石畳の広場を歩いていて、肩にかけていたはずのカバンが、さっきより軽いことに気づきます。
手を当てると、ファスナーが数センチだけ開いています。
財布が入っていた場所に、指が空振りします。
まわりには人が歩いていますが、こちらを見ている顔は一つもありません。
心臓が速くなって、目の前が少し白くなります。
とっさに英語を出そうとして、最初の1語が出てきません。
地下鉄の改札でも、同じ形で足が止まります。
ポケットに入れていたスマホが無いことに気づいて、ホームを振り返ります。
駅員さんがこちらを見ていて、何かあったのかと目で聞いてきます。
盗まれました、とだけ伝えたいのに、その1文が出てきません。
盗まれた英語でつまずく理由は、単語を知らないからではありません。
盗まれたという日本語に当たる英語が何語もあって、そのどれを選べばいいのかを、その場で決められないからです。
しかも、警察の窓口と保険会社と大使館とでは、求められる言い方がそれぞれ違います。
この記事では、Cambridge Dictionary で steal・stolen・theft・rob・robbery・mug・mugging・pickpocket・burgle・burglary・snatch・thief・lose・loss・missing・report・claim・evidence・embassy・consulate・insurance・police・crime・victim・witness・statement・passport・wallet・purse・handbag・backpack・belongings・valuables・refund・reimburse の35語を実際に引いて、語義の数をひとつずつ数えました。
あわせて、イギリス政府が出している海外で犯罪に遭ったときの案内と被害者が受けられる支援の案内、同じくイギリス政府の海外での犯罪被害に対する補償の案内、イギリス政府の旅券の紛失・盗難の届出ページ、イギリス政府のスペイン旅行情報のうち治安について書いたページ、カナダ政府の海外で持ち物を盗まれたときの案内、カナダ政府の領事サービスでできること・できないことの一覧、そしてEUの市民向け案内にある領事保護のページという8本を開いて、盗まれたあとに実際に何が起きるのかを確かめています。
出典として並べたのは、この記事を書きながら実際に開けたページだけです。
開けなかったページのURLや語義の数は、1行も書いていません。
先に結論を言ってしまうと、現場で要る英語はたった1文です。
その1文を出せるかどうかで、そのあとに続く手続きの速さが変わります。
順番に見ていきます。
盗まれたの英語は「My wallet was stolen.」の1文で足ります|先に結論
盗まれた場面で最初に言うべき英語は、この形です。
My wallet was stolen.
財布を盗まれました、という意味です。
主語を入れ替えるだけで、盗まれたものが何であっても同じ形で言えます。
My phone was stolen.
スマホを盗まれました、という意味です。
My bag was stolen.
カバンを盗まれました、という意味です。
盗まれたものを主語にして、was stolen を後ろに置く。
覚えることは、この型ひとつだけです。
なぜ受け身の形になるのかというと、盗んだ相手が誰なのか分からないからです。
日本語でも「誰かが私の財布を盗んだ」より「財布を盗まれた」のほうが自然に出てくるはずです。
英語も同じで、犯人を主語に置けない以上、盗まれたものを主語にするしかありません。
そして、この1文の直後に置くべき2文目があります。
I need a police report for my insurance.
保険のために警察の被害届の書類がほしい、という意味です。
この2文目を言えるかどうかで、帰国後に戻ってくるお金が変わります。
理由は、この記事で開いた公的資料が3本とも同じことを書いているからで、そこは後の章でひとつずつ原文を出します。
難しい単語は、この2文の中に1つも入っていません。
それでもこの2文が出てこないのは、盗まれたという日本語に対応する英語が、辞書の中で何本にも枝分かれしているからです。
次の章から、その枝を1本ずつ数えていきます。
なぜ盗まれたの英語で口が止まるのか|辞書で数えた steal の語義
steal は、中学で習う語です。
それなのに、いざ盗まれた場面になると使えません。
Cambridge Dictionary の英英セクション(cald4)で steal を引くと、見出しが5本に分かれていて、語義が全部で6つ並びます。
1本目は (TAKE) という見出しで、語義は「to take something without the permission or knowledge of the owner and keep it」です。
持ち主の許可も知らないところで何かを取って、それを自分のものにする、という意味です。
この語義には A2 という難易度のラベルが付いていて、例文は「She admitted stealing the money from her employers.」です。
彼女は勤め先から金を盗んだことを認めた、という意味です。
2本目は (DO QUICKLY) という見出しで、語義は「to do something quickly or without being noticed」です。
何かを素早く、あるいは気づかれないようにやる、という意味です。
例文は「She stole a glance at her watch.」で、彼女はこっそり腕時計に目をやった、という意味になります。
同じ steal が、盗む話と、こっそりやる話の両方に使われています。
3本目は (IN SPORT) という見出しで、ここだけ語義が2つ入っています。
1つ目は野球の盗塁の説明で、例文は「He is not a fast runner and has not stolen a base all year.」です。
2つ目は「In sports such as basketball, rugby, and football, to take the ball from an opponent」で、バスケットボールやラグビーやサッカーで相手からボールを奪うこと、という意味です。
4本目からは名詞になります。
(BARGAIN) という見出しの語義は「a product that has a very low price, or a price that is much lower than the original cost」です。
とても安い商品、あるいは元の値段よりずっと安い値段、という意味です。
例文は「I picked up a new iron in the sale – it was a steal.」で、セールで新しいアイロンを買ったら掘り出し物だった、という意味になります。
5本目は (IN BASEBALL) で、こちらは「another word for stolen base」とだけ書かれています。
つまり a steal は「掘り出し物」という褒め言葉にもなります。
アメリカ英語セクション(cacd)に移ると、語義は3つです。
1つ目は (TAKE AWAY) の見出しで「to take something without the permission or knowledge of the owner and keep it or use it」となっていて、例文は「They broke into cars to steal the radios.」です。
車に押し入ってカーラジオを盗んだ、という意味になります。
2つ目は同じ見出しの中の「To steal is also to do something quickly while trying not to be seen doing it」で、例文は「to steal out of a room」です。
3つ目は (CHEAP ITEM) の見出しで「something obtained at a much lower price than its true value」となっています。
ビジネス英語セクション(cbed)にも語義が3つ並びます。
1つ目は「to take something without the permission of its owner」で、例文は「Employees who steal are dismissed automatically.」です。
2つ目は「to get an advantage over someone by acting before they do」で、相手より先に動いて優位に立つ、という意味です。
例文は「Our chief competitor managed to steal a march on us by bringing out their software ahead of ours.」で、競合が先にソフトを出して出し抜いた、という意味になります。
