 2番目 | 身長や高さを言うときの形(He’s only 5 feet tall.) | 〜の高さがある |
| 3番目(米) | a tall drink contains a small amount of alcohol mixed with a large amount of a non-alcoholic drink | アルコールを少なく割った、背の高いグラスの飲み物 |
| 4番目 | a tall order(別項目) | 無理な注文 |
| 5番目 | tall story / tall tale(別項目) | ほら話 |
5個のどれにも「カフェのいちばん小さいサイズ」はありません。つまり tall を小さいサイズの意味で使うのは、辞書に載っていない店の中だけの呼び名です。
だから、tall が通じないカフェがあるのは当たり前です。
迷ったときは small / medium / large の3語に戻せば、世界中のカフェで通じます。
出典=Wiktionary|grande/Wiktionary|venti/Longman|tall(いずれも2026年9月16日取得)
カフェの注文の英語|飲み物の名前は語源で引くと、中身がそのまま分かります
メニューに並ぶ名前は、ほとんどがイタリア語から来ています。
意味を知らないまま音だけ覚えると、来たものが想像と違ってがっかりします。
ロングマンとWiktionaryで、代表的な6つを引き直しました。
| メニューの名前 | 辞書の説明 | 何が来るか |
|---|---|---|
| espresso | strong black Italian coffee, or a cup of this coffee(語源はイタリア語 caffè espresso =押し出されたコーヒー) | 濃い黒いコーヒーが小さなカップで |
| latte | very strong coffee with a lot of steamed milk in it(語源はイタリア語 caffè latte =ミルクのコーヒー) | ミルクがたっぷり |
| cappuccino | Italian coffee made with hot milk and with chocolate powder on top(語源は修道会のカプチン会) | 泡が立ち、上に粉がのることがある |
| americano | a drink made of espresso coffee diluted with hot water(語源はイタリア語の caffè americano) | エスプレッソをお湯で割ったもの |
| flat white | a cup of coffee made with espresso and hot milk without any bubbles in it | 泡の立っていないミルクのコーヒー |
| decaf | decaffeinated coffee(辞書で informal の印つき) | カフェインを抜いたコーヒー |
この表でいちばん大事なのは、cappuccino と flat white の違いが「泡があるかないか」だという点です。
ロングマンの flat white の説明には、without any bubbles in it(泡が入っていない)とはっきり書かれています。
泡が苦手なら flat white、泡がほしいなら cappuccino と選べます。
decaf は informal の印がついている言い方ですが、カフェでは decaf のほうがふつうに使われます。
夜に頼むときは、飲み物の名前の前に置くだけです。
Can I get a decaf latte, please?
出典=Longman|espresso/Longman|latte/Longman|cappuccino/Longman|flat white/Longman|decaf/Wiktionary|americano(いずれも2026年9月16日取得)
カフェの注文の英語で「ラテ」だけ言うと危ない理由|latteはイタリア語の牛乳です
日本語で「ラテ」と言えば、コーヒーにミルクが入ったものを指します。
ところがロングマンの latte の項目には、語源としてイタリア語の caffè latte が挙がっていて、これは「ミルクのコーヒー」という意味だと書かれています。
latte という部分だけを取り出すと、イタリア語では「牛乳」にあたる語です。
英語圏のカフェでは latte だけでコーヒー入りのものが出てくるので、実害はほとんどありません。
ただし、イタリアで latte と言うと牛乳が出てくる可能性があります。
語の成り立ちを知っていれば、それは店の間違いではないと分かります。
その国で使われている語をそのまま使う、が旅先ではいちばん安全です。
読み方にも落とし穴があります。
日本語の「ラテ」は平らに読みますが、英語では前を強く読んで「ラーテイ」に近くなります。
通じないときは、発音を直すより a latte と a をつけて言い直すほうが早く伝わります。
カフェの注文の英語のカスタム|ミルク・シロップ・温度を1語ずつ足すだけです
カスタムは、難しい構文が要りません。
基本の1文の後ろに、with 〜 をつなぐだけです。
Can I get a latte with oat milk, please?
「オーツミルクでラテをお願いします」です。
ミルクを変える言い方は、単語の入れ替えだけで足ります。
| 言う英語 | 意味 |
|---|---|
| with oat milk | オーツミルクで |
| with soy milk | 豆乳で |
| with almond milk | アーモンドミルクで |
| with skim milk | 脂肪分を抜いたミルクで |
| with whole milk | ふつうのミルクで |
甘さや量を変えたいときも、同じ場所に足します。
| 言う英語 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| with an extra shot | エスプレッソを1杯増やして | 濃くしたい |
| with vanilla syrup | バニラシロップを入れて | 甘くしたい |
| with no sugar | 砂糖なしで | 甘さを止めたい |
| extra hot | 熱めで | ぬるいのが苦手 |
| not too hot | 熱すぎないように | すぐ飲みたい |
| with room for milk | ミルクを足す隙間をあけて | 自分で足したい |
| iced | 冷たいもので | 氷入りがほしい |
冷たいものがほしいときは、飲み物の名前の前に iced を置きます。an iced latte のように、a ではなく an になる点だけ気をつければ大丈夫です。
カスタムは、足す語の数だけ伝わる確率が下がります。まずは1つだけにしておくのが無難です。
カフェの注文の英語に出る紛らわしい3語|skinnyは「痩せた」だけではありません
メニューや店員さんの言葉に、知っている単語なのに意味が取れないものが混ざります。
代表が skinny です。
ロングマンで skinny を引くと語義は3個で、1番目が very thin, especially in a way that is unattractive(見た目がよくないほど痩せている)、2番目がズボンの形、そして3番目が made with skimmed milk(脂肪を抜いたミルクで作った)です。
辞書は3番目の例として a skinny latte を挙げています。
つまりカフェの skinny は、体型の話ではなく「脂肪を抜いたミルクで」という意味です。
次が regular です。
同じ辞書で regular を引くと形容詞の語義は11個あり、そのうち6番目が of a normal or standard size(ふつうの大きさ、標準の大きさ)で、especially American English(とくにアメリカ英語)の印がついています。
辞書の例は a regular Coke です。
日本語の「レギュラーコーヒー」は豆や淹れ方の話ですが、英語の regular はサイズの話です。ここは意味がずれます。
3つ目が short です。
short も、店によっては小さいサイズの呼び名として使われますが、これも辞書の語義から来たものではありません。
店の中だけの呼び名と、辞書に載っている語を分けて考えると、通じなかったときに自分の英語を疑わずに済みます。
出典=Longman|skinny/Longman|regular(2026年9月16日取得)
カフェの注文の英語の最後の関門|For here or to go?
