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映画館の英語はTwo for the seven o’clock show, please.で足ります|辞書48語と英BBFC・米MPAの原文を読んで並べ直しました

旅先で半日ぶんの時間が余って、映画館に入ろうと決めた瞬間から、目に飛び込んでくる英語の量がいきなり増えます。

通りの角にある建物の入口には CINEMA と書いてあり、2つ先の通りの建物には THEATER と書いてあります。

どちらも映画をやっている場所なのか、片方は舞台の劇場なのかが、看板だけでは決めきれません。

中に入ると、天井から下がった画面に題名と時刻がずらりと並んでいます。

並んでいるのは題名と時刻だけではありません。

題名のうしろに OV、OmU、SUB、DUB といった短い記号が付いている行があります。

その記号で何かが変わることは伝わるのに、どちらが原語でどちらが吹き替えなのかが読み取れません。

券売機の画面に進むと、今度は ADULT と CONCESSION という2つのボタンが並びます。

大人の券と、もう片方の券の違いが分からないまま、指が止まります。

窓口に並び直すと、係の人が Which row? と聞いてきます。

row が列なのか行なのか、頭の中の切り替えが一瞬で終わりません。

画面に出た座席表は、上下で STALLS と CIRCLE に分かれています。

どちらが1階でどちらが2階なのかが、文字からは決まりません。

売店の前まで来ると、天井の文字が REFRESHMENTS と光っています。

手に持っているペットボトルを持ったまま入っていいのかどうかも分かりません。

壁のポスターの角には、12A という小さな文字が入っています。

連れている子どもがその回に入れるのかどうかが、そこからは読めません。

席に着いたあとも、判断の要る時間が続きます。

本編の前に短い映像が10分以上続き、それが予告なのか広告なのか、もう本編なのかが決められません。

終わって画面に名前が流れ出したときにも、立っていいのか座っていればいいのかで迷います。

映画館の英語でつまずく理由は、単語を知らないからではありません。

日本語の「映画館」という1語が、英語では建物・上映・業界の3つに割れていて、しかも同じつづりが国をまたぐと別の場所を指してしまうからです。

その割れ目は、辞書を引けば語義の数として目に見える形で出てきます。

この記事では Cambridge Dictionary の英語辞典で48語を実際に引いて、語義がいくつ並ぶかを1語ずつ数えました。

数えた語義は合計338個でした。

あわせて、英国の BBFC の年齢区分の6ページ、米国 MPA と全米劇場所有者協会の Classification and Rating Rules(2020年7月24日改訂版)、英国の Cineworld の In-Cinema Terms of Entry と Accessibility、ドイツ・ベルリンの Yorck Kinogruppe のヘルプページを読みました。

公的資料と公式規約は11ページで、どれも2026年9月26日に実際に開いて原文から条文を取りました。

出典として並べたのは、この記事を書きながら実際に開けたページだけです。

開けなかったページのことは、1文字も書いていません。

TOC

映画館の英語は「Two for the seven o’clock show, please.」の1文|先に結論

窓口の前に立って、最初に言うべき文は1つだけです。

Two for the seven o’clock show, please.

「7時の回を2枚ください」という意味です。

この形が強いのは、建物の名前も映画の題名も1つも使っていないからです。

cinema と言うべきか movie theater と言うべきかという判断を、まるごと避けられます。

show の部分は、電光掲示の時刻をそのまま読み上げるだけで組み上がります。

Cambridge Dictionary の showing には語義が4個あり、そのうちの1つが an opportunity for the public to see something です。

例文も This is the film’s first showing on television. で、上映という意味がそのまま入っています。

題名から言いたいときは、時刻の前に題名を入れて Two for Dune at seven, please. の形にします。

映画館の英語は、この1文の周りに数個ぶら下がっているだけです。

席の場所を言いたいなら At the back, please. で足ります。

「うしろのほうでお願いします」という意味で、front に差し替えれば前のほうになります。

通路側を取りたいなら An aisle seat, please. です。

字幕の回かどうかを確かめるなら Is this one subtitled? と聞きます。

この4文が、この記事のいちばん短い答えです。

建物の名前を言わないと決めてしまえば、窓口で固まる時間はほとんど消えます。

そして、たった4文で足りるはずなのに口が止まってしまう理由が、次の章の辞書の数字にあります。

映画館の英語がcinemaとmovie theaterに割れる理由|辞書で数えた語義の数

Cambridge Dictionary で cinema を引くと、語義は5個並びます。

英国英語の辞典側の3個が、a theatre where people pay to watch films と、to go to watch a film と、films and the business of making them です。

