旅先で急に気分が悪いと感じたとき、口から出す英語をその場で選べる人はほとんどいません。
朝はなんともなかったのに、昼を過ぎたあたりから頭の芯が重くなります。
バスの座席に座っているだけで、床が少し傾いているように感じます。
窓の外の景色が流れるたびに、胃のあたりが持ち上がります。
隣の人に何か伝えたいのに、最初の1語が出てきません。
学校で習った I’m sick. が頭に浮かびます。
けれども、それを言っていいのかどうかが分かりません。
sick は病気という意味だと覚えているので、大げさすぎる気もします。
かといって I’m tired. では、いまの状態とはまるで違います。
ホテルのフロントでも同じことが起きます。
部屋の鍵を受け取ったあと、立っているのがつらいことを伝えたくなります。
けれども「立っているのがつらい」を英語でどう言うのかが分かりません。
飛行機の中ではもっと困ります。
シートベルトのサインが点いていて、席を立てません。
客室乗務員が通路を通るのは、数分に一度だけです。
その数分のあいだに、何と声をかけるかを決めておかなければなりません。
日本語なら「ちょっと気分が悪くて」の一言で済みます。
この一言は、吐き気にも、めまいにも、だるさにも、全部そのまま使えます。
英語には、その便利な一言がありません。
日本語の「気分が悪い」は、英語では最低でも5つの別の語に割れています。
しかも、その割れ方は国によって変わります。
同じ I was sick. が、英国では「吐きました」という報告になります。
米国では「体調を崩していました」という意味で受け取られます。
この差は感覚の問題ではなく、辞書の語義の並びとしてそのまま残っています。
だからこの記事では、Cambridge Dictionary の英語辞典で26語を実際に引きました。
引いた語の語義は、全部で133個あります。
sick が14個、ill が14個、feel が28個です。
unwell は1個、light-headed も1個、travel sickness も1個です。
語義が1個しかない語は、取り違えようがありません。
語義が10個を超える語が、事故の元になります。
あわせて、英国 NHS の When to use NHS 111 と When to call 999 の2ページを開きました。
英国政府 GOV.UK の Foreign travel insurance と、フランスの渡航情報の Health の章も読みました。
米国 CDC の Getting Health Care During Travel も開いています。
空の上の話は、欧州航空安全機関(EASA)の FAQ と、英国民間航空局(CAA)の fitness to fly の解説から取りました。
この記事が扱うのは、英語の言い方だけです。
治し方・薬・原因の話は1文字も書きません。
体調そのもののことは、その場にいる医療の専門家に任せる話です。
ここで決めたいのは、その専門家に届く1文をどう選ぶか、それだけです。
出典として並べたのは、書きながら実際に開けたページだけです。
開けなかったページのことは、1文字も書いていません。
気分が悪いの英語は「I feel sick.」の1文|英語で先に言う結論
その場でいちばん最初に言う1文は、これです。
I feel sick.
「気分が悪いです」という意味になります。
Cambridge Dictionary の英語辞典で sick を引くと、形容詞の3つめに feeling ill as if you are going to vomit という語義が並びます。
「吐きそうなくらい具合が悪いと感じている」という意味です。
米国側の American Dictionary にも feeling as if you are going to vomit という語義があり、その例文がそのまま I feel sick. です。
つまり、この1文は英国の辞書にも米国の辞書にも載っている形になります。
I feel sick. は英米どちらでも「いま気持ちが悪い」と伝わります。
ここに feel が入っていることが、この記事のいちばん大事な一点です。
feel を外した I’m sick. や I was sick. は、国によって別の意味に振れます。
その理由は、あとの章で辞書の語義の並びごと見ていきます。
次に足すのは、症状の方向を1つだけ示す語です。
吐きそうなら I feel nauseous. です。
頭がふらつくなら I feel dizzy. です。
倒れそうなら I feel faint. です。
体全体がだるいなら I feel unwell. です。
動詞は全部 feel でそろえます
主語と動詞を毎回組み直そうとすると、そこで口が止まります。
I feel ___. の空欄に語を1つ入れるだけなら、考える場所が1か所で済みます。
助けを求める1文も、あわせて決めておきます。
I don’t feel well. Could you help me?
