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英語を話せるようになるには何から? 文科省の語数と米国務省の時間数を読んで、口が動くまでの順番を組み直しました

英語を話せるようになるには何から始めるかを説明するひつじのイラスト
英語を話せるようになるには何から始めるかを説明するひつじのイラスト
ひつじ

英語を話せるようになるには、何から始めればいいですか?
単語帳は何冊も買ったのに、いざとなると口が止まります。

回答

英語を話せるようになるには、知っている文を口で組み立てる練習を、単語を増やすより先に始めます。

  • 中学で習う文型と語彙で、旅行や日常の会話の大部分は組み立てられます。
  • 止まる原因の多くは知識の量ではなく、日本語から英語へ組み立て直す速さです。

順番は、目標の場面を決める→中学文法を口で言える形に戻す→音読で音を入れる→瞬間英作文で速くする→実際に話して穴を見つける、の5段です。

筆者が、文部科学省の学習指導要領と英語教育実施状況調査、米国務省の語学研修の目安、英語教育の研究書を読んで確かめ、話せるようになるまでの順番に並べ直しました。

この記事を読めば、

  • 自分が止まっている原因がどこにあるか
  • 今日から何を何分やればいいか
  • 遠回りになる3つの勉強のしかた

までそろうので、次に買う教材で迷わなくなります。

TOC

英語を話せるようになるには口で文を組み立てる練習が先

話せない人の多くは、英語を読めば意味が分かります。

それでも口が動かないのは、読むときと話すときで、頭の中の作業がまったく違うからです。

読むときは、目の前にある英文を日本語の意味に置き換えるだけで済みます。

話すときは、日本語の意味から単語を選び、語順を決め、音にして外へ出すところまで、一人でやらなければなりません。

この「組み立てて音にする」工程は、単語帳をめくっても鍛えられません。

組み立ては知識ではなく、くり返して速くなる技能に近いものです。

a necessary (but not sufficient) condition to move from stage i to stage i + 1 is that the acquirer understand input that contains i + 1

(クラッシェン氏の著書『Principles and Practice in SLA』より)

言語習得の研究で知られるクラッシェン氏は、少し上のレベルの英語を「理解できる形で」浴びることを、上達の必要条件として挙げています。

同じ文には、それだけでは十分条件ではない、という但し書きが付いています。

理解できる英語をたっぷり入れ、そのうえで自分の口で組み立てる回数を積む。

英語を話せるようになるには、この入れる側と出す側の両方が欠かせません。

どちらか片方だけを何年続けても、話す力は思ったほど伸びません。

英語を話せるようになるには、まず話せない理由の切り分け

話せない理由は、人によって詰まっている場所が違います。

詰まっている場所が違えば、効く練習も変わります。

下の4つのうち、自分がいちばん当てはまるものを1つ選んでから読み進めてください。

話せない理由の4つの型
  • 言いたい単語がそもそも出てこない
  • 単語は分かるのに、文にするまでに時間がかかる
  • 文は作れるのに、発音に自信がなくて声が小さくなる
  • 間違えるのが怖くて、最初の一言が出ない

単語が出てこない型

このタイプは、知っている単語の数より、すぐ取り出せる単語の数が足りていません。

目で見れば分かる単語と、口から出せる単語は、同じ単語でも別の引き出しに入っています。

対策は、新しい単語を増やすより、中学レベルの単語を声に出して使う回数を増やすことです。

文にするのが遅い型

いちばん多いのが、このタイプです。

日本語で言いたいことを思い浮かべ、それを英語の語順に並べ替えるまでに、数秒かかってしまいます。

会話の相手は、その数秒を待ってくれません。

組み立ての速さは練習で縮みます。

このあと紹介する瞬間英作文は、この型のための練習です。

音に自信がない型

文は頭の中でできているのに、声に出す段階でためらう人もいます。

原因の多くは、英語の音を自分の口で出したことが少ないことです。

音読とリピーティングで、自分の口に英語の音をなじませるところから始めます。

間違いが怖い型

最後は、気持ちの面で止まっているタイプです。

学校の英語は、正しい答えを1つ書く試験で評価されてきました。

そのため、完璧な文ができるまで口を開かない癖が付いている人は少なくありません。

会話では、多少の文法の間違いより、何も言わないことのほうが伝わりません。

間違いを減らす練習と、間違えても話す練習は、分けて考えます。

英語を話せるようになるには中学英語の語数で足りるか

「中学英語で話せる」という言葉を、よく見かけます。

では、中学で習う単語は何語なのか、文部科学省の学習指導要領を読んで確かめました。

学習指導要領(告示の年)中学校で指導する語数
平成10年告示900語程度まで
平成20年告示1200語程度
平成29年告示小学校で習った語に1600〜1800語程度の新語を加えた語