3つ目は英英と同じ「掘り出し物」の語義で、例文は「The shares may be a steal, but investors should remain wary.」です。
3つのセクションを合わせると、steal という1語に12個の語義がぶら下がっています。
盗む話、こっそりやる話、野球の話、バスケの話、掘り出し物の話、出し抜く話が、全部この1語の中に同居しています。
口が止まるのは当たり前で、語そのものが多義だからです。
ところが、過去分詞の stolen を引くと景色が変わります。
Cambridge Dictionary の英英セクションで stolen を引くと、語義は1つだけです。
書いてあるのは「past participle of steal」という1行で、steal の過去分詞、という意味です。
アメリカ英語セクションも同じく1つで、内容も同じ1行です。
原形の steal は12個に枝分かれしますが、stolen は12分の1に絞られます。
これが、盗まれた英語を受け身で言うべきいちばんの理由です。
My wallet was stolen. と言った瞬間に、野球の話にもバーゲンの話にも誤解されなくなります。
出典=Cambridge Dictionary|steal/Cambridge Dictionary|stolen
盗まれた英語と、なくした英語|保険で扱いが変わる stolen と lost
盗まれたのか、落としたのか。
本人にも分からないことがあります。
ここを英語でどう言うかで、そのあとの扱いが変わります。
Cambridge Dictionary で lose を引くと、英英セクションに9つ、アメリカ英語セクションに11個、ビジネス英語セクションに8つ、合わせて28個の語義が並びます。
英英セクションの1つ目が「to no longer have something because you do not know where it is」です。
どこにあるか分からないので、もう持っていない状態、という意味です。
例文は「I’ve lost my ticket.」で、チケットをなくした、という意味になります。
アメリカ英語セクションの1つ目は、もっと短く「to not be able to find something」です。
何かを見つけられない、という意味です。
例文は「I lost my keys somewhere in the house.」で、家のどこかで鍵をなくした、となっています。
辞書の語義に「どこにあるか分からない」と書いてある以上、lost は自分の落ち度の話です。
一方の stolen は、誰かが持っていったという話です。
この2つは、原因が自分にあるかどうかがまるごと違います。
似た語に missing があります。
Cambridge Dictionary の英英セクションで missing を引くと、語義は3つあって、1つ目が「Someone who is missing has disappeared」です。
行方不明になっている人、という意味です。
例文は「Her father has been missing since September 1992.」で、父親が1992年9月から行方不明だ、という意味になります。
2つ目が「Something that is missing cannot be found because it is not where it should be」です。
あるべき場所に無いので見つからないもの、という意味です。
例文は「The burglars have been arrested but the jewellery is still missing.」で、空き巣は逮捕されたが宝石はまだ見つかっていない、という意味になります。
3つ目は戦争で行方不明になった兵士や軍の車両の語義で、例文は「He was listed as missing in action.」です。
アメリカ英語セクションの語義は1つで「(of a person or possession) not found where you expect to find someone or something; lost or absent」です。
人や持ち物が、あると思った場所に無い、という意味です。
つまり missing は「見当たらない」であって、「盗まれた」ではありません。
My wallet is missing. と言ってしまうと、どこかに置き忘れた話として受け取られます。
盗まれたのなら、stolen をはっきり使います。
では、盗まれたのか落としたのか分からないときはどうするか。
ここはカナダ政府の案内が答えを出しています。
海外で持ち物を失ったときのページは、そもそもタイトルが Lost or stolen belongings abroad で、最初から2つを並べて書いてあります。
そして本文にあるのは「Request a police report, if possible.」という一文です。
可能なら警察の届出の書類をもらいなさい、という意味です。
続けて、その書類は旅券の再発行には必要ないが、保険の請求には役に立つかもしれない、と書き分けられています。
盗まれたのか落としたのか分からなくても、警察の書類はもらっておけというのが公的な案内です。
同じページには「Do not confront the thief」とも書かれています。
泥棒に立ち向かうな、という意味です。
理由は同じページの中で「Your safety is more important than your belongings.」と説明されています。
持ち物より自分の安全のほうが大事だ、という意味です。
そのうえで「Move to a safe place and report the incident to local police」と続きます。
安全な場所へ移動してから、地元の警察に届け出なさい、という意味です。
ここでもう1語、覚えておくと得をする語があります。
loss です。
Cambridge Dictionary で loss を引くと、英英セクションに6つ、アメリカ英語セクションに3つ、ビジネス英語セクションに7つの語義が並びます。
このうちビジネス英語セクションの4つ目が、保険の世界の語義です。
語義は「a situation in which property is damaged, lost, or stolen, and an insurance company must pay to replace it」です。
財産が壊れたり、なくなったり、盗まれたりして、保険会社が弁償しなければならない状況、という意味です。
例文は「We will cover your house contents against accidental loss or damage during the removal.」です。
保険の書類に loss と書いてあったら、それは紛失だけの意味ではなく、盗難も含んだ言い方です。
損害保険の英語を読むときに、ここを取り違えると自分の被害が対象外だと勘違いします。
出典=Cambridge Dictionary|lose/Cambridge Dictionary|missing/Cambridge Dictionary|loss/Travel.gc.ca|Lost or stolen belongings abroad
steal・rob・mug・pickpocket・burgle・snatch|6語の盗まれた英語の並べ直し
盗まれたに当たる英語は1語ではありません。
Cambridge Dictionary で6語を引き比べると、それぞれ「何を目的語に取るか」が違っていました。
| 語 | 辞書の語義(英英セクション) | 目的語になるもの |
|---|---|---|
| steal | to take something without the permission or knowledge of the owner and keep it | 盗られた「もの」 |
| rob | to take money or property illegally from a place, organization, or person, often using violence | 盗られた「人」か「場所」 |
| mug | to attack a person in a public place and steal their money | 襲われた「人」 |
| pickpocket | to steal things out of people’s pockets or bags, especially in a crowd | 盗られた「もの」 |