「気分がよくありません、助けてもらえますか」という意味になります。
この2文なら、機内でも、ホテルでも、駅でも同じように通ります。
口から出す文は I feel sick. と Could you help me? の2つで足ります。
残りは、相手から返ってくる英語を聞き分けられるかどうかの勝負になります。
だからこの記事の残りは、辞書と公的機関の原文を使って、その聞き分けの線を引くことに使います。
気分が悪いを英語のsickに置き換えるとズレる理由|辞書に並ぶsickの語義14個
日本語の「気分が悪い」は、体の状態をひとまとめにした便利な言い方です。
吐き気も、めまいも、だるさも、頭の重さも、全部この5文字に入ります。
英語の sick には、その守備範囲がありません。
Cambridge Dictionary で sick を引くと、語義が14個並びます。
内訳は、英語辞典(Cambridge Advanced Learner’s Dictionary)の側に9個です。
American Dictionary の側に3個、Business English の側に2個が並びます。
英語辞典の9個を上から順に見ていくと、割れ目がはっきりします。
1つめは physically or mentally ill; not well or healthy で、レベル表示は A2 です。
体か心が健康でない状態を指す、いちばん広い語義になります。
2つめは句としての call in sick で、語義は to tell your employer, usually by phone, that you are unable to go to work because of illness です。
米国では call out sick、英国では ring in sick という形も同じ場所に並びます。
3つめが feeling ill as if you are going to vomit で、動詞のあとに置く形だけで使います。
4つめが句としての be sick で、語義はたった3語の to vomit です。
5つめは feeling strong unpleasant emotions, especially anger or disgust で、怒りや嫌悪の意味になります。
6つめは cruel or offensive で、残酷・不快という評価の語です。
7つめは very good, excellent で、若い世代が使う褒め言葉になります。
名詞の側は2つあり、the sick が people who are ill、不可算の sick が vomit です。
同じ sick が、病気・吐く・不快・残酷・最高の5方向へ散っています。
ここまで散った語を、日本語の「気分が悪い」の訳語として1対1で当てるのは、そもそも無理があります。
比べてみると、その無理がもっとはっきりします。
unwell を引くと、語義は1個しかありません。
not well; ill だけです。
例文も If you feel unwell, tell the teacher. で、迷う余地がありません。
light-headed も語義は1個です。
If you feel light-headed, you feel weak and as if you are going to lose your balance という書き方で、意味が1本に絞られています。
travel sickness も1個で、a feeling of illness, especially of needing to vomit, that some people get in a moving vehicle です。
語義1個の語は誤解されません
逆に、この記事で引いた26語のうち、語義が10個を超えるのは3語だけです。
feel が28個、ill が14個、hurt が11個です。
feel の28個は、英語辞典15個・American Dictionary 5個・Business English 8個の合計になります。
ただし feel は「感じる」という枠そのものなので、語義が多いこと自体は困りません。
困るのは、sick のように1語の中に正反対の方向が同居している場合です。
sick は14個のうち、体調を指すのが3個、吐くことを指すのが2個、評価を指すのが3個に割れます。
相手はその14個のどれかを瞬時に選んで聞いています。
どれを選ばせるかを決めるのが、直前に置く動詞です。
気分が悪いの英語で最大の落とし穴|英国の英語でbe sickが指す動作
この記事でいちばん伝えたいのは、ここです。
英語辞典の sick の4つめの語義は、句としての be sick です。
語義は to vomit の3語だけです。
レベル表示は B1 で、初級を終えた段階で覚える語として位置づけられています。
例文は She was sick after she ate too much chocolate. です。
「チョコレートを食べすぎて吐いた」という意味になります。
もう1つの例文は We had a really rough crossing – I was sick three times. です。
「航海がひどく荒れて、3回吐いた」という意味です。
I was sick three times. は「3回吐いた」で、「3回体調を崩した」ではありません。
回数が数えられている時点で、これは状態ではなく動作を指しています。
日本語の感覚で「3日間ずっと気分が悪かった」のつもりで I was sick for three days. と言うと、英国の相手は3日間吐き続けた人の話として聞きます。
この取り違えは、単語を知らないから起きるのではありません。
知っている単語の語義を、1個しか知らないから起きます。
I feel sick.が指す状態
feel が入ると、意味は状態のほうへ寄ります。
語義は feeling ill as if you are going to vomit で、文法表示は after verb です。
動詞のあとに置く形でしか使わない、という指定になります。
指しているのは「吐きそうだと感じている」という、いまの状態です。
まだ吐いてはいません。
だから機内でもホテルでも駅でも、この文はそのまま使えます。
相手は「これから吐くかもしれない人」として動いてくれます。
客室乗務員なら、袋と水を先に持ってきます。
ホテルのフロントなら、椅子を出して座らせてくれます。
be 動詞ではなく feel を選ぶだけで、相手の行動がそこまで変わります。
I was sick.が指す動作
feel を外して be 動詞だけにすると、英国では意味が変わります。
I was sick. は「吐きました」という報告になります。
I’ve been sick twice. なら「2回吐きました」です。