1つ目が建物、2つ目が「映画を観に行くこと」という行為、3つ目が映画産業そのものを指しています。

同じ cinema を米国英語の辞典側で見ると、順番が入れ替わります。

最初に出てくるのが movies, or the art or business of making movies で、建物の意味は2つ目です。

しかもその2つ目には esp. CdnBr という但し書きが付いていて、カナダ英語と英国英語で特によく使うという印が入っています。

米国で cinema と言うと、建物ではなく映画そのものの話に聞こえるのは、この並び順のためです。

では米国側で建物を指す語は何かというと、theater です。

theater の語義は4個で、英国英語の辞典側の2個が US spelling of theatre と a cinema でした。

つまり英国の辞書は、米つづりの theater に「映画館」という語義を正面から与えています。

一方の theatre は語義が5個で、1つ目が a building, room, or outside structure with rows of seats で、映画とは限らない建物一般です。

2つ目には operating theatre が入っていて、これは手術室です。

5つ目には an area or place in which important military events happen という軍事用語まで入っています。

theatre という語を単独で使うと、映画から手術室から戦域まで幅が開いてしまいます。

だから米国では movie theater と2語にして、幅を閉じるわけです。

movie そのものの語義は5個で、英国英語の辞典側の2つ目が a cinema or group of cinemas でした。

例文の What’s on/showing at the movies this week? は、建物のほうを指しています。

film の語義は8個で、映画のほかに写真のフィルムと薄い膜と動詞の「撮影する」が入っています。

くだけた言い方の語も2つ引きました。

pictures は語義が1個しかなく、その1個が the cinema です。

例文は Let’s go to the pictures tonight. で、英国の口語で映画館を指します。

flick は語義が7個あり、そのうち2個が a film と the cinema です。

残りの5個は「指ではじく」「ぱらぱらめくる」といった別系統の意味です。

flick を建物の意味で使えるのは語義7個中2個だけなので、自分から言う語には向きません。

ここまでを1行にまとめます。

建物を指したいなら、英国では cinema、米国では movie theaterです。

そして、どちらを言うか迷った時点で、その語は言わずに済ませるのがいちばん速い手です。

映画館の英語48語の語義を数えた結果|語義が多い語と1個だけの語

Cambridge Dictionary で、映画館にかかわる語を48語引いて、語義の数を1語ずつ数えました。

数えた語義は合計338個で、1語あたりの平均は7.0個でした。

いちばん多かったのは screen で、語義は23個です。

次が seat の21個、book の19個、stall の17個、ticket の16個と続きます。

そのあとが concession と feature の13個、admit と admission と row の12個、trailer の11個です。

この並びを見ると、共通点が1つあります。

語義がふくらんでいるのは、全部が窓口の画面と座席表と館内放送の側に出てくる語です。

逆に、語義がいちばん少なかったのは1個の語でした。

dubbing が1個、pictures が1個です。

2個だったのは suitable、refreshment、credits、matinee の4語でした。

語義が1個か2個しかない語は、意味を取り違える余地がありません。

つまり、語義の少ない語だけで注文を組めば、誤解の可能性はほとんど消えます。

問題は、館の側が語義の多い語を平気で使ってくることです。

screen の23個の中には、映写の画面も、テレビも、映画界そのものも、アメリカンフットボールのプレーも入っています。

英国の館内で Screen 4 と書かれていたら、それは4番スクリーンという部屋の番号です。

seat の21個には、座る家具も、議会の議席も、証券取引所の会員権も入っています。

book の19個には、本も、帳簿も、「予約する」という動詞も入っています。

英国の窓口で I booked online. と言えば、それは「ネットで予約しました」という意味です。

読むときは語義の多い語を館の側から受け取り、言うときは語義の少ない語を選ぶ、という分担になります。

チケット売り場の映画館の英語|買うときの一文と返ってくる一文

窓口で使う語のうち、いちばん取り違えが多いのは concession です。

concession の語義は13個あり、英国英語の辞典側には a reduction in the usual price of something, made available to students, old people, etc. が入っています。

例文も You can get travel concessions if you are under 26. で、割引そのものを指しています。

ところが米国英語の辞典側の concession は、意味が別の方向へ振れます。

3つ目の語義が permission to sell something, esp. in part of a store owned by someone else, or a business that sells something で、例文は A lot of movie theater profits come from their candy concessions. です。

