海外に3週間いると、どこかで必ず美容院の前に立つ日が来て、その日だけは英語の準備が間に合っていないことに気づきます。
通りに面したガラス張りの店があり、中では椅子が4つ並んで、そのうち2つが埋まっています。
看板には短い単語が1つだけ書いてあります。
その単語が女性向けの店を指すのか、男性向けの店を指すのかが読み取れません。
入口のガラスには紙が貼ってあり、そこにも別の単語が並んでいます。
その紙が料金表なのか、募集の告知なのかも分かりません。
思い切って扉を開けると、受付の人が顔を上げて、短い1文を投げてきます。
聞き取れたのは最後の1語だけです。
それが「予約はありますか」なのか「どなたのご指名ですか」なのかで、返す言葉がまったく変わります。
なんとか席に通されたあとも、安心できる時間はありません。
鏡の前に座ると、担当の人が後ろに立って、髪を手に取りながらまた短く聞いてきます。
ここで答えを間違えると、取り返しがつかない形で髪が短くなります。
日本語なら「毛先をそろえるだけで」と言えば済む話です。
その「だけ」を英語のどの単語に乗せるかが、その場では出てきません。
前髪をどうするかを聞かれたときも、同じことが起きます。
こちらが覚えていった単語と、相手が使う単語が、国をまたぐとまるごと入れ替わるからです。
切り終わったあとにも、もう1つ関門があります。
伝票に書かれた金額のほかに、渡すべきお金があるのかどうかという点です。
色を入れる予約を取ろうとして、48時間前に来てくれと言われることもあります。
その48時間が何のための時間なのかを、その場で説明されても聞き取れません。
美容院の英語でつまずく原因は、単語を知らないことではありません。
日本語の「美容院」という1語が、英語では店の種類ごとに別の単語へ割れていて、しかも同じつづりが国をまたぐと別のものを指してしまうからです。
その割れ目は、辞書を引けば語義の数として目に見える形で出てきます。
この記事では Cambridge Dictionary の英語辞典で39語を実際に引いて、語義がいくつ並ぶかを1語ずつ数えました。
数えた語義は合計414個でした。
あわせて、米国FDAの Hair Dyes、英国政府 GOV.UK の「Distributing tips fairly: statutory code of practice」と本文のHTML版、英国法令データベース legislation.gov.uk の Hairdressers (Registration) Act 1964、米国連邦規則 29 CFR 531.52 と 531.55 の原文、米カリフォルニア州理容美容委員会の License Requirements、日本ヘアカラー工業会の英語版パッチテスト解説、そして英国 TONI&GUY の3店舗の料金ページを読みました。
公的資料と公式サイトは合計11ページで、どれも2026年9月26日に実際に開いて原文から数字を取りました。
出典として並べたのは、この記事を書きながら実際に開けたページだけです。
開けなかったページのことは、1文字も書いていません。
美容院の英語は「Just a trim, please.」の1文から|店の名前より先に決める動作
鏡の前に座って、最初に伝えたいことは1つだけです。
大きく変えるのか、長さをそろえるだけなのか、という点です。
それを伝える英語がこれです。
Just a trim, please. です。
「そろえるだけでお願いします」という意味になります。
trim は Cambridge Dictionary で語義16個の語で、そのうちの1つが「an act of making something, especially someone’s hair, tidier or more level by cutting a small amount off it」です。
少しだけ切って、髪を整った状態にする行為、という名詞の語義です。
語義の中に「a small amount」と「especially someone’s hair」が最初から入っています。
つまり trim の一語が「髪を」「少しだけ」の両方を運んでくれます。
動詞の語義にも「to make something tidier or more level by cutting a small amount off it」が並んでいます。
辞書の例文には My hair needs trimming. があり、髪について使う語であることが例文の側でも裏取りできます。
予約を取る段階なら、Could I make an appointment for a haircut? を使います。
「カットの予約をお願いできますか」という意味です。
金額を先に確かめるなら、How much is a cut and blow-dry? です。
この cut and blow-dry という並びは、こちらが作った言い回しではありません。
Cambridge Dictionary の blow-dry の項に She had a cut and blow-dry. という例文がそのまま載っています。
辞書の例文が業界の定番の言い方になっている、という珍しい語です。
この3文が、この記事のいちばん短い答えになります。
そして、この3文で足りるはずなのに口が止まってしまう理由が、次の章の辞書の数字にあります。
美容院の英語で口が止まる理由|辞書39語の語義414個を数えた結果
Cambridge Dictionary で美容院にかかわる語を39語引いて、語義の数を1語ずつ数えました。
合計は414個でした。
いちばん多かったのは cut で、語義は50個あります。
次が back の38個、blow の30個、tip の27個、wash と thin の22個です。
この並びを見ると、美容院で使う語ほど語義がふくらんでいることが分かります。
cut の50個には、紙を切る、費用を削る、授業をさぼる、トランプの山を分ける、といった語義がすべて含まれています。
髪に関係する語義は、そのうちのごく一部です。
cut だけを言うと、50個の中のどれを指したのかが相手に委ねられます。
逆に、いちばん少なかったのは1個の語でした。
米国式のつづりの centimeter が1個です。
次に少ないのが2個の語で、hairdresser・hair・bangs・beautician・centimetre の5語が並びます。
語義が2個しかない語は、意味を取り違える余地がほとんどありません。
つまり、語義の少ない語だけで会話を組めば、誤解の確率はかなり下がります。
問題は、店の側が語義の多い語を平気で使ってくることです。
back は38個の語義を持つ語ですが、美容院では「後ろ」を指す言葉として毎回出てきます。
blow は30個の語義を持っていて、そのほとんどは息を吹く・爆発する・大金を使う、という髪と無関係な話です。