| burgle | to enter a building illegally and steal things | 入られた「建物」 |
| snatch | to take hold of something suddenly and roughly | ひったくられた「もの」 |
この表のいちばん右の列が、日本人がいちばん間違えるところです。
steal の目的語は「もの」です。
辞書の例文も「She admitted stealing the money from her employers.」で、盗まれたものである the money が目的語に入っています。
一方の rob は、目的語が「人」か「場所」です。
英英セクションの例文は「The terrorists financed themselves by robbing banks.」で、銀行そのものが目的語になっています。
アメリカ英語セクションの例文は「Two men robbed the store last night.」で、こちらも店が目的語です。
だから I was robbed. は正しく、I was stolen. は「私という物体が盗まれた」になってしまいます。
正しい言い方は、盗まれたものを主語にした My wallet was stolen. か、自分を主語にした I was robbed. の2つです。
この2文だけ覚えておけば、目的語の取り違えは起きません。
なお rob には、アメリカ英語セクションに2つ目の語義があります。
「If someone is robbed of a quality, that quality is taken away」で、例文は「Elderly people should not be robbed of their dignity.」です。
高齢者から尊厳を奪ってはならない、という意味になります。
物だけでなく、性質や資格を奪う場合にも rob が使われます。
次は mug です。
Cambridge Dictionary の英英セクションで mug を引くと、語義が4つ並びます。
1つ目は (CUP) の見出しで「a large cup with straight sides used for hot drinks」です。
温かい飲み物を入れる、まっすぐな側面の大きなカップ、つまりマグカップのことです。
2つ目は (STUPID PERSON) の見出しで、UK というラベルが付いています。
語義は「a person who is stupid and easily deceived」で、間抜けでだまされやすい人、という意味です。
3つ目は (FACE) の見出しで、informal のラベル付きで「someone’s face」とだけ書かれています。
4つ目がようやく動詞で「to attack a person in a public place and steal their money」です。
人前で人を襲って金を奪う、という意味です。
例文は「He was mugged in broad daylight.」で、彼は白昼堂々と襲われた、という意味になります。
アメリカ英語セクションの動詞の語義はもっと具体的で「to attack a person, using force or threats of force to steal the person’s money or possessions」です。
暴力か、暴力の脅しを使って、金や持ち物を奪う、という意味です。
mug は「暴力か脅しがあった」ときにだけ使う語です。
背後から財布を抜かれただけの場面で I was mugged. と言うと、警察は暴行事件として扱います。
名詞の mugging は英英セクションに1つだけで「an act of attacking someone and stealing their money」です。
例文は「Police are concerned that mugging is on the increase.」で、警察は路上強盗が増えていることを懸念している、という意味になります。
次は pickpocket です。
英英セクションには語義が2つ並んでいて、1つ目は名詞です。
「a thief who steals things out of pockets or bags, especially in a crowd」で、人混みでポケットやカバンから物を盗む泥棒、という意味です。
2つ目が動詞で「to steal things out of people’s pockets or bags, especially in a crowd」となっています。
動詞側の例文がそのまま使える文で「Someone pickpocketed my wallet.」です。
誰かが私の財布をすった、という意味になります。
スリに遭ったと言いたいときは、この例文をそのまま口にすれば足ります。
アメリカ英語セクションには名詞の語義しか載っておらず「a thief who steals things out of pockets or bags, esp. in a crowd」の1つだけです。
動詞として使うのは英英セクション側の用法だ、と辞書の載り方そのものが示しています。
次は burgle です。
英英セクションに語義が1つだけあって「to enter a building illegally and steal things」です。
建物に違法に入って物を盗む、という意味です。
例文は「When they got back from their holiday they found that their home had been burgled.」で、旅行から帰ったら空き巣に入られていた、という意味になります。
ホテルの部屋に入られたときは、この語が当たります。
名詞の burglary は、英英・アメリカ英語・ビジネス英語の3セクションすべてに1つずつ載っていて、語義はどれも「the crime of illegally entering a building and stealing things」で同じです。
3セクションで語義が一字も割れていない語は珍しく、それだけ意味が固まっています。
最後は snatch です。
英英セクションには語義が9つも並びます。
(TAKE QUICKLY) の見出しの1つ目が「to take hold of something suddenly and roughly」で、何かを急に乱暴につかむ、という意味です。
例文は「He snatched the photos out of my hand before I had a chance to look at them.」です。
同じ見出しの2つ目は「to take something or someone away by force」で、力ずくで奪い去る、という意味になります。
名詞の (TAKE QUICKLY) の語義は「the action of trying to take something quickly and forcefully」で、例文は「I felt someone behind me make a snatch at my bag.」です。
後ろで誰かが自分のカバンをひったくろうとしたのを感じた、という意味になります。
ひったくりの場面を説明するなら、この語がいちばん近いです。
ただし、残りの語義には重量挙げの用語や「a short part of something」のような別世界の意味が混ざります。
そして英英セクションの名詞の最後には、口に出さないほうがいい俗語の語義が1つ載っています。
旅行者が名詞の snatch をわざわざ使う理由はありません。
動詞にして He snatched my bag. とだけ言えば、誤解なく伝わります。
ここまでが、口で言うための6語です。
最後に、書類に出てくる2語を押さえておきます。
theft は、英英セクションに2つの語義があります。
1つ目は「(the act of) dishonestly taking something that belongs to someone else and keeping it」で、他人のものを不正に取って自分のものにする行為、という意味です。
例文は「Unfortunately, we have had several thefts in the building recently.」です。
2つ目は informal のラベル付きで、こちらも野球の盗塁の言い換えでした。
アメリカ英語セクションの語義は1つで「the act of taking something that belongs to someone else and keeping it; stealing」となっていて、例文は car theft です。