サイズもカスタムも終わったあと、最後にもう1問だけ飛んできます。
For here or to go?
「店内で召し上がりますか、お持ち帰りですか」です。
英語版Wiktionaryで to go を引くと、「店内で食べるのではなく持ち帰れるように、容器や包みに入れて出される」という意味だと書かれています。
同じ項目に、反対の言い方として for here と to stay が挙がっています。
アメリカ英語での言い換えとして takeout と carryout も並んでいます。
イギリス側の語がロングマンの takeaway です。
イギリス英語の印つきで、a meal that you buy at a shop or restaurant to eat at home(家で食べるために店で買う食事)と、a shop or restaurant that sells meals to be eaten somewhere else(よそで食べる食事を売る店)の2つの意味があります。
つまり、持ち帰りの言い方は国によって to go と takeaway に分かれます。どちらを言っても、たいていの店は分かってくれます。
| 聞かれ方 | 店内で飲む | 持ち帰る |
|---|---|---|
| For here or to go? | For here, please. | To go, please. |
| Eat in or takeaway? | Eat in, please. | Takeaway, please. |
| Is that to stay? | Yes, to stay. | No, to go. |
この3行のどれが来ても、答えは2語で終わります。
出典=Wiktionary|to go/Longman|takeaway(2026年9月16日取得)
カフェの注文の英語で名前を聞かれたとき|Can I get a name for that?
注文が終わったあと、まったく別の質問が来ることがあります。
Can I get a name for that?
「お名前をうかがえますか」です。
できあがったときに呼ぶため、カップに名前を書く店で聞かれます。
ここで戸惑うのは、注文の流れに名前が出てくると思っていないからです。
答えは名前だけで足ります。
Yuki. Y-U-K-I.
アルファベットを1文字ずつ添えると、書き間違いで呼ばれなくなる事故が減ります。
日本語の名前が聞き取りにくい国では、短い呼び名を1つ決めておくのも手です。
受け取り口では、この形で呼ばれます。
Latte for Yuki!
自分の名前が変な発音で呼ばれても、飲み物の名前が合っていればそれは自分のものです。
カフェの注文の英語でやらないほうがいい3つ
通じるかどうかとは別に、レジが止まりやすくなる形があります。
1つ目は、サイズを言わずに飲み物だけ言うことです。
サイズの聞き返しが1問増えて、そこで止まります。
small を頭に足しておくだけで、会話が1往復短くなります。
2つ目は、カスタムを一度に3つ以上言うことです。
サイズもミルクも温度もシロップも同時に言うと、どれか1つが落ちます。
3つ目は、聞き取れないまま Yes と答えることです。
For here or to go? は二択の質問なので、Yes では答えになりません。
二択を聞かれていると分かったら、聞こえたほうの語をそのまま返せば成立します。
To go? と聞こえたら To go, please. と返すだけです。
カフェの注文の英語|よくある質問
メニューの名前が読めないときはどうしますか
指さして、これだと言ってしまうのがいちばん速いです。
Can I get this one, please?
読めない名前を無理に読むより、this one のほうが確実に伝わります。
ホットかアイスかは、どう伝えますか
冷たいものは iced、温かいものは hot を飲み物の前に置きます。
Can I get an iced americano, please?
日本語の「アイス」だけでは通じないことがあるので、iced と d の音まで出すと安心です。
カフェインを避けたいときは何と言いますか
decaf を飲み物の前に置きます。
コーヒー以外にしたいときは、こう聞くと選択肢が出てきます。
Do you have anything without caffeine?
店内の席に座っていいかどうか分からないときは
先に確かめてしまえば、あとで動かずに済みます。
Can I sit anywhere?
「どこに座ってもいいですか」という意味で、席が指定される店かどうかを一言で確かめられます。
Wi-Fiのパスワードは、どう聞きますか
注文のついでに聞くのがふつうです。
What’s the Wi-Fi password?
レシートに印字されている店も多いので、渡されたレシートを先に見てみてください。
カフェの注文の英語は、この1文だけ覚えて帰ってください
辞書を13語ぶん引き直して分かったのは、カフェで使われている語の一部は、辞書の語義から来ていないということでした。
tall は5個の語義のどれもサイズを指していませんでしたし、regular は11個の語義のうち6番目だけがサイズの話でした。
通じなかったとき、原因が自分の発音ではなく「その店だけの呼び名」だったことは、思っているよりずっと多いはずです。
だから、持って行くのはこの1文で足ります。
Can I get a small latte to go, please?
small を変えればサイズが変わり、latte を変えれば飲み物が変わり、to go を外せば店内になります。1文で3つの質問に先回りできます。
そして、二択を聞かれたら聞こえたほうの語をそのまま返す。これだけで、レジの前で黙り込む時間はなくなります。
あとは、名前を呼ばれるのを待つだけです。
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