それでも blow-dry という複合語になると語義が3個まで落ちます。
語をくっつけて複合語にすると、語義の数は一気に減ります。
hair の語義は2個、cut の語義は50個、haircut の語義は6個という並びが、その証拠になります。
2個と50個の語を足した複合語が6個に収まる、という減り方です。
この記事で使う言い回しを複合語に寄せているのは、そのためです。
次の章から、この414個の内訳を場面ごとに開いていきます。
美容院の英語で店と人を指す6語|hairdresser・salon・barber・barbershop・stylist・beautician
日本語の「美容院」を英語にしようとすると、最初に6語が候補として出てきます。
hairdresser の語義は2個です。
英国英語の欄では「a person who cuts people’s hair and puts it into a style, usually working in a special shop, called a hairdresser’s」となっています。
注目すべきは、定義の中に店の呼び方まで書き込まれている点です。
hairdresser は人を指す語で、店は hairdresser’s という所有格の形になります。
辞書の例文にも I’ve got a four o’clock appointment at the hairdresser’s. が並んでいます。
4時に美容院の予約がある、という文です。
米国英語の欄の定義は「a person whose job is cutting hair, esp. women’s hair」で、女性の髪が例として挙がっています。
salon の語義は4個です。
英国英語の欄では「a shop where you can get a particular service, especially connected with beauty or fashion」となっていて、髪という語が定義に入っていません。
もう1つの語義は「a meeting of writers, painters, etc., at the house of someone famous or important」で、文化人の集まりを指します。
salon だけでは髪を切る店にならない、ということです。
辞書の例文が a beauty salon と a hairdressing/hair salon の形になっているのは、そのためです。
salon は前に語を足して使うのが辞書どおりの形になります。
barber の語義は5個で、英国英語の欄の定義は「someone who cuts men’s hair and facial hair」です。
facial hair という語が入っているので、顔まわりの毛も範囲に入ります。
同じ項に「a shop where a barber cuts hair」という店を指す語義もあります。
barbershop の語義は3個で、そのうち1つは「a type of singing in which four, usually male, voices in close combination perform popular romantic songs」です。
barbershop は理髪店と、男性四重唱という歌の様式の両方を指します。
米国英語の欄では「a place where men and boys get their hair cut」となっていて、対象が男性と少年に限定されています。
stylist の語義は4個で、そのうち1つが「a person whose job is to help people, especially famous people, decide on a style of clothes, hair, etc.」です。
辞書の例文は a hair stylist で、髪の担当者を指すときは hair を前に足します。
beautician の語義は2個しかありません。
英国英語の欄の定義は「a trained person whose job it is to improve the appearance of a customer’s face, body, and hair, using make-up and beauty treatments, often in a beauty salon」です。
顔と体と髪の3つが同時に入っていて、化粧の話まで含みます。
髪だけを頼みたいときに beautician を使うと、範囲が広がりすぎます。
この6語を整理すると、検索に使うなら hair salon、人を指すなら hairdresser か stylist、男性向けなら barber、という並びになります。
なお、この職業には英国に固有の法律があります。
英国法令データベース legislation.gov.uk にある Hairdressers (Registration) Act 1964 です。
この法律は Hairdressing Council という組織を設け、register of hairdressers という名簿を維持させています。
条の見出しは Establishment of Hairdressing Council、Register of hairdressers、Qualifications for registration の順に並びます。
第2条の本文は、名簿に載せるのは「all persons entitled under this Act to be registered who apply in the prescribed manner」だと定めています。
申し込んだ人を載せる、という書き方になっています。
米国側は州ごとの制度で、数字の出方がまったく違います。
米カリフォルニア州理容美容委員会の License Requirements では、cosmetologist の受験に「not less than 1,000 hours of practical and technical instruction」が要ります。
barber も同じく1,000時間です。
esthetician は600時間、manicurist は400時間、electrologist は600時間と分かれています。
年齢の条件は17歳以上で、学歴は10年生の修了が基準になります。
electrologist だけは12年生の修了が求められます。
英国は名簿、米国は時間数という形で制度の軸が違います。
この違いは、店の看板に出てくる肩書きの重みにもそのまま出ます。
美容院の英語で予約を取る言い方|appointment・booking・walk-in の使い分け
店に入る前の段階で使う語は3つあります。