ビジネス英語の辞典側にも Fans were stocking up on hamburgers and hotdogs at the concession stand. という例文が載っています。

同じ concession が、英国では割引券、米国では売店を指します。

英国の券売機で Adult と Concession が並んでいたら、後者は学生や高齢者向けの割引券のボタンです。

米国の館内で CONCESSIONS と光っていたら、それはポップコーンを売っている場所の表示です。

ticket の語義は16個で、そのうちの1つが a small piece of paper or card given to someone, usually to show that they have paid for an event, journey, or activity です。

同じ ticket の中に、違反切符を意味する a note telling you that you must pay some money as a punishment for not obeying a rule or law も入っています。

選挙の候補者名簿を指す語義まであるので、ticket は読む側の語です。

予約の動詞は book で、語義19個のうちの1つが to arrange to have a seat, room, performer, etc. at a particular time in the future でした。

米国英語の辞典側にも Our travel agent booked us on a flight to Paris. という例文が入っています。

料金の掲示に出るのは admission です。

admission の語義は12個で、英国英語の辞典側に the money that you pay to enter a place と permission to enter a place の両方が並んでいます。

米国英語の辞典側には The club refuses admission to those under 18. という例文があり、これは入場の許可のほうです。

つまり Admission と書かれた掲示は、料金の意味にも入場資格の意味にもなります。

昼の回を指す語は matinee で、こちらは語義2個しかありません。

英国英語の辞典側が a film shown or a play performed during the day, especially in the afternoon、米国英語の辞典側が an afternoon performance of a movie or play です。

語義が2個で両方とも同じ内容なので、matinee は安心して自分から言える語です。

昼の回を取りたいなら Two for the matinee, please. で通ります。

同じ「チケット売り場で最初に言う一文」の作り方は、美術館と博物館の英語でmuseumとgalleryを分ける記事でも辞書から数え直しています。↓

座席と列の映画館の英語|row・aisle・stallの取り違え

窓口で Which row? と聞かれたときに答える語が row です。

row の語義は12個あり、1つ目が a line of things, people, animals, etc. arranged next to each other でした。

例文には the front row と the back row がそのまま入っていて、We had seats in the front row of the theatre. という形で使われます。

ここまでは素直なのですが、row には同じつづりで別系統の語義が3個あります。

a noisy argument or fight と loud noise と to argue, especially loudly です。

row は「列」と「口げんか」が同じつづりで同居している語なので、文脈から外れると通じません。

座席の話をしているときに row と言えば、列の意味にしか取られないので心配はいりません。

通路は aisle で、語義は5個です。

1つ目が a long, narrow space between rows of seats in an aircraft, cinema, or church で、映画館が語義の中に名指しで入っています。

例文も aisle seat の形で Would you like an aisle seat or would you prefer to be by the window? と載っています。

残りの語義は、スーパーの棚と棚のあいだの通路です。

英国の座席表で困るのは STALLS のほうです。

stall の語義は17個あり、その中の1つが the seats on the main floor of a theatre or cinema, not at a higher level でした。

例文は As he came onto the stage, a woman threw flowers from the stalls. で、舞台に近い1階席を指しています。

つまり座席表の STALLS は、平場の1階席です。

同じ stall の他の語義には、市場の露店も、家畜の仕切りも、シャワーの仕切りも、エンジンが止まる「エンスト」も入っています。

語義17個のうち映画館で使うのは1個だけなので、stall はこちらから言わずに表示から読む語です。

客席全体を指す語は auditorium で、語義は5個です。

1つ目が the part of a theatre, or similar building, where the people who are watching and listening sit で、例文は No smoking in the auditorium. でした。

館内放送や規約の中では、この auditorium が「上映室の中」を指す正式な語として出てきます。

席を倒せるかどうかを聞くときの語が recline です。

語義は4個で、そのうちの1つが If a seat reclines, you can change the position of its back so that it is in a leaning position でした。

席まで案内してくれる係の人は usher で、語義3個のうちの1つが a man who shows people where they should sit, especially at a formal event such as a wedding or at a theatre or cinema です。