ビジネス英語セクションの語義も1つで「the crime of illegally taking something that belongs to someone else」です。
robbery は、英英セクションとビジネス英語セクションに1つずつ載っていて、どちらも「the crime of stealing from somewhere or someone」です。
どこかから、あるいは誰かから盗む犯罪、という意味になります。
theft と robbery は「罪の名前」なので、書類に書く語であって、口で最初に言う語ではありません。
警察の窓口では、まず My wallet was stolen. と言い、書類の種類を聞かれたときに theft という語を使えば十分です。
出典=Cambridge Dictionary|rob/mug/mugging/pickpocket/burgle/burglary/snatch/theft/robbery
財布・カバン・スマホ|「何を」で言い分ける盗まれた英語
盗まれたものの名前が出てこないと、せっかくの型が使えません。
ここがいちばん米英で割れるところなので、辞書のラベルまで数えました。
まず wallet です。
Cambridge Dictionary の英英セクションには語義が3つ並びます。
1つ目は「a small folding case for carrying paper money, credit cards and other flat objects, that can be carried in a pocket and is used especially by men」です。
紙幣やクレジットカードなどの薄いものを入れて持ち歩く小さな折りたたみのケースで、ポケットに入れられ、特に男性が使う、という意味です。
例文は「He pulled out a big, fat wallet stuffed with banknotes.」です。
2つ目には US と UK の両方のラベルが付いていて「a small container for carrying coins, paper money, and credit cards, used especially by women」となっています。
硬貨や紙幣やカードを入れる小さな容れ物で、特に女性が使う、という意味です。
3つ目は「a flat, folding bag that is used for holding documents, for example passports」で、旅券などの書類を入れる平たい折りたたみのケース、という意味になります。
wallet の3つ目の語義には、辞書が自分で passports という例を挙げています。
旅券ケースごと盗まれたときも、wallet で説明が通ります。
次が、日本人がいちばん引っかかる purse です。
英英セクションには語義が5つ並びます。
(CONTAINER) の見出しの1つ目は「a small container for money, usually used by a woman」で、UK と US の両方のラベルが付いています。
同じ見出しの2つ目は、US というラベル付きで「a handbag」とだけ書かれています。
アメリカで purse と言うと、財布ではなくハンドバッグのことになります。
アメリカ英語セクションの purse を引くと、この差がもっとはっきりします。
(BAG) の見出しの語義は「a bag, often with a handle or a strap going over the shoulder, used esp. by women for carrying money, keys, and small personal items such as makeup; a pocketbook」です。
取っ手や肩掛けのひもが付いていて、金や鍵や化粧品を入れて持ち歩くカバン、という意味になります。
つまりアメリカ英語の辞書には、purse が「財布」だという語義がそもそも載っていません。
残りの語義は、賞金と公金の話です。
(AMOUNT TO SPEND) の見出しは「the total amount of money that an organization or government has available for spending」で、例文は「Having a lot of people out of work places a large drain on the public purse.」です。
(PRIZE) の見出しは「an amount of money that is offered as a prize in a sports competition」で、スポーツ大会の賞金、という意味になります。
最後の語義は動詞で「to bring your lips tightly together so that they form a rounded shape, usually as an expression of disapproval」です。
不満の表情として唇をすぼめる、という意味で、財布とは関係がありません。
ビジネス英語セクションの purse には語義が5つありますが、そのすべてが金額や予算の話で、財布の語義は1つもありません。
財布を盗まれたと言いたいなら、迷わず wallet を使います。
handbag も引きました。
英英セクションの語義は1つで「a small bag for money, keys, make-up, etc., carried especially by women」です。
アメリカ英語セクションの語義も1つで、内容は purse とまったく同じ文で、最後が「purse」で締められています。
辞書が自分で handbag と purse を同義語だと書いているので、アメリカでは好きなほうを使って構いません。
リュックは backpack です。
英英セクションには語義が3つあって、1つ目の名詞が「a large bag used to carry things on your back, used especially by people who go camping or walking」です。
例文は「It’s a frame backpack with a belt and padded shoulder straps.」です。
2つ目と3つ目は動詞で、どちらも「バックパックを背負って旅をする」「山を歩く」という意味の語義でした。
アメリカ英語セクションの名詞の語義は「a bag carried on the back, usually of cloth with many pockets and straps that go over your shoulders, used to carry things」です。
迷ったら bag で通ります。
盗まれたものの形を厳密に当てる必要はなく、警察が知りたいのは中身のほうだからです。
| 日本語 | 使う英語 | 辞書で確かめたこと |
|---|---|---|
| 財布 | wallet | 英英に語義3つ。3つ目に旅券を入れるケースの語義もある |
| ハンドバッグ | purse(米)/handbag(英米) | 英英の purse の2つ目に US ラベル付きで「a handbag」 |
| リュック | backpack | 英英に語義3つ。名詞1つと動詞2つ |
| カバン全般 | bag | 形を問わず通るので、迷ったらこれ |
出典=Cambridge Dictionary|wallet/purse/handbag/backpack
盗まれた英語で警察に届け出る|辞書で引いた report と police
盗まれたと言えたあとに、必ず出てくるのが届け出の話です。
ここで使う動詞が report です。
Cambridge Dictionary で report を引くと、英英セクションに8つ、アメリカ英語セクションに3つ、ビジネス英語セクションに11個、合わせて22個の語義が並びます。
英英セクションの動詞の1つ目が「to give a description of something or information about it to someone」です。
何かについての説明や情報を誰かに伝える、という意味です。
この語義に付いている例文が、そのままこの記事の話です。
We called the insurance company to report the theft.
盗難を届け出るために保険会社に電話した、という意味になります。
アメリカ英語セクションの動詞の1つ目も同じ語義で、例文だけが入れ替わっています。
We called the police to report the theft.