appointment の語義は10個で、いちばん上の定義は「a formal arrangement to meet or visit someone at a particular time and place」です。
時間と場所を決めて人に会う、という取り決めを指します。
辞書の例文には make an appointment I’d like to make an appointment with Dr Evans, please. が載っています。
この I’d like to make an appointment with 〜 の形が、そのまま美容院でも使えます。
booking の語義は3個で、定義は「an arrangement you make to have a hotel room, tickets, etc. at a particular time in the future」です。
ホテルの部屋やチケットが例に挙がっていて、人に会う取り決めという語義はありません。
人に会う予約は appointment、席や部屋を押さえる予約は booking という分かれ方です。
担当者を指名する美容院の予約は、辞書の定義に照らすと appointment の側に入ります。
walk-in の語義は5個です。
形容詞の語義に「used to refer to a place that you can go to without an appointment」があります。
名詞の語義には「someone who goes to a place without an appointment」が並びます。
つまり walk-in は、場所と人の両方を指せる語です。
辞書の例文は It’s a walk-in dental clinic. と Although the restaurant will take walk-ins, reservations are recommended. の2つです。
予約なしでも受けるが、予約を勧める、という後者の言い回しは美容院でもそのまま出てきます。
予約なしで入るときは、Do you take walk-ins? と聞きます。
「予約なしでも大丈夫ですか」という意味です。
待ち時間を確かめるなら、How long is the wait? を足します。
電話で予約を取るときの順番も、辞書の例文がそのまま型になります。
名乗る、日時を言う、内容を言う、の3段です。
Hi, I’d like to make an appointment for a haircut. から始めます。
次に Do you have anything on Friday afternoon? で日時を投げます。
最後に It’s just a trim. で内容を短く添えます。
この3文だけで予約は取れます。
予約を変えたいとき、取り消したいときの言い方は、ここから枝分かれします。
取り消しと変更のときに動く語は cancel だけではないので、予約をキャンセルする英語で変更・返金・無断キャンセルに分かれる言い方で1通のメールの形まで組んでいます。↓

美容院の英語で長さを伝える言い方|trim の語義16個と単位の落とし穴
席に着いたあと、いちばん重い質問が長さの話です。
ここを外すと、あとから戻す方法がありません。
trim の語義16個のうち、髪に直接かかわるのは動詞1個と名詞1個です。
残りの14個は、費用を削る、生け垣を刈る、服に飾りを付ける、車の内装を指す、といった別の話になります。
それでも美容院で trim が通じるのは、名詞の語義に especially someone’s hair と書かれた但し書きがあるからです。
辞書が髪を名指ししている語は、この語群では trim だけです。
数字で言う「少しだけ」
Just a trim, please. だけだと、相手の「少し」とこちらの「少し」がずれます。
そこで数字を足します。
Just an inch off the ends, please. が定番の形です。
「毛先を1インチだけ」という意味になります。
off という前置詞が「取り除く」側を担うので、切る量を指していることが明確になります。
もっと少なくしたいときは、Just half an inch, please. に変えます。
逆に大きく変えたいときは、trim ではなく cut や restyle を使います。
I’d like a restyle. と言えば、形そのものを変える話になります。
style の語義は19個で、そのうち1つが「a particular shape or design, especially of a person’s hair or clothes」です。
動詞の語義にも「to shape or design something such as a person’s hair」があります。
style は名詞と動詞の両方で髪に使えます。
インチとセンチの割れ目
数字を言うときに問題になるのが単位です。
inch の語義は6個で、定義は「a unit used for measuring length, approximately equal to 2.54 centimetres」です。
米国英語の欄では「a unit of measurement of length equal to 1/12 foot or 2.54 centimeters」と、フィートとの関係まで書かれています。
1インチが2.54センチという数字は、辞書の3つの欄すべてで一致しています。
centimetre の語義は2個で、英国英語の欄では「a unit of measurement of length in the metric system, equal to 0.01 metres or 0.3937 inches」となっています。
米国式のつづりの centimeter は語義が1個だけで、定義は「a unit of measurement of length equal to 0.01 meter or 0.39 inch」です。
同じ長さの単位なのに、英国式は0.3937、米国式は0.39と精度まで違います。
つまり英国でセンチを言っても、米国でセンチを言っても、辞書の側には語義が用意されています。
ただし日常で使われるのはインチのほうです。
2センチと言いたいなら About two centimetres, that’s less than an inch. のように、インチに換算した一言を足すと確実になります。
2.54という数字を覚えていれば、その場で計算ができます。
いちばん安全なのは、指で長さを示しながら This much, please. と言う形です。
単位を1つも使わずに済みます。
美容院の英語で形を伝える言い方|fringe と bangs が国で割れる境目
長さの次に来るのが形の話です。