米国英語の辞典側には The usher showed us to front-row seats. という例文が入っています。

席で言う文は短くて済みます。

通路側を頼むなら An aisle seat, please. です。

うしろのほうを頼むなら Could we sit at the back, please? で通ります。

自分の席が見つからないなら、券を見せて Where is this seat? と聞けば連れていってもらえます。

売店の映画館の英語|concessionとrefreshmentの読み分け

英国の館内で売店の上に光っているのは REFRESHMENTS の文字です。

refreshment の語義は2個しかなく、英国英語の辞典側が (small amounts of) food and drink でした。

例文は Light refreshments will be available at the back of the hall. で、軽い飲食物という意味がそのまま入っています。

米国の館内で光っているのは CONCESSIONS のほうで、こちらは前の章で見たとおり売店を指します。

同じ売店が、英国では REFRESHMENTS、米国では CONCESSIONS と書かれます。

popcorn の語義は3個で、1つ目が seeds of maize that are heated until they break open and become soft and light, usually flavoured with salt, butter, or sugar です。

ここに salt, butter, or sugar と3つ並んでいるのが、注文のときに効いてきます。

英国の売店では、ポップコーンを salted か sweet かで聞かれることがあります。

塩なら Salted, please.、甘いほうなら Sweet, please. の2語で答えが終わります。

popcorn の2つ目の語義は、映画そのものの評し方です。

films, television shows, etc. that are very popular but are not serious という語義で、例文は Movies like Top Gun have been described as mainstream popcorn. でした。

注文の一文はサイズと品名を並べるだけで組み上がります。

A medium popcorn and a large Coke, please.

「ポップコーンのМサイズと、コーラのLサイズをください」という意味です。

この形のサイズの語は、店によって small・regular・medium・large・jumbo と幅があります。

サイズの言い方で毎回止まってしまう人は、カフェの注文の英語でtallとventiを辞書から引き直した記事を先に読んでおくと、売店でも同じ手が使えます。↓

売店で買わずに、自分の飲み物を持ったまま入りたいときもあります。

そのときに聞く一文が Can I bring this in? です。

「これを中に持ち込めますか」という意味で、手に持っているものを見せながら言えば通じます。

持ち込みの線引きは館ごとに規約で決まっていて、その中身は後ろの章で原文から確かめます。

字幕と吹き替えの映画館の英語|subtitledとdubbedと上映の表記

字幕を指す語は subtitle で、語義は5個です。

そのうちの1つが words shown at the bottom of a film or television picture to show what is being said, or to translate it into a different language でした。

例文は The Chinese movie was shown with English subtitles. で、「英語字幕付きで上映された」という形です。

残りの語義には、本の副題という別の意味が入っています。

The subtitle of this biography is “The Making of an American”. という例文がそれです。

吹き替えを指す語は dub で、語義は6個あります。

映画に関係する語義は to change the sounds and speech on a film or television programme, especially to a different language の1つです。

例文の I’d rather watch a film with subtitles than one dubbed into English. に、字幕と吹き替えの対比がそのまま入っています。

dub の他の語義は、あだ名を付けることと、国王が騎士の位を授けることです。

She was dubbed by the newspapers “the Angel of Death”. という例文が、あだ名のほうです。

dubbing は語義が1個だけで、中身は present participle of dub でした。

48語の中で、語義が1個しかない語は dubbing と pictures の2語だけです。

上映そのものを指す語は screening で、語義は4個です。

英国英語の辞典側の1つ目が a showing of a film で、例文は There will be three screenings of the film – at 3 p.m., 5 p.m., and 7 p.m. でした。

2つ目は a test or examination to discover if there is anything wrong with someone で、こちらは健康診断の検診です。

同じ screening が、上映と検診の両方を指します。

英語圏の映画館の英語で出る subtitled screening の案内

英語圏の映画館では、字幕付きの回は特別な回として別枠で組まれます。

英国の Cineworld の Accessibility のページは、全館で最新作1本の字幕付き上映を週2回以上やると定めています。

原文は all of our sites offer subtitled screenings of one new latest release, at least twice a week on a Sunday afternoon and Monday evening です。

日曜の午後と月曜の夜が基本の枠で、大きい館ではこれに木曜の夜が足されます。

目の不自由な人向けの音声ガイドは Audio Description と呼ばれ、専用のヘッドセットを受付で借ります。

借りるときにクレジットカードか身分証を預けるよう求められる場合がある、と同じページが断っています。

Autism Friendly screenings という回もあり、こちらは照明と音量を下げたうえで、予告も広告も流しません。

原文の there are no trailers or advertisements – just the film が、その中身です。

この回だけは、自分の飲食物を持ち込んでよいと明記されています。

Customers are also welcome to bring their own food and drink into the performance という一文がそれです。