表は、平成10年告示の中学校学習指導要領、平成20年版の解説、平成29年告示の解説から語数の部分だけを抜き出したものです。

習った語数は世代で違う

表を見ると、中学で習う語数が学んだ時期によって倍近く違うことが分かるはずです。

平成29年告示の解説では、小学校で600〜700語程度、中学校で1,600〜1,800語程度、高等学校で1,800〜2,500語程度を指導すると整理されています。

大人になってから学び直す人の多くは、今の中学生より少ない語数で卒業した世代です。

ただし、900語でも1,200語でも、旅行や日常のやりとりの骨組みは組めます。

足りないのは語数より、その語を使って文を作った回数のほうです。

学習者向けの基本語は3,000語

英語を母語としない学習者向けには、オックスフォード大学出版局が「Oxford 3000」という基本語のリストを公開しています。

The Oxford 3000 is a list of the 3,000 core words that every learner of English needs to know.

(Oxford Learner’s Dictionariesの解説ページより)

この3,000語は、CEFRのA1からB2の各レベルに振り分けられています。

中学の語数とこの3,000語のあいだの差が、次に足していく単語の目安です。

まずは中学の語彙で文を組み立てられるようにして、足りない語はそのあとで足します。

中学卒業時点の英語力

文部科学省の令和6年度「英語教育実施状況調査」では、CEFR A1レベル相当以上の英語力がある中学3年生は52.4%でした。

A1は英検3級相当で、身近な話題について簡単なやりとりができる入口のレベルです。

中学を出た時点で、約半分の生徒がこの入口に立っている計算になります。

つまり「中学英語をやり直す」ことは、遠回りではなく、話すための土台づくりそのものです。

英語を話せるようになるには何から始めるか|5つの順番

ここからは、口が動くようになるまでの順番を5つに分けて並べます。

順番を入れ替えると、前の段の穴が後ろの段で目立ってしまいます。

口が動くまでの5つの順番
  1. 話したい場面を1つ決める
  2. 中学文法を口で言える形に戻す
  3. 音読とリピーティングで音を入れる
  4. 瞬間英作文で組み立てを速くする
  5. 実際に話して穴を見つける

話したい場面を決める

最初に、英語を話したい場面を1つだけ決めます。

旅行で注文したい、職場で自己紹介したい、オンラインで雑談したい、のように具体的な場面です。

場面が決まると、覚える単語とフレーズの範囲がぐっと狭くなります。

範囲が狭いほど同じ表現を何度も口にでき、口が慣れるのも早くなるのです。

旅行が目的なら、海外旅行の英語フレーズを口を開く回数が多い順に並べた記事も参考になります

旅行の場面で最初に覚える8つの型は、海外旅行の英語フレーズの記事にまとめています

中学文法を口で戻す

次に、中学で習う文法を、紙の上ではなく口で言える形に戻します。

会話の骨組みになるのは、現在形・過去形・未来の表し方・疑問文・否定文・比較・現在完了あたりです。

文法書を読み直すより、例文を声に出して言える状態にするほうが話す力に直結します。

1つの文法事項につき、自分に関係のある例文を3つ作って言ってみるだけでも、定着の度合いが変わります。

音読で音を入れる

3段目は、英語の音を自分の口に入れる段階です。

音声つきの教材を用意して、聞いたとおりにまねして読む音読と、1文ずつ止めてくり返すリピーティングを行います。

意味の分かる英文を使うのがコツです。

意味の分からない英文をまねしても、音は入りますが、組み立ての練習にはつながりにくくなります。

瞬間英作文で速くする

4段目が、組み立ての速さを鍛える瞬間英作文です。

日本語の短い文を見て、すぐに英語で言い、答えの英文で確かめる、というトレーニングです。

ベレ出版の瞬間英作文の紹介ページでは、日本文を見て口頭で英作文する→英文で答え合わせをする→英文を音読して口に落ち着ける→連続して英作文する、という流れが示されています。