起きてほしくない取り違えは、この逆方向でも起こります。
吐いていないのに I was sick. と言うと、相手は吐いたものとして手配を始めます。
逆に、実際に吐いたのに I felt sick. とだけ言うと、相手には「気持ちが悪かった」としか伝わりません。
吐いたかどうかは、feel が入るかどうかで分かれます。
どちらか迷ったときは、動詞を throw up に置き換えると誤解が消えます。
throw up の語義は、英語辞典3個・American Dictionary 1個・Business English 2個の合計6個です。
英語辞典の1つめが to vomit で、例文は I spent all night throwing up. です。
I threw up. なら、英米どちらでも「吐きました」の意味にしかなりません。
動詞の vomit をそのまま使ってもかまいません。
vomit の語義は4個で、動詞は to empty the contents of the stomach through the mouth です。
ただし vomit は、説明文や医療の現場で使う硬い語になります。
会話で先に出すなら、throw up のほうが自然です。
気分が悪いの英語を5語に割る|sick・nauseous・dizzy・faint・unwellの語義の数
日本語の「気分が悪い」を英語へ渡すときに、最初に選ぶ語は5つです。
sick・nauseous・dizzy・faint・unwell の5語です。
この5語の語義の数を並べると、どれが安全でどれが危ないかが一目で分かります。
- sick = 14個(英語辞典9・American Dictionary 3・Business English 2)
- faint = 8個(英語辞典5・American Dictionary 3)
- dizzy = 4個(英語辞典3・American Dictionary 1)
- nauseous = 3個(英語辞典2・American Dictionary 1)
- unwell = 1個(英語辞典1)
数だけを見ると、いちばん安全なのは unwell です。
いちばん危ないのが sick で、その次が faint になります。
言い間違えたくない場面では、語義が少ない語から選びます。
とはいえ、unwell だけでは症状の方向が相手に伝わりません。
だから、方向を伝える語も合わせて覚えておきます。
方向は、吐き気側とふらつき側の2つに割れます。
吐き気側の3語の語義の数
吐き気の方向を指す語は、nauseous・queasy・sick の3つです。
nauseous の語義は3個です。
英語辞典の1つめが feeling as if you might vomit です。
2つめが making you feel as if you might vomit で、こちらは相手を気持ち悪くさせる側の意味になります。
例文は Roller coasters make me feel nauseous. です。
ジェットコースターで気持ち悪くなる、という文になります。
queasy の語義も3個です。
英語辞典の1つめが feeling that you want to vomit で、例文は I started to feel queasy as soon as the boat left the harbour. です。
船が港を出たとたんに気持ち悪くなった、という文です。
2つめは feeling worried, unhappy, or uncertain about something で、こちらは気持ちの落ち着かなさを指します。
American Dictionary の側の例文は I’m a little queasy this morning. です。
名詞の nausea もあります。
語義は2個で、英語辞典の側は the feeling that you are going to vomit です。
問診票やチェックリストでは、この名詞の形で項目が並びます。
ふらつき側の3語の語義の数
ふらつきの方向を指す語は、dizzy・light-headed・faint の3つです。
dizzy の語義は4個です。
英語辞典の1つめが feeling as if everything is turning around, and that you are not able to balance and may fall over です。
周りが回っていて、体を支えられずに倒れそうだ、という意味になります。
例文に I keep having dizzy spells. があり、dizzy spell が決まった言い方として使われます。
light-headed の語義は1個だけです。
you feel weak and as if you are going to lose your balance で、バランスを崩しそうな弱さを指します。
faint の語義は8個で、方向が3つに割れます。
形容詞の not strong or clear; slight は、音や光やにおいが弱いという意味です。
形容詞の very weak and nearly becoming unconscious が、体の状態を指す側になります。
例文は He felt faint from hunger. です。
動詞の faint は to suddenly become unconscious for a short time, usually falling down で、実際に倒れることを指します。
I feel faint. は「倒れそう」、I fainted. は「倒れた」です。
pass out も同じ方向の語で、語義は6個です。
英語辞典の1つめが to become unconscious for a short time, for example when ill, badly hurt, or drunk です。
例文は I was hit on the head and passed out. と He passed out from the heat. です。
吐き気で気分が悪いときの英語|nauseousとqueasyとsickの言い分け
吐き気があるときに言う文を、口に出す順番で決めておきます。
I feel sick.
まずこの1文で足ります。
相手が英国の人でも、feel が入っているので「これから吐くかもしれない」と伝わります。
もう少し具体的に言いたいときは nauseous を使います。
I feel nauseous.
「吐き気がします」という意味になります。
語義が3個しかないので、別の意味に取られる心配がほとんどありません。
少しだけ気持ちが悪い、という程度を伝えたいなら queasy です。
I’m a bit queasy.