開催は原則として毎月の第1日曜で、館によっては第1土曜に動きます。

介助者の同伴については、英国には CEA Card という全国共通の仕組みがあります。

このカードを持つ人に付き添う介助者は、席が1つ無料になります。

ドイツ語圏の映画館の英語で出る OV・OmU・OmeU の表記

ドイツ語圏の上映一覧には、題名のうしろに2文字から5文字の記号が付きます。

ベルリンの Yorck Kinogruppe のヘルプページが、その記号を5つ定義しています。

OV は Original Version without subtitles で、原語のまま字幕なしです。

OmU は Original Version with German Subtitles で、原語音声にドイツ語字幕が付きます。

OmUで変わるのは字幕だけなので、英語の映画なら音声は英語のままです。

OmeU は Original Version with English Subtitles で、原語音声に英語字幕が付きます。

OmDEU は Original Version with English and German subtitles (two lines) で、英語とドイツ語の字幕が2行で出ます。

DF は German-Language Audio で、ドイツ語の吹き替えです。

英語圏以外の国で日本人が探すべき記号は、OV と OmeU の2つです。

英語の映画を英語のまま観たいなら OV、英語字幕を頼りにしたいなら OmeU になります。

DF と書いてある回に入ると、英語の映画でも音声はドイツ語だけです。

窓口で確かめるなら Is this one in English? の一文で足ります。

年齢区分の映画館の英語|英BBFCの7区分と米MPAの5区分

ポスターの角と上映一覧に必ず入っているのが、年齢区分の記号です。

英国と米国では、区分の数も記号の形も違います。

英国は BBFC という団体が7つの記号を出し、米国は MPA という団体が5つの記号を出しています。

辞書の側では、区分にかかわる語も語義が割れています。

certificate の語義は6個で、1つ目が an official document that states that the information on it is true でした。

rating の語義は8個で、そのほとんどが評価や視聴率の意味です。

classification の語義は6個で、1つ目が the act or process of dividing things into groups according to their type でした。

英国は certificate、米国は rating という語で年齢区分を呼びます。

英国の映画館の英語で見る BBFC の7つの記号

BBFC の年齢区分は、U・PG・12A・12・15・18・R18 の7つです。

U は Universal の頭文字で、Content with a U age rating is suitable for audiences of all ages, although not all U-rated content is aimed at children と定義されています。

全年齢向けではあるものの、子ども向けとは限らないという但し書きが付いている点が特徴です。

U のページには Generally a U is unlikely to unsettle a four-year-old という目安も添えられています。

PG は Parental Guidance の略で、PG-rated content is suitable for general viewing です。

こちらの目安は A PG should generally not unsettle a child aged around eight で、8歳前後が基準になります。

12A は映画館専用の記号です。

条文は No one younger than 12 may be permitted to attend a 12A cinema screening unless they are accompanied by an adult です。

12Aは同伴なら入れるという点が、他の記号との決定的な違いになります。

同じ作品が家庭用の映像になると、記号は12に変わります。

12 の条文は No one younger than 12 may rent or buy a 12-rated video で、こちらは同伴の例外がありません。

映画館の掲示に出るのは12Aのほうで、12は円盤と配信の記号です。

15 の条文は No one younger than 15 may see 15-rated content in a cinema です。

18 の条文は No one younger than 18 may see 18-rated content in a cinema で、どちらも同伴では入れません。

R18 は The R18 category is a special and legally-restricted classification primarily for explicit works of consenting sex or strong fetish material involving adults と定義された特別区分です。

この区分は法律で上映と販売の場所が限られていて、一般の映画館の上映一覧には出てきません。

米国の映画館の英語で見る MPA の5つの記号

米国の区分は、MPA と全米劇場所有者協会が共同で出す Classification and Rating Rules で決まります。

今の版は2020年7月24日改訂で、5つの記号がそれぞれ1行の見出しを持っています。

G は G – General Audiences. All Ages Admitted. で、全年齢が入場できます。

PG は PG – Parental Guidance Suggested. Some Material May Not Be Suitable For Children. です。

PG-13 は PG-13 – Parents Strongly Cautioned. Some Material May Be Inappropriate For Children Under 13. で、13歳という数字が見出しに入っています。