ここで英国と米国の単語が真っ二つに割れます。
fringe の語義は10個です。
英国英語の欄の5個の語義の中に「an area of hair hanging over the forehead that is cut shorter than the rest of the hair」があります。
額にかかる部分で、他より短く切られた髪、という定義です。
問題は、米国英語の欄です。
米国英語の欄の語義は3個で、その中身は「the outer or less important part of an area, group, or activity」と「a decorative edge of narrow strips of material or threads」と「to form a border around the edge of something」です。
米国英語の欄には、fringe に髪を指す語義が1つもありません。
ビジネス英語の欄の1個も「the outer or less important part of an area, group, or activity」で、やはり髪ではありません。
つまり fringe の10個の語義のうち、髪を指すのは英国英語の欄の1個だけです。
米国で fringe と言うと、周辺部や房飾りの話として受け取られる可能性が残ります。
そこで登場するのが bangs です。
bangs の語義は2個しかありません。
英国英語の欄では「an area of hair hanging over the forehead that is cut shorter than the rest of the hair」です。
米国英語の欄では「the hair, usually cut straight across the front of the face above the eyes」となっています。
2個とも髪の語義で、しかも中身はほぼ同じです。
bangs は語義2個の全部が前髪という、取り違えようのない語です。
fringe が10個で米国側に髪の語義が無く、bangs が2個で両方とも髪です。
この非対称が、英米で呼び方が入れ替わる正体になります。
言い方としては、英国なら Could you trim my fringe? を使います。
米国なら Could you trim my bangs? に置き換えます。
どちらか迷うときは、My fringe, or bangs as you say here. のように両方言えば必ず通じます。
層の入れ方を頼むときは layer を使います。
layer の語義は10個で、英国英語の欄の名詞に「hair cut so that some top parts of the hair are shorter than the hair underneath, to give it a particular style」があります。
動詞の語義にも「to cut hair so that some top parts of the hair are shorter than the hair underneath」が並びます。
layer は名詞と動詞の両方に、髪の層を指す専用の語義があります。
米国英語の欄の例文にも Her hair is long and fluffily layered. が載っています。
頼むときは Could you put some layers in? と言います。
層を減らしたいときは、I’d like it all one length. で1つの長さにそろえる形になります。
分け目は parting です。
parting の語義は5個で、英国英語の欄の1つが「a line on someone’s head, usually from front to back, made by brushing the hair in two different directions」です。
辞書の例文は centre parting と side parting の2つで、真ん中分けと横分けの言い方がそのまま載っています。
なお、米国英語の欄の parting には髪の語義がありません。
米国では part という単語が同じ役目を担います。
量を減らしたいときは thin を使います。
thin の語義は22個で、動詞の語義に「to make a substance less thick」と「When a crowd or a group thins (out), it becomes fewer in number」があります。
Could you thin it out a bit? で「少しすいてください」という頼み方になります。
質感の話をしたいときは texture です。
texture の語義は14個で、そのうち1つが「(of hair) the quality of having shape and not lying flat, especially because of the way it is cut and styled」です。
辞書が hair と明示している語義なので、安心して使えます。
curl の語義は9個で、定義は「a piece of hair that grows or has been formed into a curving shape」です。
straighten の語義は5個で、「to become straight or to make something become straight」が基本の意味になります。
後ろの長さを聞かれたときに出てくる back は、語義38個の語です。
そのうち美容院で効くのは「the inside or outside part of an object, vehicle, building, etc. that is furthest from the front」という位置の語義になります。
美容院の英語で色と仕上げを頼む伝え方|colour・dye・highlights・perm
色の話に入ると、語のつづりが英米で分かれます。
colour の語義は16個で、この1語の中に名詞11個・形容詞1個・動詞4個が入っています。
名詞の語義には「a substance, such as a paint or dye, that you add to something to give it a particular colour」があります。
色そのものだけでなく、色を付ける物質も指せる語です。
英国の料金表に Colour と書いてあれば、この語義で読むことになります。
dye の語義は4個で、動詞は「to change the colour of something using a special liquid」、名詞は「a substance used to change the colour of something」です。
