港の窓口で「フェリーに乗りたい」と伝えたとき、英語で最初に返ってくるのが運賃ではなく質問だったという経験は、たぶん一度で終わりません。
相手が言うのは「Foot passenger?」という2語だけです。
聞き取れても、何を聞かれているのかが分かりません。
足の話をされている気がして、つい「Yes?」と答えてしまいます。
そこで相手はうなずいて、車の話を全部飛ばして人の切符だけを出してきます。
レンタカーを港に置いたまま船に乗ることになった人が、実際にいます。
逆に「No」と答えると、今度は車の長さと高さを聞かれはじめます。
日本語の「フェリー」という1語は、人だけで乗る場合と車ごと乗る場合をまとめて指しています。
英語はそこを最初に割ります。
窓口の一言目が質問なのは、割らないと運賃が決まらないからです。
しかも割れるのは運賃だけではありません。
受付の締切時刻も、船に乗ってから立っていい場所も、車で来たかどうかで変わります。
この記事では、Cambridge Dictionary で40語を引きました。
40語すべてに項目があり、英英辞典・米語辞典・ビジネス英語辞典の3欄を合わせて286個の語義が並んでいました。
そのうえで、英国海事沿岸警備庁の海事ガイダンス、米国の連邦規則集、米ワシントン州フェリーの運賃表と切符の規定、米アラスカ州フェリーの規定、カナダのブリティッシュコロンビア州フェリーの案内を開いて、運賃の実額と受付の締切時刻と車両甲板の決まりを原文から拾っています。
出典として並べたのは、書きながら実際に開けたページだけです。
フェリーの英語は「Foot passenger?」への返事から始まります|先に結論
窓口で最初に言う英語は、この1文で足ります。
One foot passenger to Bainbridge Island, please.
人だけで乗ります、行き先はここです、という意味です。
車ごと乗るなら、言う文はこちらに変わります。
One car and driver, please. My car is under twenty feet.
車と運転手で1枚、長さは20フィート未満です、という意味です。
この2文の差が、この記事の全部です。
車の有無で手続きが割れるという一点を先に押さえておけば、あとは数字を足していくだけになります。
なぜ長さを自分から言うのかというと、運賃が長さで決まるからです。
米ワシントン州フェリーの切符の説明には、車の区分がこう書いてあります。
Vehicle fares vary based on a vehicle’s length, height and width
長さ・高さ・幅で運賃が変わります。
同じページには、運転手の扱いもはっきり書いてあります。
Drivers pay a separate fare for themselves and the vehicle
運転手は自分と車のぶんをまとめた別建ての運賃を払う、という意味です。
つまり車と運転手は1枚の切符で、同乗者だけが別の切符になります。
ここを取り違えると、窓口で人数が合わなくなります。
聞かれたことに答えられないときの逃げ方も、先に決めておきます。
Sorry, I don’t have a car. Just me.
車はありません、自分ひとりです、という文です。
この1文だけで、相手は人の切符の側の手続きに切り替えます。
日本語の「フェリー」を英語のferryと訳したときのズレ|辞書に並ぶferryの英語の語義の数
まず ferry という語そのものを辞書で引きます。
Cambridge Dictionary で ferry を引くと、3欄あわせて5つの語義が並びます。
英英辞典の欄が2つ、米語辞典の欄が2つ、ビジネス英語辞典の欄が1つという内訳です。
英英辞典の名詞の語義はこうです。
a boat or ship for taking passengers and often vehicles across an area of water, especially as a regular service
人を運び、そしてしばしば車も運ぶ、水域を横断する船、とくに定期便としてのもの、という説明です。
ここに and often vehicles という挿入が入っているのが重要です。
車を運ぶのは ferry の必須条件ではなく、よくあること、という位置づけになっています。
日本語の「カーフェリー」という語に引っぱられると、この差が見えなくなります。
辞書に載っている例文の並びも、その温度を映しています。
car ferry
passenger ferry
car ferry と passenger ferry が、並んだ2つの型として登録されています。
つまり英語の側では、船の名前じたいが2種類に割れています。
残りの例文も、乗り方を示す前置詞の見本になっています。
We took the ferry to Calais.