R は R – Restricted. Children Under 17 Require Accompanying Parent or Adult Guardian. です。

本文にはさらに Children under 17 are not allowed to attend R-rated motion pictures unaccompanied by a parent or adult guardian. と書き下されています。

17歳未満は、親か成人後見人が一緒でなければR指定の回に入れません。

NC-17 は NC-17 – No One 17 and Under Admitted. で、本文には No children will be admitted. と続きます。

同じ規則には、薬物の扱いについての線も引かれています。

Any drug use will initially require at least a PG-13 rating. という一文で、薬物の使用が出た時点で下限がPG-13になります。

ここで使われている語も、辞書では語義が広い語ばかりです。

accompany の語義は6個で、そのうちの1つが to go with someone to a social event or to an entertainment でした。

guardian の語義は6個で、1つ目が a person who has the legal right and responsibility of taking care of someone who cannot take care of himself or herself です。

unaccompanied の語義は5個で、例文に unaccompanied minor という形が載っています。

restricted の語義は5個で、1つ目が limited, especially by official rules, laws, etc. でした。

suitable の語義は2個しかなく、例文は The film is not suitable for children. です。

語義2個の suitable が、英米どちらの年齢区分の条文にも出てくるのは偶然ではありません。

意味の幅が狭い語のほうが、規則の文には向いているからです。

入場条件の映画館の英語|身分証を求められる線と同伴が要る線

年齢区分は団体が決めますが、入口で止めるのは館です。

英国の Cineworld が公開している In-Cinema Terms of Entry の3.4は、その線を細かく書いています。

まず、区分の下限年齢に達していないと見られ、しかもそれを証明できない客は入場を断られます。

原文は Cineworld will refuse admission to any person who, in the opinion of an authorised Cineworld employee or representative, is under the minimum age required by the BBFC or IFCO classification for a presentation and cannot prove that they are at least the minimum age required です。

次に、写真付き身分証を求める権利が明示されています。

Cineworld expressly reserves the right to request photographic identification verifying the age of the customer (e.g. a driving licence or passport) for entry into 12A, 15, 15A, 16 and 18 certificated films という条文です。

身分証を求められる区分は、12A・15・15A・16・18の5つです。

Uと PG だけが、この一覧から外れています。

同じ3.4には、年齢区分とは別の同伴の決まりが2行あります。

1行目が Children under the age of 12 must be accompanied by someone who is at least 18 years of age to be admitted after 7.00pm. です。

12歳未満は、夜7時を過ぎた回には18歳以上の同伴がないと入れません。

2行目が Children under the age of 8 must be accompanied by someone who is at least 18 years of age at all times (regardless of film classification). です。

8歳未満は、時刻にも区分にも関係なく、常に18歳以上の同伴が要ります。

つまり U 指定の子ども向け作品でも、8歳未満だけでは入れません。

遅れて着いたときの扱いも、同じ規約の3.9が定めています。

本編が始まったあとの入場は、その日の責任者の判断だけで決まります。

原文は customers who arrive after the start of the feature presentation will only be permitted entry into the auditorium at the Cinema Duty Manager’s sole discretion です。

ここに出てくる discretion は、辞書では語義4個の語です。

そのうちの1つが the right or ability to decide something で、例文は at the discretion of the principal の形でした。

携帯電話の扱いは2.3にあり、All mobile devices including mobile telephones must be switched off at all times during the feature presentation という条文です。

マナーモードではなく、電源を切ることを求めている文になっています。

喫煙は5.5で禁じられていて、電子たばこも同じ扱いです。

窓口で年齢の線を確かめたいときは、短く聞けば済みます。

Is this film OK for a ten-year-old?

「10歳の子は入れますか」という意味で、数字を入れ替えれば何歳でも使えます。

身分証が要るかどうかを聞くなら Do you need ID for this one? で通ります。

こう聞いて返ってきた答えが速すぎて分からなかったときの逃げ方は、聞き返す英語でSorry?とPardon?を数えた記事に場面ごとで並べてあります。↓

持ち込みの映画館の英語|熱い食べ物と酒の線引き

持ち込みの線は、同じ Cineworld の規約の2.2が3文で引いています。

1文目が Neither alcohol nor hot food may be brought onto the premises. です。

酒と熱い食べ物は持ち込み不可で、これが館の敷地に入る前からの線になります。

2文目が Only hot food bought on the premises may be consumed on the premises. です。

敷地内で食べていい熱い食べ物は、敷地内で買ったものだけになります。

3文目が Alcohol may only be purchased and consumed in Cineworld licensed bar areas or in licensed screens で、酒は許可を受けた場所でしか飲めません。