辞書の例文には He dyed his hair black. が英米どちらの欄にも載っています。
dye は英米どちらの欄でも、髪の例文が採用されている語です。
部分的に明るくする施術は highlights と呼ばれます。
highlight の語義は10個で、英国英語の欄に「a narrow strip of hair on a person’s head that has been made a lighter colour than the surrounding hair」があります。
周りより明るい色にした細い髪の筋、という定義です。
残りの9個は、強調する、いちばん面白い場面、文字に色を付ける、といった別の語義になります。
頼むときは I’d like some highlights. と複数形にします。
perm の語義は3個で、名詞は「a chemical process that makes your hair curly, or a hairstyle that is created in this way」です。
動詞の語義は「to make your hair curly by having a perm」です。
辞書の例文には I’m going to get my hair permed on Saturday. が載っています。
get my hair permed という使役の形が、そのまま予約の言い方になります。
洗いの工程は shampoo です。
shampoo の語義は5個で、名詞に「an act of washing something, especially your hair, with shampoo」があります。
辞書の例文には She went to the hairdressers for a shampoo and set. が載っています。
shampoo and set という組み合わせが、辞書の中で1つの施術として扱われています。
仕上げの blow-dry は語義3個で、動詞は「to dry your hair into a style using a hairdryer」です。
名詞は「the act of creating a hair style by using a hairdryer」です。
Start the day at the hairdresser for a quick wash and blow-dry. という例文も並びます。
wash and blow-dry と cut and blow-dry の2つが、辞書に載っている定番の組み合わせです。
wash 単独の語義は22個、dry 単独の語義は19個、blow 単独の語義は30個あります。
3語を単独で使うと語義が散るのに、blow-dry という複合語にすると3個まで絞れます。
髭を当たってもらうなら shave です。
shave の語義は6個で、定義は「to remove hair from the body, especially a man’s face, by cutting it close to the skin with a razor」です。
beard の語義は8個で、そのうち髪に関係するのは「hair that grows on the chin and lower part of a person’s face」の1個だけです。
残りの7個には、ヤギの毛、貝の足糸、関係を偽装する人、といった語義が入っています。
美容院の英語より先に済ませる検査|パッチテストの48時間と米国の法定文言
色を入れる予約を取ると、施術の前に来てくれと言われることがあります。
その理由は、公的な文書の側に書かれています。
米国の法律が決めている一文
米国食品医薬品局FDAの Hair Dyes のページに、coal-tar hair dyes に付ける注意文の原文が載っています。
根拠は連邦食品医薬品化粧品法601条(a)です。
文言はこれです。
Caution – This product contains ingredients which may cause skin irritation on certain individuals and a preliminary test according to accompanying directions should first be made. です。
この製品には人によっては皮膚に刺激を与えうる成分が含まれており、付属の指示に従って事前の検査を先に行うべきである、という意味になります。
preliminary test という語が、法律の文言そのものに入っています。
同じ文言は、続けて別の禁止も定めています。
This product must not be used for dyeing the eyelashes or eyebrows; to do so may cause blindness. です。
まつ毛や眉に使ってはならない、という一文になります。
FDAは、眉やまつ毛を染める色材については承認されたものが1つも無いという立場を取っています。
原文は No color additives are approved for dyeing the eyebrows or eyelashes. です。
承認された色材はゼロという数字が、そのまま書かれています。
48時間という数字の出どころ
日本ヘアカラー工業会の英語版の解説にも、同じ検査が載っています。
Perform a skin allergy test every time 48 hours before you color your hair. です。
染める48時間前に、毎回テストを行う、という記述になります。
見るタイミングは2回で、塗ってから about 30 minutes after application と、48 hours later です。
毎回という点も原文に書かれています。
Even with products that you have used safely in the past, allergic reactions can develop suddenly. という一文です。
過去に問題が無かった製品でも、毎回行う決まりになっています。
英語で聞かれるのは Have you had a skin test with us before? です。
「うちでスキンテストを受けたことはありますか」という質問になります。
受けていなければ、No, I haven’t. と答えます。
こちらから頼むときは、Do I need a skin test before the colour? と聞きます。
この skin test と patch test と allergy alert test は、同じ検査を指す呼び方の違いです。