We’re going to the Channel Islands by ferry.
They came over on the ferry from Ireland.
take the ferry、by ferry、on the ferry の3つが、辞書の側から提示されています。
交通手段としてひとくくりに言うなら by ferry です。
その便に乗る動作なら take the ferry になります。
船の上にいる状態なら on the ferry です。
窓口で使うのは take のほうで、乗ってからの会話は on のほうに寄ります。
ferry には動詞の項目もあり、英英辞典の欄ではこう定義されています。
to transport people or goods in a vehicle, especially regularly and often
乗り物で人や物を、とくに繰り返し運ぶ、という意味です。
米語辞典の欄では、船の話から離れた例文が付いています。
As parents, we seem to spend most of our time ferrying the kids to and from their friends’ homes.
子どもを友達の家へ車で送り迎えする、という文です。
動詞の ferry は船に限らず、車で何度も往復させる動作まで含みます。
ここが日本語の「フェリー」と一番ずれる部分です。
フェリーの英語でvessel・boat・shipを並べ直したときの語義の数の違い
港で耳に入る船の呼び名は ferry だけではありません。
案内放送は vessel と言い、乗客は boat と言い、掲示は ship と書いていることがあります。
この3語を辞書で数えると、語義の数がそろっていません。
vessel は3欄あわせて8つ、boat は3つ、ship は15個です。
まず vessel の英英辞典の欄には、4つの語義が並びます。
a large boat or a ship
a curved container that is used to hold liquid
a person who has a particular quality or who is used for a particular purpose
a tube that carries liquids such as blood through the body
船、液体を入れる器、ある性質を担う人、血管という4つです。
船の語義は4つのうち1つしかありません。
それでも案内放送が vessel を使うのは、法令と規則の側の用語がこれだからです。
辞書の例文の並びも、その硬さを示しています。
fishing vessel
cargo vessel
naval vessel
patrol vessel
漁船・貨物船・軍艦・巡視船と、どれも業務の側の語です。
次に boat を引くと、3欄あわせて3つの語義しか出ません。
a small vehicle for travelling on water
a ship
水上を進む小さな乗り物、そして船、という2つが英英辞典の欄です。
小さい乗り物が第1語義で、大きい船が第2語義という順番になっています。
ただし例文のほうは、その順番を裏切ります。
I’m taking the boat from Dover to Calais.
ドーバーからカレーへ船で行く、という文です。
これは小舟の話ではなく、英仏海峡のフェリーの話です。
つまり乗客が自分の乗るフェリーを指して boat と言うのは、辞書の例文どおりの言い方になります。
ship は15個と一番多いのですが、その中身は船から離れていきます。
英英辞典の欄の7つのうち、名詞は2つで、動詞が4つ、接尾辞が1つです。
動詞の4つは、どれも荷物や商品を送るほうの意味でした。
to send goods by water, especially by sea
to send goods by air, train, or road, or to be sent in this way
海路で送る、そして空・鉄道・陸路で送る、という2つです。
ship という動詞は、もう船から切れて「発送する」の意味で生きています。
だから乗る話をしているときに ship を動詞で使うと、荷物の話に聞こえます。
名詞の ship に付いていた例文には、乗る動作の見本が入っていました。
They boarded (= went on to) the ship with little time to spare.