この2.2は、冷たい飲み物と常温の菓子については何も禁じていません。

止まっているのは「熱い」と「酒」の2つだけという読み方になります。

体感型の4DXの上映室だけは、さらに条件が加わります。

同じ規約の4DXの項は Hot drinks are not allowed in the 4DX auditorium. と定めていて、温かい飲み物が止まります。

冷たい飲み物についても Keep cold drinks and alcohol sealed, with a lid on, and drink only during non-intensive motion scenes という指示が付きます。

4DXの上映室には、年齢と体格の条件もあります。

4歳未満は利用できず、4歳から7歳までは付き添いの大人が必要です。

原文は Children under 4 years of age (children between the ages of 4 and 7 years must be accompanied by a supervising adult.) の形です。

身長は3フィート4インチ、つまり102センチ未満の人は利用できません。

体重は265ポンド、つまり120キロを超える人も対象外です。

膝の上に座らせる形も認められていません。

Sitting on laps is not allowed. という一文が、そのまま入っています。

同じ Cineworld でも、前の章で見た Autism Friendly screenings だけは持ち込みが歓迎されます。

つまり持ち込みの可否は、館の方針ではなく回の種類で変わります。

だから聞くときは、館ではなくその回について聞くほうが確実です。

Can I bring this into the screening? の一文が、その形になります。

予告編から本編までの映画館の英語|trailer・feature・creditsの順番

席に着いてから本編が始まるまでの時間にも、名前が付いています。

予告編を指す語は trailer で、語義は11個です。

映画に関係する語義は an advertisement for a film or a television or radio programme, consisting of short parts taken from it の1つでした。

残りの語義は、車が引く荷台と、トレーラーハウスと、大型トラックの後部です。

同じものを米国では previews と呼びます。

preview の語義は7個で、そのうちの1つが short parts of a television show or film that are shown to the public in order to advertise it でした。

米国英語の辞典側の語義も an advance showing of something such as a movie or play before its formal opening, or the showing of a few parts of a movie or television program as an advertisement です。

予告は米でpreviewsと呼ばれ、同じ映像が国をまたぐと別の語になります。

初公開そのものを指す語は premiere で、語義は3個しかありません。

1つ目が the first public performance of a play or any other type of entertainment でした。

本編を指す語は feature で、語義は13個あります。

英国英語の辞典側には a film that is usually 90 or more minutes long という語義が入っています。

米国英語の辞典側には A feature is also the main movie shown in a movie program. とあり、こちらは上映プログラムの中心という意味です。

この feature には、公式の数字による定義もあります。

MPA の Classification and Rating Rules は A “feature motion picture” is a film with a running time of greater than 30 minutes. と定めています。

米国の規則では、上映時間30分を超える作品が長編です。

30分以下は short という別の枠で、こちらは A “short” is a motion picture that has a running time of 30 minutes or less, including all credits と定義されます。

この including all credits という但し書きが、エンドロールも時間に数えることを示しています。

館内放送や規約で feature presentation と出てきたら、それは本編のことです。

前の章で見た Cineworld の2.3と3.9が、どちらもこの語で本編の始まりを示していました。

途中の休憩は、英国と米国で語が割れます。

interval の語義は9個で、そのうちの1つが a short period between the parts of a performance or a sports event でした。

米国英語の辞典側の interval には Br An interval is an intermission. という行があり、英国語であることが明示されています。

intermission の語義は3個で、1つ目が a short period between the parts of a play, film, concert, etc. です。

休憩は英国で interval、米国で intermission になります。

終わりに流れる字幕の列は credits で、こちらは語義2個しかありません。

1つ目が a list of people who helped to make a film or a television or radio programme, that is shown or announced at the beginning or the end of it です。

例文の Everyone in the cinema was in tears by the time the credits rolled. に、roll という動詞が付いています。

終わったかどうかを隣の人に確かめたいなら Is it over? で足ります。

話の結末を先に言われたくないときの語は spoiler で、語義は3個です。

映画に関係する語義は information in a newspaper article, blog, etc. that tells you what happens in a television programme で、例文は spoiler alert の形でした。

大ヒット作を指す語は blockbuster で、語義は3個しかなく、1つ目が a book or film that is extremely successful です。

窓口で何が当たっているかを聞くなら What’s the big one right now? と言えば通じます。

映画館の英語についてよくある質問

映画館はcinemaとmovie theaterのどちらで言えば通じますか?