使う文は、中学で習うレベルの文型だけで十分です。

難しい文を1回作るより、簡単な文を何十回も速く作るほうが、会話の瞬発力につながります。

話して穴を見つける

最後は、実際に話す段階です。

オンライン英会話、AIとの音声会話、旅先でのやりとりなど、相手のいる場で使ってみます。

話してみると、言えなかった表現、聞き返された発音、時間がかかった文型が必ず見つかります。

見つかった穴は1〜4段目で埋める。

このくり返しが、話せる範囲を少しずつ広げていくいちばんの近道です。

聞き取れなかったときの一言は、聞き返す英語の記事で辞書の語義から整理しています

Sorry?とPardon?のどちらが安全かは、聞き返す英語の記事にまとめています

英語を話せるようになるには言い換えの力も要る

語数が限られていても話せる人は、言い換えがうまい人です。

言いたい単語が出てこないとき、別の簡単な単語で説明できれば、会話は止まりません。

単語を説明で逃がす

たとえば「炊飯器」が出てこなければ、機械の用途で説明します。

「締め切り」が出てこなければ、日付と動詞で言い換えます。

言い換えの例(筆者の作例)
  • 炊飯器 → It’s a machine for cooking rice.
  • 締め切りは金曜 → I have to finish it by Friday.
  • 通勤 → I take the train to work every day.

難しい1語を探すより、知っている3語で説明するほうが早く伝わります。

1文を短く切る

日本語の長い1文を、そのまま英語にしようとすると、途中で文が崩れます。

言いたいことを2つか3つの短い文に切ってから話すと、中学の文型だけで組み立てられます。

主語と動詞の組を先に決めて、細かい情報は後ろの文に回すのがコツです。

この「少ない語彙で言い換えて話す」考え方は、約1,500語の基本語で話すグロービッシュや、インド式英会話でも重視されています。

インド出身の講師サチン・チョードリー氏が、この言い換えの考え方を全4回の無料動画講座で公開しています。

英語を話せるようになるにはどれくらいの時間がかかるか

どれくらいの時間で話せるようになるかは、いちばん多い質問の1つです。

正直なところ、始める時点の力と目標のレベルによって大きく変わります。

それでも、公的な機関が出している数字を見ておくと、自分の計画を立てる手がかりになります。

米国務省の語学研修の目安

米国務省の外交官向け語学研修機関は、英語を母語とする人が各言語を身につけるまでの研修期間の目安を公開しています。

分類研修期間の目安主な言語
カテゴリーⅠ24〜30週(552〜690授業時間)フランス語・スペイン語など
カテゴリーⅡ約36週(828授業時間)ドイツ語など
カテゴリーⅢ約44週(1,012授業時間)タイ語・ロシア語など
カテゴリーⅣ88週(2200授業時間)日本語・中国語・韓国語・アラビア語

表は米国務省「Foreign Language Training」の分類をもとにまとめました。

日本語は、英語話者にとっていちばん時間がかかるカテゴリーⅣに入っています。

この表は英語話者が日本語を学ぶ向きの数字なので、日本人が英語を学ぶ場合にそのまま当てはめることはできません。

ただ、言語どうしの距離が遠いほど時間がかかることは、逆向きでも同じように考えられます。

目標は仕事で使えるレベルです。

旅行や日常会話が目標なら、必要な時間はこれよりずっと短くなります。

中学3年間の授業時間

中学校の英語の授業は、平成20年版の学習指導要領の解説で、年間105時間から140時間に増やされたことが示されています。

1単位時間は50分なので、140時間を3年続けると420単位時間、時間にすると約350時間です。

中学3年間の授業だけでは、話せるようになるための時間としては足りていないことが分かります。

足りない分を埋めるのは、毎日の短い練習の積み上げです。

1日30分でも、1年続ければ180時間を超えます。

毎日の30分をどう使うかは、次のように割り振ると、入れる練習と出す練習の両方がそろいます。

時間やることねらい
5分中学文法の例文を声に出す文の骨組みを口に戻す
10分音読とリピーティング英語の音を口になじませる
10分瞬間英作文組み立ての速さを上げる
5分今日の文を1つ独り言で言う自分の話題で使ってみる