ぎりぎりの時間で乗り込んだ、という文です。
辞書が board にわざわざ went on to という注をつけているのは、この語が乗る動作そのものを指すからです。
窓口で使う3語を選ぶなら、船を指すのは ferry か boat、規則の話をするなら vessel になります。
人だけで乗るフェリーの英語|foot passengerという1語の使い方
窓口の一言目に出てくる foot passenger は、辞書に見出し語として立っています。
Cambridge Dictionary で foot passenger を引くと、英英辞典の欄に1つだけ語義があります。
米語辞典とビジネス英語辞典の欄には項目がありません。
その1つの語義が、この記事の核そのものです。
a person travelling on a ferry (= a boat designed for carrying people and often vehicles across an area of water) who is not travelling with a vehicle
フェリーに乗る人のうち、車と一緒に旅していない人、という説明です。
定義の最後の who is not travelling with a vehicle が線引きの本体です。
歩いて乗る人ではなく、車を連れていない人と定義されています。
だから自転車で来た人も、辞書の定義の上では判断が分かれます。
辞書に付いている例文を見ると、この語が使われる場面がさらに絞られます。
A long queue of foot passengers waited to get on the overnight boat from Southampton.
We took the 6 o’clock ferry as foot passengers and arrived in Belgium at 8 o’clock.
どちらも英国から大陸へ渡る便の例文です。
2つ目の文には as foot passengers という形が入っています。
身分として名乗る使い方で、窓口でそのまま真似できる形です。
Two of us, as foot passengers.
2人で、人だけで乗ります、という文になります。
米国やカナダの窓口では、同じ立場を別の語で呼ぶことがあります。
米ワシントン州フェリーの切符の説明は、walk-on という語を使っています。
Tickets are your fare for your ride, either as a walk-on passenger or in a vehicle.
歩いて乗る客か、車の中にいる客か、どちらかの運賃になる、という説明です。
同じ機関の別の規定には、走行する車の中にいる人も in-vehicle passenger として登場します。
米アラスカ州フェリーの規定では、さらに pedestrian passenger という言い方も併記されていました。
Pedestrian passengers must check in at terminal one hour prior to vessel departure and be aboard at least 15 minutes prior to departure
徒歩の客は出港1時間前に受付し、15分前には乗船していること、という規定です。
つまり同じ立場に呼び名が3つあり、foot・walk-on・pedestrian が並びます。
英国側の掲示は foot passenger で、米国側の掲示は walk-on に寄ります。
どちらの窓口でも通る安全な言い方は、車が無いことをそのまま言う形です。
No vehicle. Two adults, please.
車はなし、大人2人ぶん、という文です。
車ごと乗るフェリーの英語|vehicleとdriverが1枚の切符になる言い方
車ごと乗るときに窓口で聞かれるのは、台数ではなく寸法です。
米ワシントン州フェリーの切符の説明は、車を4つの区分に割っています。
Motorcycles: Includes vehicles under 8 feet long.
Small vehicles: Under 14 feet long
Standard vehicle: Under 22 feet long, includes most non-commercial vehicles including many trucks.
Vehicle length-based fare: 22 feet and longer
8フィート未満、14フィート未満、22フィート未満、22フィート以上という4段です。
日本で走っている乗用車の多くは、14フィート未満か22フィート未満のどちらかに入ります。
高さと幅の線も、同じページに数字で書かれていました。
Vehicles over 7 feet 6 inches in height are considered over height. Vehicles more than 8 feet 6 inches wide are considered too wide to travel without special arrangements.
高さ7フィート6インチ超が over height、幅8フィート6インチ超は特別な手配なしでは乗れない、という規定です。
ルーフに何か積んでいると、この線を越えることがあります。
カナダのブリティッシュコロンビア州フェリーは、標準車の線を別の数字で引いています。
Vehicles under 7 ft. (2.13 m) high and less than 20 ft. (6.10 m) long are considered standard vehicles.
高さ7フィート未満、長さ20フィート未満が standard vehicle、という区分です。
同じ標準車という語なのに、州と会社で線が違います。
だから窓口では、区分名ではなく実寸を言うほうが早く終わります。
It’s a rental car, about 4.6 metres long and 1.5 metres high.