英国では cinema、米国では movie theater が安全です。

Cambridge Dictionary の cinema は語義5個で、米国英語の辞典側では建物の意味に esp. CdnBr という但し書きが付きます。

theater のほうは語義4個で、英国英語の辞典側に a cinema という語義がそのまま入っています。

迷ったときは建物の名前を出さず、Two for the seven o’clock show, please. の形で時刻だけを言えば、どちらの国でも通ります。

12Aの映画に10歳の子どもを連れて入れますか?

大人が一緒なら入れます。

BBFC の条文は No one younger than 12 may be permitted to attend a 12A cinema screening unless they are accompanied by an adult で、同伴を条件に12歳未満の入場を認めています。

ただし Cineworld の規約の3.4には、12歳未満は夜7時以降の回に18歳以上の同伴が要るという別の線もあります。

8歳未満については、時刻にも区分にも関係なく常に18歳以上の同伴が要ります。

自分で買った飲み物を映画館に持ち込めますか?

冷たい飲み物なら、Cineworld の規約では止められていません。

2.2が禁じているのは Neither alcohol nor hot food may be brought onto the premises. の2つで、酒と熱い食べ物だけです。

ただし体感型の4DXの上映室だけは、Hot drinks are not allowed in the 4DX auditorium. として温かい飲み物も止まります。

規約は館ごとに違うので、入口で Can I bring this in? と見せながら聞くのが確実です。

OmUと書いてある回に入ると英語は聞こえますか?

英語の映画であれば、音声は英語のまま聞こえます。

Yorck Kinogruppe のヘルプページは OmU を Original Version with German Subtitles と定義していて、変わるのは字幕だけです。

英語の字幕が欲しいときは OmeU、字幕なしの原語でよいときは OV を選びます。

DF は German-Language Audio なので、この記号が付いた回では音声がドイツ語に差し替わります。

座席表のSTALLSはどの席ですか?

舞台やスクリーンに近い、平場の1階席です。

Cambridge Dictionary の stall は語義17個で、そのうちの1つが the seats on the main floor of a theatre or cinema, not at a higher level でした。

例文の As he came onto the stage, a woman threw flowers from the stalls. も、舞台のすぐ前を指しています。

上の階の席は CIRCLE や BALCONY と書かれるので、STALLS と並んでいたら下の階だと判断できます。

覚えて帰る1文|映画館の英語を決めるのは建物の名前ではなく動作

覚えて帰る1文は、記事のはじめに書いたものと同じです。

Two for the seven o’clock show, please.

この1文が強いのは、建物の名前も映画の題名も1つも使っていないからです。

cinema なのか movie theater なのか theatre なのかという判断を、相手に渡せます。

場所の名前を避けて動作で言うと、米英の割れ目を踏みません。

48語を引いて338個の語義を数えた結果も、同じ方向を指していました。

語義が多いのは screen の23個、seat の21個、book の19個、stall の17個、ticket の16個です。

どれも券売機の画面と座席表と館内表示に出てくる語で、こちらから言う語ではありません。

逆に語義が1個か2個だった dubbing・pictures・suitable・refreshment・credits・matinee は、意味が1つに決まる語です。

読むときは語義の多い語を館の側から受け取り、言うときは語義の少ない語を選ぶ、という分担になります。

そのうえで、記号を4つだけ覚えます。

英国の12Aは、12歳未満でも大人の同伴で入れる唯一の記号です。

米国のRは、17歳未満に親か成人後見人の同伴を求める記号です。

ドイツ語圏のOmUは原語音声にドイツ語字幕、OmeUは原語音声に英語字幕を指します。

この4つを頭に入れておけば、上映一覧の前で固まる時間がかなり短くなります。

最後に、聞かれる文を3つだけ覚えます。

Which row? は席の列、Anything to drink? は飲み物、Can I see some ID? は身分証の確認です。

どれも Yes か、数字か、財布から出すものかで答えが終わります。

窓口で交わす言葉は、その程度の長さで足ります。

あわせて読みたい

上映一覧の時刻が読めずに回を逃してしまう人は、営業時間の英語で政府の時刻ルールまで数えた記事を先に読んでおくと、掲示の数字で迷わなくなります。↓

参考文献

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