盗難を届け出るために警察に電話した、という意味です。
辞書が自分で、report the theft という言い方を警察と保険会社の両方に使う例として載せています。
つまり report the theft は、どちらの窓口でもそのまま通る言い方です。
英英セクションの動詞の3つ目は、少し意味がずれます。
「to make a complaint to a person in authority about something or someone」で、権限のある人に誰かのことを申し立てる、という意味です。
例文は「My neighbours reported me to the police for firing my rifle in the garden.」で、庭でライフルを撃ったことを近所の人に通報された、という意味になります。
report to the police という形が、こちらでは「誰かを通報する」の意味になっている点に注意が必要です。
英英セクションの動詞の4つ目は「to go to a place or a person and say that you are there」で、ある場所や人のところへ行って、来たことを伝える、という意味です。
空港のカウンターで report to gate 12 と言われたら、12番ゲートに行きなさい、という意味になります。
名詞のほうにも、旅行者がまず思いつかない語義が混ざっています。
英英セクションの名詞の4つ目は formal のラベル付きで「the loud noise of a shot」です。
銃声の大きな音、という意味で、例文は「We heard the loud/sharp report of a rifle.」です。
ビジネス英語セクションの名詞の7つ目は「someone who works for a particular manager」で、例文は「He has 15 direct reports.」です。
部下が15人いる、という意味になります。
同じ report という1語が、盗難の届け出と、銃声と、部下の数に使われています。
次に police です。
Cambridge Dictionary で police を引くと、英英セクションに5つ、アメリカ英語セクションに2つ、ビジネス英語セクションに2つ、合わせて9個の語義が並びます。
英英セクションの名詞の1つ目は「the official organization that is responsible for protecting people and property, making people obey the law, finding out about and solving crime, and catching people who have committed a crime」です。
人と財産を守り、法を守らせ、犯罪を調べて解決し、犯人を捕まえる公的な組織、という意味になります。
例文は「I think you should call the police.」で、警察を呼んだほうがいいと思う、という意味です。
アメリカ英語セクションの例文は「Police arrested two people in connection with the robbery.」で、強盗の件で2人が逮捕された、という意味になります。
英英セクションの3つ目には disapproving のラベルが付いていて「people who want to tell other people how something should be done」です。
やり方に口を出したがる人たち、という意味で、例文は「The fashion police think women over 30 shouldn’t wear jeans.」です。
英英セクションの動詞の1つ目は「to control or guard a public event or area by using members of the police or a similar force」で、警備する、という意味になります。
the police は、数えられる1人ではなく組織そのものを指すので、the が付いた形で覚えます。
crime も引きました。
英英セクションに4つ、アメリカ英語セクションに2つ、ビジネス英語セクションに2つ、合わせて8個の語義が並びます。
英英セクションの2つ目が「an illegal act」で、例文が「The defendant is accused of a range of crimes, from theft to murder.」です。
被告は窃盗から殺人まで幅広い罪で起訴されている、という意味になります。
この例文の中で theft が罪の名前として並んでいるのが、前の章で書いた「theft は書類の語」という話の裏づけです。
victim は、英英セクションに2つ、アメリカ英語セクションに1つ、合わせて3個の語義です。
英英セクションの1つ目は「someone or something that has been hurt, damaged, or killed or has suffered, either because of the actions of someone or something else, or because of illness or chance」で、例文に victims of crime がそのまま載っています。
thief は、英英セクションとアメリカ英語セクションに1つずつで、どちらも「a person who steals」の一言です。
英英セクションの例文は「The art gallery was broken into last night, and the thieves got away with two valuable paintings.」です。
昨夜画廊に侵入があり、泥棒は絵を2点持ち去った、という意味になります。
ここから先は、辞書ではなく公的資料の話です。
イギリス政府の「Reporting a crime abroad and getting help」というページには、はっきりこう書かれています。
In most countries, you must report the crime to the police before you leave the country if you want it to be investigated.
捜査してほしいなら、たいていの国では、その国を出る前に警察へ届け出なければならない、という意味です。
帰国してからでは間に合わない、と政府が自分で書いています。
同じページの見出しは「How the FCDO can help」「Contacting the FCDO」「If your belongings have been stolen」「Reporting the crime when you return to the UK」「Help with going to court abroad」「Claiming on your travel insurance」「Compensation for violent crimes abroad」「Getting support in the UK」の8本でした。
盗まれたときに必要な話が、届け出と保険と補償の3本立てで並んでいます。
そして、いちばん実務的な一文がこれです。
ask the police for a statement about the loss or a crime report (you may need this for an insurance claim)
被害についての statement か crime report を警察に求めなさい、それは保険の請求に必要かもしれない、という意味です。
カナダ政府の「Lost or stolen belongings outside Canada」も、順番まで書いています。
Move to a safe place and report the incident to local police.
安全な場所へ移動してから、地元の警察へ届け出なさい、という意味です。
その次の行が「Request a police report, if possible.」で、可能なら警察の書類を求めなさい、と続きます。
さらにその下には、届け出たあとに起きうることも書かれています。
If someone is arrested for stealing your belongings, you may be required to give testimony and attend legal proceedings.
犯人が捕まったら、証言や出廷を求められることがある、という意味です。
そして「Keep in mind that legal proceedings may be prolonged.」と、手続きが長引きうることまで念を押しています。
警察の窓口で言う3文
窓口に着いたら、順番にこの3文を出します。
I would like to report a theft.
盗難を届け出たいのですが、という意味です。
My wallet was stolen this morning near the station.
今朝、駅の近くで財布を盗まれました、という意味になります。
Could I have a copy of the police report, please?
警察の書類の控えをいただけますか、という意味です。
3文目を忘れると、届け出はできても紙が手元に残りません。
警察に見せる書類の名前
窓口で求められる書類は、たいてい身分を証明するものです。
パスポートが残っているなら passport、そのコピーなら a copy of my passport と言います。
泊まっている宿の名前を聞かれたら、the name of my hotel と返ってくるので、宿の予約画面を見せれば足ります。
イギリス政府の案内が使っている語は statement と crime report の2つで、カナダ政府の案内が使っている語は police report の1つでした。
国によって紙の呼び名が違うので、どれか1つを言って通じなければ、残りの2つを言えば通ります。
出典=Cambridge Dictionary|report/police/crime/victim/thief/GOV.UK|Reporting a crime abroad and getting help/Travel.gc.ca|Lost or stolen belongings outside Canada
パスポートを盗まれた英語|旅券だけ窓口がもう1つ増える理由
財布と一緒にパスポートまで持っていかれると、話が一段階ややこしくなります。
警察に届け出るだけでは終わらないからです。
まず passport という語そのものを引きました。
Cambridge Dictionary で passport を引くと、英英セクションに4つ、アメリカ英語セクションに1つ、ビジネス英語セクションに2つ、合わせて7個の語義が並びます。
英英セクションの1つ目は「an official document containing personal information and usually a photograph that allows a person to travel to foreign countries and to prove who they are」です。
個人情報と写真が入っていて、外国へ行くことと本人であることの証明に使える公的な書類、という意味になります。
例文は「He was a German travelling on a Swiss passport.」で、彼はスイスの旅券で旅行しているドイツ人だった、という意味です。
2つ目で、いきなり話が人間から離れます。
「a document showing information about an animal, its health, and its vaccinations」で、動物の健康と予防接種の情報を記した書類、つまりペットパスポートのことです。
例文は「In the UK, all cattle, bison and buffalo must have passports, which are unique to the animal and stay with it for its entire life.」です。
イギリスでは牛にも1頭ごとのパスポートがある、という意味になります。
3つ目は「an official document showing that a person has had a vaccination against a particular disease」で、ワクチン接種証明のことです。
4つ目は「a certain way of getting something you want」で、例文は「Many students opt for business studies simply because it sounds like a passport to a good job.」です。
いい仕事への切符に聞こえるから経営学を選ぶ学生が多い、という意味になります。
日本語のパスポートは1つの意味しかありませんが、英語の passport には牛の話とワクチンの話と比喩の話が同居しています。
ただし、盗まれたと言うときの形は前の章と同じで変わりません。
My passport was stolen.