レンタカーで、長さ4.6メートル、高さ1.5メートルほどです、という文です。
運賃の実額も、州のサイトの運賃表で確かめられます。
シアトルとベインブリッジ島を結ぶ便の運賃は、次のとおりです。
Adult (age 19 – 64) $11.35
Vehicle Under 14′ (less than 168”) & Driver $21.30
Vehicle Under 22′ (standard veh) & Driver $27.00
Motorcycle & Driver / Stowage Fare $11.80
大人ひとり11.35ドル、14フィート未満の車と運転手で21.30ドル、標準車と運転手で27.00ドルです。
運転手が車の運賃に含まれているので、2人で車に乗ってきたら27.00ドルと11.35ドルの合計になります。
同じページには、自転車を持ち込む大人の追加料金も書かれていました。
Bicycle Surcharge Only (19 and over) $1.00
19歳以上の自転車持ち込みで1.00ドルという上乗せです。
運賃の集め方そのものにも、この路線には断り書きが付いています。
Passenger and vehicle/driver fares are collected at Seattle, while vehicle/driver only fares are collected at Bainbridge Island.
シアトル側では人も車も集め、島の側では車と運転手のぶんだけ集める、という意味です。
帰りの島側で人の運賃を払わされないのは、行きに往復ぶんを払っているからです。
借りた車をそのまま船に載せる前に確かめておきたい言葉は、レンタカーのカウンターで聞かれる順に保険と給油と返却の言葉を並べた記事にまとめてあります。↓

車の長さは、借りた店の書類か取扱説明書に書いてあります。
米ワシントン州フェリーの側も、そこを見ろと指定しています。
Check your owner’s manual for your vehicle length. You cannot redeem your ticket if it is for the wrong length vehicle.
長さが違う切符は使えません。
見た目で申告して足りなかったときは、窓口でやり直しになります。
乗り込むときのフェリーの英語|boardとembarkとaboardの語義の数
切符を買い終えると、次に耳に入るのは乗り込みの合図です。
そこで飛んでくる語が board・aboard・embark の3つに分かれます。
Cambridge Dictionary で board を引くと、3欄あわせて40の語義が並びます。
英英辞典の欄が19、米語辞典の欄が8、ビジネス英語辞典の欄が13という内訳です。
この記事で引いた40語のうち、いちばん語義が多いのがこの board です。
英英辞典の19のうち、名詞が13、動詞が6です。
名詞の13個は、板・ゲーム盤・黒板・掲示板・飛び込み台・アイスホッケーのフェンス・舞台・役員会・米国の資格試験・乗り物の上・チームの一員・賛成している状態・下宿の食事と続きます。
船の話に使えるのは、そのうちの1つだけです。
on a boat, train, or aircraft
on board の board が、この語義に当たります。
動詞の6つのうち、乗る意味はやはり1つです。
to get onto or allow people to get onto a boat, train, or aircraft
残る5つは、下宿する・寄宿する・ペットを預ける・スノーボードで滑る・ホッケーで相手を壁にぶつける、という意味でした。
40個の語義のうち、船に乗る意味は2つだけです。
それでも掲示と放送が board を使うのは、飛行機・電車・船で同じ語が通るからです。
ここで取り違えやすいのが boarding という語のほうです。
Cambridge Dictionary の見出し語 boarding には4つの語義があります。
boards that have been fastened side by side to each other
in ice hockey, the act of violently pushing a player against the boards surrounding the ice surface
the sport of snowboarding
the sport or activity of riding a skateboard
板を並べたもの、ホッケーの反則、スノーボード、スケートボードの4つです。
船に乗ることは1つも入っていません。
港の掲示に出る Now boarding は、この見出し語ではなく動詞 board の進行形です。
同じつづりで別の語なので、辞書を引いて「スノーボードの意味しか無い」と迷う必要はありません。
次に embark を引くと、3欄あわせて4つの語義が出ます。
英英辞典の欄が1つ、米語辞典の欄が1つ、ビジネス英語辞典の欄が2つです。
to go onto a ship
We embarked at Liverpool for New York.