予約の電話の段階で、I’d like to book a colour, do I need to come in for a test first? と聞いておくと、当日に2度手間が起きません。
なお、体質の申告そのものを伝える言い方は、美容院に限らず同じ型になります。
自分の体質を先に伝える言い方は、アレルギーの英語で公的機関の表示と辞書の語義33個から組んだ一文で場面ごとに並べています。↓

美容院の英語で読む公式の料金表|英TONI&GUY 3店の実額
料金表の読み方は、実物の数字を並べると一気に分かります。
英国の TONI&GUY の公式サイトには、店舗ごとにサービスと価格のページがあります。
2026年9月26日に開いた3店の数字を並べます。
ロンドンのコヴェント・ガーデン店は、Signature Cut が from £55 です。
Signature Blowdry が from £45、Signature Colour が from £75、Signature Highlights が from £85 と続きます。
Signature Balayage が from £155、Keratin Smooth が from £150、Hair Up が from £60、Barbering が from £50、Hair Therapy が from £22 です。
Consultation の欄だけは Free, no obligation です。
相談は無料で、義務も発生しないという表記になっています。
ブライトン店は、Signature Cut が from £57 です。
Signature Blowdry が from £42、Signature Colour が from £70、Signature Highlights が from £70 です。
Signature Balayage が from £110、Barbering が from £47、Hair Therapy が from £21 となっています。
ノッティンガム店は、Signature Cut が from £60 です。
Signature Blowdry が from £28、Signature Colour が from £120、Signature Highlights が from £95 です。
Keratin Smooth が from £175、Barbering が from £50、Hair Therapy が from £20 となっています。
この3店を並べると、地方のほうが安いという思い込みが崩れます。
カットはロンドンの£55がいちばん安く、ノッティンガムの£60がいちばん高い並びです。
カットは地方のほうが高いという結果になっています。
逆にブローはノッティンガムの£28が最安で、ロンドンの£45との差は£17です。
カラーはノッティンガムの£120が最高で、ブライトンの£70との差は£50になります。
同じ看板の同じ名前のメニューで、店が違うと2倍近い差が出ます。
読むときにいちばん重いのが from という語です。
from £55 は「£55から」という意味で、上限を示していません。
担当者の等級や髪の長さで上がる前提の書き方になります。
だから from が付いた料金表を見たら、必ず次の1文を足します。
How much will it be in total? です。
「合計でいくらになりますか」という確認になります。
担当者の等級で変わるかどうかを聞くなら、Does the price change depending on the stylist? を使います。
メニュー名も、英語の語義から読むと中身が見えます。
Blowdry は blow-dry の語義そのままで、ドライヤーで形を作る工程です。
Barbering は barber の動詞の語義「to cut a man’s hair or facial hair」に対応します。
Highlights は highlight の英国英語の欄にある髪の語義の複数形です。
Hair Up は、髪をまとめ上げる施術を指す英国の料金表の定番の項目になります。
美容院の英語とチップ|英国の法律と米国の連邦規則が引いている線
支払いの場面で最後に残るのがチップの話です。
ここは気分の問題ではなく、両国とも文書で線が引かれています。
tip の語義は27個あります。
そのうちチップを指すのは、名詞の「a small amount of money given to someone who has provided you with a service, in addition to the official payment and for their personal use」です。
正規の支払いとは別に、その人個人のために渡す少額、という定義になります。
残りの26個には、助言、先端、ごみ捨て場、傾ける、といった語義が並びます。
tip の語義27個のうち、お金の意味はごく一部です。
gratuity の語義は6個で、こちらは「a small amount of money for someone who has provided you with a service, in addition to the official amount and for their personal use」が筆頭です。
伝票に gratuity と印字されていたら、この語義で読みます。
英国では2023年の法律が動いています。
英国政府 GOV.UK の「Distributing tips fairly: statutory code of practice」のページに、根拠となる法律名が示されています。
The Employment (Allocation of Tips) Act 2023 です。
同じページには makes it mandatory for all tips to be passed on to workers without deductions とあります。
すべてのチップを、天引きなしで働き手に渡すことを義務づける、という意味です。
施行日も同じページに書かれています。
This comes into force on Tuesday 1 October 2024. です。
2024年10月1日から効いています。
本文のHTML版には、さらに細かい数字が並びます。
配る期限は All tips are distributed to staff, at the latest, by the end of the month following the month in which the tips are paid by customers. です。
客が払った月の翌月末までに配る、という期限になります。