表は、この記事の5つの順番を1日に収めた筆者の作例です。

最初の1か月は、表のうち音読と瞬間英作文の15分〜20分だけでも構いません。

毎日同じ時間帯に同じ順番でやると、始めるまでの迷いが消えて続けやすくなります。

慣れてきたら、最後の独り言の5分を、オンライン英会話やAIとの音声会話に置き換えていきます。

独り言では、その日にあったことを3文だけ英語で言ってみるのがおすすめです。

独り言の例(筆者の作例)
  • 今日は雨だった → It rained today.
  • 駅まで歩いた → I walked to the station.
  • 夜にカレーを食べた → I had curry for dinner.

自分の生活の話題は、実際の会話でもいちばんよく聞かれる話題です。

英語を話せるようになるには独学だけで足りるか

独学で話せるようになるかどうかは、どこまでを一人でやるかで答えが変わります。

一人でできること

中学文法の口での復習、音読、リピーティング、瞬間英作文は、すべて一人でできます。

教材も、書店の本やNHKの語学講座のようなものから選べるので、お金はあまりかかりません。

組み立ての練習までは、独学でも十分に進められます。

相手が要ること

一方で、相手の返事に合わせて言葉を変える力は、相手がいないと鍛えにくい部分です。

オンライン英会話やAIとの音声会話は、この「相手のいる練習」を安く増やす手段になります。

英会話スクールや留学も選択肢ですが、費用と時間がかかるため、独学の段で口が動くようになってからでも遅くありません。

独学で土台を作り、相手のいる場で仕上げる、という分け方がいちばん無理がありません。

英語を話せるようになるには避けたい3つの遠回り

時間をかけているのに話せない人には、共通する遠回りがあります。

聞き流しだけで待つ

意味の分からない英語を流し続けても、話す力はほとんど伸びません。

クラッシェン氏が挙げたのも、ただの英語ではなく「理解できる」英語でした。

聞くなら、意味の分かる英文を、音読やリピーティングとセットにします。

単語帳だけ先に進める

単語帳を何周もしても、文を組み立てた回数が増えなければ、口からは出てきません。

覚えた単語は、その日のうちに自分の文で1回使ってから次へ進みます。

完璧な文を待つ

完璧な文ができるまで話さないと決めると、話す回数そのものが増えません。

間違いは、話したあとで直せば十分です。

話す回数を増やすことが、間違いを減らすいちばんの近道です。

英語を話せるようになるにはのよくある質問

英語を話せるようになりたい人から、よく出る質問に答えます。

英語は独学で話せるようになりますか?

組み立ての練習までは独学で十分に進められます。

相手の返事に合わせて話す力は、オンライン英会話やAIとの会話など、相手のいる練習で仕上げます。

英語がペラペラになるまで何年かかりますか?

目標のレベルと、始める時点の力によって大きく変わります。

米国務省の目安では、英語話者が日本語を仕事で使えるレベルまで学ぶ期間は88週(2200授業時間)です。

旅行や日常会話が目標なら、それよりずっと短い時間で届きます。

中学英語だけで話せるようになりますか?

旅行や日常のやりとりの骨組みは、中学で習う文型と語彙で組めます。

足りない単語は、話す場面を決めてから必要な分だけ足します。

何歳からでも話せるようになりますか?

始める年齢より、口で文を組み立てる練習をどれだけ積んだかのほうが結果を左右します。

大人は目的がはっきりしている分、覚える範囲を絞り込みやすいという強みがあります。

英語を話せるようになるにはのまとめ

英語を話せるようになるには、知っている文を口で組み立てる練習を先に始めます。

中学の文型と語彙を、読める状態から言える状態に戻すことが出発点です。

順番は、場面を決める→中学文法を口で戻す→音読で音を入れる→瞬間英作文で速くする→話して穴を見つける、の5段です。

単語を増やすのは、口が動き始めてからでも間に合います。

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