パスポートを盗まれました、という意味です。
ここから公的資料に移ります。
イギリス政府の「Report a lost or stolen passport」というページは、最初の1行がこれです。
You must cancel a lost or stolen passport as soon as possible.
なくした旅券や盗まれた旅券は、できるだけ早く無効にしなければならない、という意味です。
理由も同じページに書かれています。
This will reduce the risk of anyone else using your passport or your identity.
他人にあなたの旅券や身元を使われる危険が減る、という意味になります。
盗まれた旅券をそのままにしておく危険は、旅行ができないことではなく、なりすましに使われることです。
同じページには、手続きに電話番号が要ることも書かれています。
原文は「You’ll need a phone number to use this service.」で、この手続きには電話番号が必要です、という意味です。
すぐに移動したい人向けの案内も、同じページにあります。
原文は「You might be able to apply for an emergency travel document. You’ll need to pay a fee.」で、緊急渡航書類を申請できるかもしれない、手数料がかかる、という意味です。
そして「you do not need to cancel your passport now. You’ll cancel it as part of your application.」と続きます。
緊急渡航書類を申請するなら、無効化はその申請の中でやるので、いま別に手続きしなくてよい、という意味になります。
なお、このページには手数料の金額も、発行までの日数も書かれていませんでした。
書かれていない数字は、この記事にも書きません。
カナダ政府の案内は、警察の書類と旅券の再発行の関係をはっきり切り分けています。
While this is not required for passport replacement, it may help with insurance claims.
警察の書類は旅券の再発行には必要ないが、保険の請求には役立つかもしれない、という意味です。
つまり、警察の紙は旅券のためではなく、お金のために取りに行きます。
同じページには、旅券以外の書類についても書かれています。
原文は「Canadian offices abroad cannot replace lost travel tickets」で、在外公館は航空券や乗車券の再発行はできない、という意味です。
続く一文は「You must contact the issuing airline, railway company or bus line to see if tickets can be replaced.」で、発行した航空会社や鉄道会社やバス会社に自分で連絡します。
運転免許証や出生証明書のような国内で出た書類については「Most other documents issued in Canada can only be replaced in Canada」と、帰ってからしか直せないと明記されています。
EUの市民向け案内にある領事保護のページにも、旅券の話が出てきます。
If you have lost your travel documents, you will be issued an EU Emergency Travel Document that allows you to return home.
渡航書類をなくした場合、帰国のためのEU緊急渡航書類が発行される、という意味です。
同じページには「If your travel documents have been lost or stolen, your nationality will be checked by other means.」とも書かれています。
書類が無いなら、国籍は別の方法で確認される、という意味になります。
旅券の窓口で言う2文
在外公館の窓口では、この2文から入ります。
My passport was stolen and I need an emergency travel document.
パスポートを盗まれたので、緊急渡航書類が必要です、という意味です。
I have already reported it to the local police.
すでに地元の警察に届け出ました、という意味になります。
2文目があると、窓口の人はそこを飛ばして次の話へ進めます。
出発前に用意しておく控え
カナダ政府の案内は、出発前の準備まで書いています。
原文は「Make copies or take photos of the identification page of your passport and other travel documents」で、旅券の身分事項のページと渡航書類の写しか写真を用意しなさい、という意味です。
ただし、そのすぐ下に注意が付いています。
原文は「Copies can help if your documents are lost or stolen, but they can’t be used as identification, and you still need to apply for a new passport if you lose yours.」です。
写しは役に立つが身分証明には使えず、旅券をなくしたら結局は申請が要る、という意味になります。
同じページには「Record your passport number so that you have this information separate from your passport.」とも書かれています。
旅券番号は、旅券とは別の場所に控えておきなさい、という意味です。
出典=Cambridge Dictionary|passport/GOV.UK|Report a lost or stolen passport/Travel.gc.ca|Lost or stolen belongings outside Canada/Your Europe(EU)|Consular protection
盗まれた英語で保険を請求する|claim・evidence・statement の3語
盗まれたものは戻ってこないことのほうが多いです。
だから、現地でやることの本命はお金の話になります。
ここで要る動詞が claim です。
Cambridge Dictionary で claim を引くと、英英セクションに8つ、アメリカ英語セクションに5つ、ビジネス英語セクションに9つ、合わせて22個の語義が並びます。
英英セクションの動詞の1つ目は「to say that something is true or is a fact, although you cannot prove it and other people might not believe it」です。
証明できないし信じてもらえないかもしれないが、本当だと言い張る、という意味になります。
ニュースでよく見る「〜と主張している」の claim が、この語義です。
ところが動詞の4つ目になると、意味がまるごと変わります。
UK のラベル付きで「to make a written demand for money from a government or organization because you think you have a right to it」です。
権利があると思うので、政府や組織に文書でお金を求める、という意味になります。
そして同じ英英セクションに、この記事の場面そのものの例文が載っています。
When my bike was stolen, I claimed on the insurance and got £150 back.
自転車を盗まれたので保険に請求して150ポンド戻ってきた、という意味です。
claim on the insurance という形が、辞書の例文にそのまま載っています。
名詞のほうにも、同じ場面の例文があります。
After her house was burgled, she made a claim on her insurance.