示されている例は、6月23日のチップを7月31日までに配るという形です。
記録の保存期間も定められています。
This record must be maintained for a period of three years beginning with the date on which the tip was paid. です。
支払われた日から3年間、記録を残す決まりになっています。
書面の方針についても定めがあります。
原文は The employer is required to have a written tipping policy when qualifying tips are paid at or are otherwise attributable to a place of business on more than an occasional and exceptional basis. です。
現金以外のチップも対象に入ります。
A qualifying non-monetary tip could include a voucher, stamp, token, or similar item that has a fixed value という記述です。
米国側は連邦規則の条文が線を引いています。
29 CFR 531.52の冒頭は A tip is a sum presented by a customer as a gift or gratuity in recognition of some service performed for the customer. です。
受けたサービスへの感謝として、客が贈り物として差し出す金額、という定義になります。
同じ条文は続けて Whether a tip is to be given, and its amount, are matters determined solely by the customer. と定めています。
渡すかどうかも、いくら渡すかも、決めるのは客だけです。
管理職についての定めもあります。
An employer may not allow managers and supervisors to keep any portion of an employee’s tips という一文です。
伝票に service charge と印字されている場合は、別の条文が動きます。
29 CFR 531.55は A compulsory charge for service, such as 15 percent of the amount of the bill, imposed on a customer by an employer’s establishment, is not a tip と定めています。
伝票に強制で乗る15%のような料金は、チップではない、という区別です。
service charge はチップではありません。
だから会計のときに確かめる1文はこれになります。
Is a service charge included? です。
「サービス料は含まれていますか」という確認になります。
担当者に直接渡したいときは、Can I add a tip for my stylist? と聞きます。
カードで払うときは、Can I add it on the card? を足します。
渡す瞬間に添える一言と、断るときの一言は、チップの英語で各国の公的文書から決めた渡す一言と断る一言にまとめています。↓

相手が言ってくる美容院の英語|返ってくる文と、聞き取れないときの逃げ方
ここまでは、こちらから言う側の話でした。
実際に固まるのは、相手が先に話しかけてくる瞬間です。
受付でいちばん多いのが Do you have an appointment? です。
「ご予約はありますか」という質問になります。
答えは Yes, at three under Tanaka. のように、時刻と名前を足すだけで済みます。
予約が無ければ No, do you take walk-ins? と返します。
席に着いたあとに来るのが How much would you like off? です。
「どのくらい切りますか」という意味で、off が「取り除く量」を指しています。
この質問に数字で答えられれば、長さの事故はほぼ起きません。
Just an inch, please. か Just the ends, please. で足ります。
洗いの前には Would you like a wash first? が来ます。
洗面台では Is the temperature OK? と聞かれます。
湯の温度の確認で、答えは It’s fine, thank you. か A bit cooler, please. です。
指名の有無を聞くときは Who did you see last time? が使われます。
前回の担当者を尋ねる質問で、初めてなら It’s my first time here. と返します。
色を頼んだときは Have you had a skin test with us before? が来ます。
仕上げの段階では How does that look? が来ます。
鏡を見せながらの確認で、Could you take a bit more off the back? と頼み直せます。
take more off が「もう少し切る」の定型になります。
逆にこれ以上切ってほしくないときは That’s perfect, thank you. で止めます。
会計では Would you like to book your next appointment? が来ることがあります。
次回の予約を取るかどうかの確認で、断るなら Not today, thank you. で済みます。
聞き取れなかったときの逃げ方も、あらかじめ決めておきます。
いちばん短いのは Sorry? です。
語尾を上げるだけで、もう一度言ってもらえます。
丁寧に言い直してほしいときは Could you say that again, please? を使います。
数字が聞き取れないときは Could you write it down? と頼みます。
長さも金額も、紙に書いてもらえば誤解が消えます。
言葉で説明しきれないときは、写真を見せる方法があります。
Something like this, please. の1文を添えるだけです。
写真1枚は、英単語を20個覚えるより確実に伝わります。
切り終わったあとに困ったことが起きても、言い方は決まっています。
It’s a bit shorter than I wanted. のように、事実だけを短く伝えます。
美容院の英語についてよくある質問
salonとhairdresser’sはどちらで検索できますか?