英英辞典の欄は、船に乗るという意味ひとつしか立てていません。
語義が1つしかない語は、意味が割れないぶん安全です。
ただし例文がリバプールからニューヨークへの船旅なので、1時間の航路にはやや重い語になります。
対になる disembark も4つで、こちらは降りるほうです。
to leave a ship, aircraft, etc. after a journey
ビジネス英語辞典の欄には、貨物を降ろす側の語義も立っています。
最後に aboard を引くと、3つの語義が出ます。
on or onto a ship, aircraft, bus, or train
Welcome aboard flight BA345 to Tokyo.
The train’s about to leave. All aboard!
残る1つは野球で走者が塁に出ている状態を指す語義でした。
All aboard! は、乗る人は全員乗ってくださいという合図です。
この一言が出たら、売店にいる場合ではありません。
ここで1語だけ落とし穴があります。
onboard を1語でつなげて引くと、語義は1つしか出ません。
to give new employees the knowledge and skills they need to become effective members of an organization
新入社員を戦力にする、という人事の動詞です。
onboard と1語で書くと船の話から外れます。
船にいることを言うなら on board と2語に割るか、aboard を使います。
自分から言う文は、この1つで足ります。
Can we board now?
もう乗れますか、という意味です。
船内で居場所を聞くフェリーの英語|deckとcabinとloungeの言い方
乗ってしまえば、次に困るのは自分がどこにいればいいのかという問題です。
階の呼び方と部屋の呼び方が、日本語とずれています。
deckの語義11個のうち船は2つ
deck は3欄あわせて11の語義がありました。
英英辞典の欄が7、米語辞典の欄が4という内訳です。
英英辞典の欄は名詞が5つ、動詞が2つです。
a flat area for walking on, built across the space between the sides of a boat
one of the floors of a bus
a wooden floor built outside, where people can sit and relax
on a level of a ship below the main deck
a set of cards used for playing card games
船の甲板、バスの階、家の外のウッドデッキ、主甲板より下の階、トランプ一組の5つです。
船を指すのは1つ目と4つ目で、残る3つは船から離れます。
動詞の2つは、飾りつけると殴り倒すでした。
例文の並びも、船と船以外を行き来します。
on deck We sat on deck until it was dark.
the upper/top deck of the bus
Our cabin was below decks.
1つ目は暗くなるまで甲板に座っていた、という文です。
on deck に the が付いていないのが大事な点です。
外の甲板にいると言うときは on deck で、the を入れません。
3つ目の below decks は、主甲板より下にいるという言い方です。
米語辞典の欄は、船の甲板を床として定義しています。
A ship’s deck is a floor laid between the sides of the ship
Waves washed over the deck.
フェリーの案内では、この語が階の名前として使われます。
車を置く階が car deck か vehicle deck、屋外の上の階が sun deck か upper deck です。
自分の車がどの階なのかを聞く文は、この形になります。
Which deck is my car on?
私の車はどの階ですか、という意味です。
cabinは寝る部屋・loungeは座る部屋
cabin は3欄あわせて6つの語義がありました。
英英辞典の欄が4つ、米語辞典の欄が2つです。
a small, simple house made of wood
a small room where you sleep in a ship
the area where passengers sit in an aircraft
a small separate space for someone to work in, inside a larger office
木の小屋、船で寝る小部屋、航空機の客室、事務所の中の個室の4つです。
船の cabin は寝るための部屋と定義されています。
だから数時間の航路で cabin を頼むと、相手は寝台の話だと受け取ります。
座るだけの場所を指す語は lounge のほうです。
lounge は3欄あわせて4つで、英英辞典の欄は2つでした。
a room in a hotel, airport, theatre, etc. where people can relax or wait
an airport lounge
くつろぐ、または待つための部屋という定義です。
船の中の座席区画も、この語で案内されます。
座席の形を聞くなら reclining という語が要ります。
reclining の語義は2つで、どちらも後ろに倒れる状態を指します。
(of a chair) able to be moved so that the back is in a nearly horizontal position
The bus has air conditioning and reclining seats.