空き巣に入られたあと、彼女は保険に請求した、という意味になります。
名詞の claim の語義は「a written request asking an organization to pay you an amount of money that you believe they owe you」で、払ってもらえるはずの金額を組織に求める文書、という意味です。
ビジネス英語セクションの名詞の1つ目は、もっと保険寄りに書かれています。
「a request to an insurance company for payment relating to an accident, illness, damage to property, etc.」で、事故や病気や財産の損害について保険会社に支払いを求めること、という意味です。
例文は「An insurance adjuster will work with the injured party to settle the claim.」で、保険の査定人が被害者と一緒に請求をまとめる、という意味になります。
アメリカ英語セクションには、旅行者がぎょっとする語義が1つ混ざっています。
「If a storm, crime, or other violence claims someone’s life, the person was killed suddenly as a result of that event」で、例文は「The earthquake claimed hundreds of lives.」です。
地震が数百人の命を奪った、という意味になります。
同じ claim が、保険の請求と、命を奪うことに使われています。
insurance も引きました。
英英セクションに3つ、アメリカ英語セクションに1つ、ビジネス英語セクションに5つ、合わせて9個の語義です。
英英セクションの1つ目は「an agreement in which you pay a company money and they pay your costs if you have an accident, injury, etc.」です。
お金を払っておくと、事故や怪我のときに費用を払ってくれる取り決め、という意味になります。
ビジネス英語セクションの4つ目は「money that is paid by an insurance company」で、例文は「I had to cancel the trip, but I got back nearly $1000 in insurance.」です。
旅行を中止したが、保険で1,000ドル近く戻ってきた、という意味になります。
insurance は契約そのものも指しますし、戻ってきたお金そのものも指します。
evidence は、英英セクションに2つ、アメリカ英語セクションに1つ、ビジネス英語セクションに1つ、合わせて4個の語義です。
この4つの中で、旅行者に効くのはビジネス英語セクションの1つだけです。
語義は「objects, documents, official statements, etc. that are used to prove something is true or not true, especially for legal or insurance purposes」です。
法律や保険のために、本当かどうかを証明するのに使う物や書類や公的な陳述、という意味です。
辞書が自分で、official statements を evidence の一種として挙げています。
つまり警察でもらう statement は、そのまま保険の evidence になります。
その statement も引きました。
英英セクションに5つ、アメリカ英語セクションに3つ、ビジネス英語セクションに3つ、合わせて11個の語義が並びます。
英英セクションの1つ目は「something that someone says or writes officially, or an action done to express an opinion」で、例文は「He produced a signed statement from the prisoner.」です。
署名入りの供述書を出した、という意味になります。
英英セクションの2つ目は、まったく別の紙です。
「a record of the amounts of money paid into and taken out of your bank account during a particular period of time」で、銀行の取引明細のことです。
アメリカ英語セクションの3つ目にも「a bank/credit card statement」という例が載っています。
盗まれたあとにカードの不正利用を説明するときは、こちらの statement が要ります。
同じ語で、供述書と取引明細の両方を指すので、窓口で statement とだけ言うと話が噛み合わなくなります。
最後に、戻ってくるお金の言い方です。
refund は、英英セクションに2つ、アメリカ英語セクションに1つ、ビジネス英語セクションに2つ、合わせて5個の語義でした。
英英セクションの名詞は「an amount of money that is given back to you, especially because you are not happy with a product or service that you have bought」です。
買った商品やサービスに満足できないので返してもらうお金、という意味になります。
reimburse は、3つのセクションに1つずつで、合わせて3個の語義です。
英英セクションの語義は「to pay back money to someone who has spent it for you or lost it because of you」で、あなたのために使った金や、あなたのせいで失った金を返す、という意味です。
アメリカ英語セクションの例文は「They’re going to reimburse me for the airfare.」で、航空運賃を払い戻してもらえる、という意味になります。
盗まれた分の立て替えを返してもらう場面では refund ではなく reimburse が当たります。
保険会社に出す3文
電話でも窓口でも、この3文で足ります。
I would like to make a claim. My wallet was stolen in Rome.
請求をしたいです、ローマで財布を盗まれました、という意味です。
I have a police report from the local police.
地元の警察の書類を持っています、という意味になります。
What documents do you need from me?
こちらから何の書類を出せばいいですか、という意味です。
3文目を先に聞いてしまうと、やり直しが減ります。
証拠として通る書類
イギリス政府の案内は、保険のために求める紙を2つの名前で書いていました。
1つが a statement about the loss、もう1つが a crime report です。
カナダ政府の案内は a police report という名前で、同じ紙のことを「it may help with insurance claims」と説明しています。
辞書のビジネス英語セクションが evidence の中に official statements を入れているので、名前が違っても役目は同じです。
窓口で通らなかったら、statement・crime report・police report の3つを順に言えば、どれかで通ります。
出典=Cambridge Dictionary|claim/insurance/evidence/statement/refund/reimburse/GOV.UK|Reporting a crime abroad and getting help
大使館に助けを求める盗まれた英語|できることとできないこと
盗まれたら大使館、と思っている人は多いです。
ところが、各国政府が自分のサイトに書いている「できないこと」の一覧を読むと、期待していることの半分は断られます。
先に語を押さえます。
Cambridge Dictionary で embassy を引くと、英英セクションに2つ、アメリカ英語セクションに1つ、ビジネス英語セクションに1つ、合わせて4個の語義が並びます。
英英セクションの1つ目は「the group of people who represent their country in a foreign country」で、外国で自国を代表する人たちの集まり、という意味です。
2つ目は「the building that these people work in」で、その人たちが働く建物、という意味になります。
embassy は人の集まりと建物の両方を指すので、行き先として使っても人として使っても通ります。
consulate は、3つのセクションに1つずつで、合わせて3個の語義でした。
英英セクションの語義は「the office where a consul works」の一言で、例文は「the Cuban consulate in Mexico City」です。
大使館は首都に1つ、領事館は主要都市にいくつか、という配置なので、旅行先から近いのは領事館のほうです。
ここから公的資料です。
イギリス政府の「Get help if you’re a victim of crime abroad」は、できることを5つ挙げています。
1つ目が「understand the local police customs and basic legal system」で、地元の警察のやり方と法制度の基本を理解する手助けです。
2つ目が「find an English-speaking lawyer or translator or interpreter」で、英語が話せる弁護士や翻訳者や通訳を探す手助けです。
3つ目が「access medical treatment or an English-speaking doctor, if available」で、治療や英語の話せる医師にたどり着く手助けです。
4つ目が「contact your relatives and friends to let them know something has happened to you」で、家族や友人への連絡です。