地図アプリで探すなら hair salon が無難です。
salon 単独の語義には髪という語が入っておらず、文化人の集まりを指す語義まで含むからです。
英国では hairdresser’s という所有格の看板も多く、辞書の定義にもその形が書かれています。
男性向けの短いカットだけなら barbershop で探すほうが早く見つかります。
「いつもと同じで」は何と言いますか?
同じ店の同じ担当者なら The same as last time, please. で通じます。
初めての店では前回の記録が無いので、この1文だけでは足りません。
そのときは Just a trim, about an inch off. のように、長さを数字で足します。
写真を見せて Something like this, please. と添えるほうが確実です。
前髪はfringeとbangsのどちらを使いますか?
英国では fringe、米国では bangs が基本です。
Cambridge Dictionary の fringe は語義10個のうち、髪を指すのは英国英語の欄の1個だけになっています。
米国英語の欄とビジネス英語の欄には、髪の語義が1つもありません。
bangs は語義2個の両方が前髪なので、迷ったら bangs を先に言うほうが安全です。
チップの金額は決まっていますか?
米国の連邦規則29 CFR 531.52は、渡すかどうかも金額も決めるのは客だけだと定めています。
つまり規則の側が金額を決めていません。
伝票に service charge と印字されている場合は、29 CFR 531.55でチップではないと区別されています。
会計のときに Is a service charge included? と確かめる形がいちばん確実です。
予約なしでも入れますか?
店によります。
walk-in という語には「予約なしで行ける場所」と「予約なしで来る人」の両方の語義があります。
辞書の例文にも、予約なしを受けるが予約を勧める、という趣旨の文が載っています。
扉を開けて Do you take walk-ins? と聞けば、その場で分かります。
覚えて帰る1文|美容院の英語を決めるのは店の名前ではなく動作
最後に、持って帰るものを4つに絞ります。
1つめは、席に着いたら Just a trim, please. から始めることです。
trim の語義には「髪を」「少しだけ」が最初から入っています。
2つめは、長さを数字で足すことです。
Just an inch off the ends, please. の inch は2.54センチです。
3つめは、前髪の語を国で切り替えることです。
英国なら fringe、米国なら bangs になります。
4つめは、会計で Is a service charge included? を必ず聞くことです。
米国の連邦規則は、強制で乗る料金をチップとは別物として扱っています。
この4つを頭に入れておけば、鏡の前で固まる時間がかなり短くなります。
店の名前を6通り覚える必要はありません。
決めるのは店の種類ではなく、こちらがしてほしい動作のほうです。
あわせて読みたい
相手の1文が取れなかったときに出す短い言葉は、聞き返す英語でSorry?とPardon?のどちらが安全かを語義23個から決めた話で場面ごとに分けています。↓

参考文献
- hairdresser(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- salon(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- barber(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- barbershop(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- trim(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- layer(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- fringe(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- bangs(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- highlight(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- parting(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- appointment(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- walk-in(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- blow-dry(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- perm(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- tip(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- gratuity(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- Hair Dyes(米国食品医薬品局FDA 公式サイト)
- Distributing tips fairly: statutory code of practice(英国政府 GOV.UK 公式サイト)
- Code of practice on fair and transparent distribution of tips(英国政府 GOV.UK 公式サイト)
- Hairdressers (Registration) Act 1964(英国法令データベース legislation.gov.uk 公式サイト)
- Hairdressers (Registration) Act 1964 Section 2(英国法令データベース legislation.gov.uk 公式サイト)
- 29 CFR 531.52 General restrictions on an employer’s use of its employees’ tips(米国政府出版局 govinfo.gov 公式サイト)
- 29 CFR 531.55 Examples of amounts not received as tips(米国政府出版局 govinfo.gov 公式サイト)
- License Requirements(米カリフォルニア州理容美容委員会 公式サイト)
- Performing skin allergy tests (patch tests)(日本ヘアカラー工業会JHCIA 公式サイト)
- Services and prices at TONI&GUY Covent Garden(TONI&GUY 公式サイト)
- Services and prices at TONI&GUY Brighton(TONI&GUY 公式サイト)
- Services and prices at TONI&GUY Nottingham(TONI&GUY 公式サイト)
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