背もたれが水平近くまで倒せる椅子、という定義です。
寝台そのものを指す語は berth になります。
berth は3欄あわせて4つで、英英辞典の欄の1つ目がこの意味です。
a bed in a boat, train, etc., or a place for a ship or boat to stay in a port
She booked a berth on the ferry from Palermo to Naples.
例文は、パレルモからナポリへのフェリーで寝台を予約した、という文です。
berth は寝台と停泊位置の両方を指す1語です。
窓口で berth と言えば寝台、船の位置の話なら停泊場所、と文脈で割れます。
夜行の便で座席の種類を聞く文は、この形にまとめられます。
Is there a cabin with a berth, or only reclining seats?
寝台つきの部屋はありますか、それともリクライニングの座席だけですか、という意味です。
車両甲板に戻れないフェリーの英語|公的な規則で引かれた線
車ごと乗った人がいちばん驚くのが、航海中に自分の車へ戻れないという決まりです。
これは会社ごとのサービスの差ではなく、条約と各国の規則で引かれている線です。
英国海事沿岸警備庁の海事ガイダンス MGN 341 は、SOLAS 条約の条文をそのまま引いています。
In all ro-ro passenger ships, the master or the designated officer shall ensure that, without the expressed consent of the master or the designated officer, no passengers are allowed access to an enclosed ro-ro deck when the ship is under way.
航行中の閉じた車両甲板には、船長か指名された職員の明確な許可なしに乗客を入れてはならない、という条文です。
同じガイダンスは、許可を出してよい場面を4つに絞っています。
1つ目は、航海の終わりに乗客を順序よく動かすためで、船が停泊位置から船体2隻ぶんの距離より近いときだけです。
2つ目は、特別な事情のある個々の乗客が、乗組員に付き添われて短時間だけ入る場合です。
3つ目は、移動に重い支障のある人が、旅の前に特別な手配をしてある場合です。
4つ目は、とても短い航路で、すべての車が開いた甲板に積まれている場合です。
緊急時を除けば、許されるのはこの4つだけです。
同じガイダンスの運用手順の章にも、同じ線が書き直されています。
passengers should not be allowed access to vehicle decks once a vessel is underway
こちらは燃料の漏れを防ぐための手順の一項目として並んでいます。
同じ章には、扉が開く前にエンジンをかけないよう警告する掲示を出すことも並んでいました。
北米側も、同じ線を別の言葉で引いています。
米アラスカ州フェリーの旅客規定は、根拠を沿岸警備隊の規則に置いています。
U.S. Coast Guard regulations restrict passenger access to the car deck while the vessel is underway.
航行中の車両甲板への立ち入りは制限される、という規定です。
同じ規定には、長い航路ではおよそ8時間ごとに15分のペット用の時間を設ける、という運用も並んでいます。
カナダのブリティッシュコロンビア州フェリーは、車に残ること自体を禁じる書き方をしています。
Passengers are prohibited from remaining in their vehicle on any closed lower deck on a vessel that is underway.
During a sailing you can only stay in your vehicle if you are placed on the upper vehicle deck.
閉じた下の階では車に残れず、車にいられるのは上の車両甲板に置かれたときだけです。
つまり、どの階に停められるかは自分では選べません。
だから車を降りる前に、必要なものを全部持って出る必要があります。
忘れたことに気づいたときに言う文は、この2つです。
Can I go back to my car during the crossing?
I left my medicine in the car. Is that possible?