5つ目が「liaise with your bank or insurer, where possible, and give you information about transferring money」で、銀行や保険会社との橋渡しと送金の情報です。
そして、できないことが5つ並びます。
「give you legal advice」「collect evidence or investigate crimes」「influence the outcome of any investigation or trial」「give you financial help, for example for travel costs to a trial abroad」の4つに続いて、最後の1つがこれです。
accept any lost or recovered stolen property, except for passports
なくしたものや見つかった盗品は、旅券を除いて受け取らない、という意味です。
財布が見つかっても、大使館では預かってもらえません。
同じページには、イギリス国内からの連絡先も書かれています。
原文は「In the UK you can contact the FCDO for help and advice 24/7 on +44 (0) 20 7008 5000.」で、24時間365日つながる番号です。
カナダ政府の「About consular services」も、同じ形で書き分けています。
できることの中には「help you replace a lost, stolen, damaged or expired Canadian passport」が入っています。
また「give you contact information for local police and medical services if you have been the victim of robbery, sexual assault or other violent act」もできることの側です。
強盗の被害に遭ったら、警察と医療機関の連絡先を教えてもらえる、という意味になります。
できないことの側には、はっきりこう書かれています。
investigate a crime or death abroad. This is the responsibility of local authorities
海外での犯罪の捜査はしない、それは現地当局の責任だ、という意味です。
さらに「post bail, pay legal fees or medical expenses」「give legal advice, get involved in private legal matters or financial disputes」も並んでいます。
一般サービスのところには、もっと直接的な1行があります。
原文は「help Canadians outside Canada to find employment, or accept their mail, store their personal effects or search for lost items」で、これができないことの側に入っています。
なくしたものを探すのは、領事サービスの仕事ではないと明記されています。
盗まれた案内のページにも、同じ趣旨の1行があります。
原文は「replace stolen money or pay your expenses」で、盗まれた現金の肩代わりも費用の立て替えもしない、という意味です。
同じページの緊急連絡先は「+1 613 996 8885 (call collect where available)」で、こちらも24時間365日です。
カナダの案内には、拾得物の扱いについて具体的な日数も書かれていました。
Items are held for up to 30 days.
在外公館で預かる物は最長30日、という意味です。
同じところに「Passports are returned directly to the issuing authority and cannot be given back to the client.」とあり、見つかった旅券は本人ではなく発行元に返されます。
「Credit and debit cards are not returned for security reasons and should be cancelled immediately.」と、カードは返さないことも書かれています。
「Cash is not sent by mail.」と、現金は郵送しないことも明記されています。
お金の補償についても、イギリス政府は範囲をはっきり切っています。
「Compensation if you’re a victim of crime abroad」というページの冒頭はこうです。
You may be able to apply for compensation if you’re a UK resident and have been injured because of a violent crime in another country.
英国居住者で、他国の暴力犯罪によって負傷した場合に補償を申請できることがある、という意味です。
条件は injured と violent crime の2つで、物を盗まれただけの話はここに入っていません。
同じページには「You usually need to report the crime to police in the country in which the crime happened before you apply for compensation.」とも書かれています。
補償を申請する前に、犯罪が起きた国の警察へ届け出るのが普通だ、という意味です。
対象の国も名指しで並んでいて、Albania・Austria・Azerbaijan・Belgium・Bosnia and Herzegovina・Cyprus・Czechia・Denmark・Estonia・Finland・France・Germany・Liechtenstein・Luxembourg・Malta・Montenegro・Netherlands・Norway・Portugal・Romania・Slovakia・Sweden・Switzerland の23か国でした。
それ以外の国については「For all countries, you should contact the British embassy, high commission or consulate to find out how to apply for compensation.」で、公館に聞く流れです。
EUの領事保護のページも、助けが出る場面を並べています。
原文は「lose your travel document, in case of serious accidents or illness, if you are a victim of crime or are arrested, or if you require repatriation in case of an emergency」です。
渡航書類の紛失、重い事故や病気、犯罪の被害、逮捕、緊急時の帰国、という5つの場面が並んでいます。
大使館の窓口で言う2文
公館では、先に用件を切ってから事情を話します。
I am a Japanese national and my passport was stolen yesterday.
日本国籍で、昨日パスポートを盗まれました、という意味です。
Could you tell me what I need to do next?
次に何をすればいいか教えてもらえますか、という意味になります。
2文目を投げておけば、あとは向こうが順番を組み立ててくれます。
大使館が断ってくること
2か国の案内を並べると、断られる中身が重なります。
| 頼みたくなること | イギリス政府の記載 | カナダ政府の記載 |
|---|---|---|
| お金を出してもらう | give you financial help, for example for travel costs to a trial abroad(できない) | replace stolen money or pay your expenses(できない) |
| 犯人を捜してもらう | collect evidence or investigate crimes(できない) | investigate a crime or death abroad(できない) |
| 法律の相談に乗ってもらう | give you legal advice(できない) | give legal advice, get involved in private legal matters or financial disputes(できない) |
| 見つかった持ち物を預かってもらう | accept any lost or recovered stolen property, except for passports(できない) | search for lost items(できない) |
| 旅券を作り直してもらう | (旅券の届出は別ページで案内) | help you replace a lost, stolen, damaged or expired Canadian passport(できる) |
できるのは旅券と情報の橋渡しで、お金と捜査と法律相談は最初から対象外です。
出典=Cambridge Dictionary|embassy/consulate/GOV.UK|Get help if you’re a victim of crime abroad/GOV.UK|Compensation if you’re a victim of crime abroad/Travel.gc.ca|About consular services/Travel.gc.ca|Lost or stolen belongings outside Canada/Your Europe(EU)|Consular protection
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