航海中に車へ戻れますか、薬を車に置いてきましたが可能ですか、という文です。
2つ目の形にしておくと、乗組員が付き添う例外に当てはめてもらえることがあります。
ここで使った crossing という語も、辞書で数えておきます。
crossing は3欄あわせて4つで、英英辞典の欄が2つ、米語辞典の欄が2つです。
a place where a road, river, or border can be crossed
a journey across a large area of water, from one side to the other
渡る場所そのものと、水域を渡る旅の2つです。
米語辞典の欄の2つは踏切と横断歩道なので、船の意味は英英辞典の欄にしかありません。
辞書の例文も、船酔いの話でした。
rough crossing It was a really rough crossing – I threw up three times.
荒れた航海で3回吐いた、という文です。
同じ旅を voyage と呼ぶと、語感が変わります。
voyage は3つの語義で、英英辞典の欄の名詞は長い船旅と定義されていました。
a long journey, especially by ship
例文に並ぶのは maiden voyage、ocean voyage、sea voyage です。
1時間の航路を voyage と呼ぶと、大航海の響きになります。
短い便は crossing、長い船旅は voyage、と分けておけば足ります。
受付の締切で決まるフェリーの英語|check inとportの言い方
フェリーで最初に落とすのは切符ではなく、受付の締切時刻です。
米アラスカ州フェリーの旅客規定は、徒歩の客と車の客で締切を分けています。
Passengers traveling without vehicles must check in 2 hours prior to departure in Bellingham, and Juneau and 1 hour prior to departure at all other ports.
車のない客は、ベリンガムとジュノーでは2時間前、それ以外の港では1時間前の受付です。
車の客はさらに早く、ベリンガム・ホーマー・ジュノー・ウィッティアの一部の便で3時間前の受付になります。
同じ規定は、保安検査と乗船の締切も別に立てています。
Passengers must pass through security inspection at least thirty minutes prior to boarding.
Any walk-on passenger, not checked in, screened and boarded 15 minutes prior to departure, may be denied passage.
検査は乗船の30分前まで、乗船は出港の15分前までで、遅れれば乗せてもらえません。
締切は受付・検査・乗船の3段階で別々に切られます。
米ワシントン州フェリーの側は、買った切符の有効期間を切符情報のページで区切っています。
They are valid for 90 days, except for free youth tickets, which are valid for six hours.
往復の切符は90日間有効で、無料の子ども用だけが6時間です。
窓口で締切を確かめる文は、この2つで足ります。
What time do I have to check in?
How early should I be here with a car?
何時までに受付すればいいですか、車だと何分前に来ればいいですか、という意味です。
同じ「何分前に並ぶか」を空港の側で数えた話は、空港チェックインの締切時刻と、カウンターで交わす15の言い方にまとめています。↓

受付をする建物の呼び名も、辞書で数えておきます。
terminal は3欄あわせて13の語義で、英英辞典の欄は6つです。
その6つのうち3つは「末期の」「死に至る」「ひどい」という形容詞でした。
建物を指すのは名詞3つのうちの1つだけです。
the area or building at a station, airport, or port that is used by passengers leaving or arriving by train, aircraft, or ship
駅・空港・港で、発着する客が使う区域か建物、という定義です。
port のほうは3欄あわせて12の語義がありました。
英英辞典の欄の5つは、港町と港・パソコンの端子・船の左舷・ポートワイン・入れ物です。
船の上で port と言うと左舷の意味に寄ります。
港そのものを指したいときは ferry terminal と言うほうが安全です。
相手が言ってくるフェリーの英語|返ってくる文と聞き取れないときの逃げ方
窓口で飛んでくる質問は、数えると5つに収まります。
Foot passenger or vehicle?
How long is your vehicle?
Single or return?
Are you travelling with a pet?
Any bicycles?
3つ目の single or return は、片道か往復かを聞く英国側の言い方です。
米国側では one-way か round trip に置き換わります。
Cambridge Dictionary の fare の項目も、この言い方に US という地域の札を付けていました。
US a one-way/round trip fare
辞書の側が地域を分けている以上、両方を耳に入れておくほかありません。
聞き取れなかったときに出す文は、短いほど早く解決します。
Sorry, could you say that again?
Could you write the price down?
金額と時刻は、紙に書いてもらうほうが確実です。
聞き返す一言そのものの選び方は、Sorry?とPardon?のどちらが失礼にならないかを語義23個で数えた記事で確かめられます。↓

乗り込みの直前には、船と陸をつなぐ板の名前が放送に出ます。
gangway は3欄あわせて5つの語義で、英英辞典の欄は3つでした。
a passage between rows of seats, for example in a cinema or bus
a board or passage that joins a ship, aircraft, or building to the land
something you shout when you want people to move out of your way
座席の間の通路、船と陸をつなぐ板、そして「どいて」という掛け声の3つです。
Gangway! と叫ばれたら、通路を空けるという意味です。
通路という訳だけを覚えていると、この一言で固まります。
フェリーの英語でやりがちな取り違え|cruiseとportの呼び分け
cruiseとferryの分かれ目は目的
cruise は3欄あわせて11の語義で、英英辞典の欄が7つ、米語辞典の欄が4つです。
英英辞典の欄の名詞は1つだけでした。
a journey on a large ship for pleasure, usually with accommodations for the passengers, and stopping at several places
楽しみのための船旅、という定義に for pleasure が入っています。
一方の ferry の定義には especially as a regular service という但し書きが入ります。
cruiseは遊び、ferryは定期便という切れ目です。
港で I’m on a cruise. と言うと、客船の乗客だと受け取られます。
動詞の cruise は6つのうち4つが船と無関係で、車で流す・ぶらつく・楽勝する・相手を探して歩く、という意味でした。
port・harbour・quay・dockの分担
harbour は3欄あわせて5つで、英英辞典の名詞は1つだけです。
an area of water next to the coast, often protected from the sea by a thick wall, where ships and boats can shelter
残る3つは動詞で、恨みを抱く・かくまう・菌を持つ、という意味でした。
quay は3欄あわせて3つで、どの欄も石造りの係留用の構造物という同じ定義です。
語義が3欄で割れない語は、言い間違えようがありません。
dock は3欄あわせて18で、英英辞典の欄が8、米語辞典の欄が4、ビジネス英語辞典の欄が6でした。
この18の中には、法廷の被告席と、給料を減らすという動詞も混ざります。
in the dock は法廷に立つという意味なので、港の話と取り違えると通じません。
切符を買う場所は ferry terminal、船が着く構造物は quay か dock、波の静かな水域は harbour と分けます。
ここまで20語を引いて語義を数えてきましたが、フェリーの英語を決めているのは船の呼び名ではありませんでした。
決めているのは、車を連れているかどうかという一点です。
だから窓口で最初に返す言葉は Foot passenger. か Vehicle, please. の二択に収まります。
そのあとに飛んでくる single or return? は、駅の切符売り場でもそのまま出てくる形です。
あわせて読みたいのは、singleとreturnの語義を数えて窓口で言う1文に決めた記事です。↓

参考文献
- ferry(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- foot passenger(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- vessel(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- boat(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- ship(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- board(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- embark(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- aboard(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- deck(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- cabin(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- lounge(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- crossing(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- voyage(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- terminal(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- port(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- cruise(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- harbour(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- quay(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- dock(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- fare(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- MGN 341 (M) Ro-Ro Ships Vehicle Decks – Accidents to Personnel, Passenger Access and the Carriage of Motor Vehicles(英国海事沿岸警備庁 MCA・GOV.UK 公式サイト)
- Passenger Regulations(米アラスカ州運輸公共施設局 アラスカ海洋ハイウェイ 公式サイト)
- Driving Onboard(カナダ BC Ferries 公式サイト)
- Ticket information(米ワシントン州交通局 ワシントン州フェリー 公式サイト)
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