辞書の例文 I’m a little queasy this morning. と同じ形です。
実際に吐いてしまったあとに伝える文も、別に用意しておきます。
I’ve thrown up twice.
「2回吐きました」という意味になります。
袋が欲しいときに言う語も、先に決めておきます。
sick bag の語義は2個あり、1つめが a paper bag provided for a person to vomit into, for example on a plane, boat, etc. です。
飛行機や船に備え付けてある袋のことです。
例文は He spent the entire flight throwing up into a sick bag. です。
Could I have a sick bag, please? と言えば、そのまま通ります。
2つめの語義は to find something that someone does or says very embarrassing or unpleasant で、pass the sick bag という形の皮肉の言い回しです。
体調の話とはまったく別の用法なので、混ぜないようにします。
名詞の sickness にも注意が要ります。
語義は3個で、英語辞典の1つめが the condition of being ill です。
そして2つめが、たった1語の vomiting です。
例文は Drinking unclean water can cause diarrhoea and sickness. です。
英国の英語では sickness も「吐くこと」を指します。
American Dictionary 側の sickness は the state or condition of being ill, or a disease だけで、吐く意味は並びません。
同じ名詞が、海を越えると別のものを指しています。
ふらついて気分が悪いときの英語|dizzyとlight-headedとfaintの線引き
ふらつきは、吐き気よりも相手に伝わりにくい状態です。
外から見えないからです。
だから、自分の側で線を引いてから語を選びます。
周りが回っているように感じるなら dizzy です。
I feel dizzy.
頭が軽くて、立っているとバランスを崩しそうなら light-headed です。
I feel light-headed.
もう立っていられないと感じるなら faint です。
I feel faint. Could I sit down?
「倒れそうです、座ってもいいですか」という意味になります。
この3語は、程度の順に並んでいると考えると選びやすくなります。
dizzy と light-headed は、辞書の例文でも一緒に出てきます。
Going without sleep for a long time makes me feel dizzy and light-headed. という文です。
2語が並んでいるのは、指している感覚が近いからです。
どちらを言っても大きく外れることはありません。
繰り返し起きていることを伝えたいなら、dizzy spell を使います。
I keep having dizzy spells. で「ふらつきが何度も起きています」という意味になります。
過去に実際に倒れたことがあるなら、動詞の faint か pass out を選びます。
I fainted this morning. で「今朝、倒れました」です。
I passed out for a few seconds. で「数秒、意識がありませんでした」です。
倒れそうと倒れたは別の話
いま起きているのか、さっき起きたのかを先に決めると、動詞が1つに決まります。
そして、形容詞の faint には別の顔もあります。
a faint sound や a faint smell のように、弱い音やにおいを指す使い方です。
I haven’t the faintest idea. という言い方もあり、こちらは「まったく分かりません」という意味になります。
同じ faint でも、人が主語で feel が付いているときだけ体の話になります。
乗り物で気分が悪いときの英語|seasickとairsickとcarsickの3語
乗り物の揺れで気分が悪くなったときには、専用の語があります。
船なら seasick です。
語義は2個で、英語辞典の側は vomiting or having the feeling you will vomit because of the movement of the ship you are travelling in です。
例文は I was/felt seasick, so I went up on deck for some fresh air. です。
飛行機なら airsick です。
語義は2個で、having the feeling that you will vomit because of the movement of an aircraft you are travelling in です。
車なら carsick です。
語義は2個で、feeling that you want to vomit because of the movement of a car です。
この3語には、はっきりした共通点があります。
どれも「乗り物の動きのせいで」という理由が、語義の中にそのまま入っています。
この3語を使えば、理由の説明が要らなくなります。
I feel seasick. の1文で、船の揺れが原因だと相手に伝わります。
乗り物全般をまとめて言うなら、名詞の motion sickness を使います。
語義は2個で、英語辞典の側は a feeling of being ill, especially of needing to vomit, that some people get in a moving vehicle です。
英国では travel sickness という言い方も並びます。
語義は1個で、a feeling of illness, especially of needing to vomit, that some people get in a moving vehicle です。
motion sickness と travel sickness の語義の文は、ほとんど同じ形をしています。
違うのは、前に置く語が motion か travel かだけです。
どちらの言い方でも、指している中身は変わりません。
自分の体質を先に伝えておきたいときは、現在形にします。
I get motion sickness.
「私は乗り物で気分が悪くなります」という意味になります。
乗る前にこの1文を言っておくと、席を選んでもらえることがあります。
すでに気分が悪くなってしまったあとは、feel に切り替えます。
I’m getting carsick. なら「車で気分が悪くなってきました」という進行中の報告になります。
機内で気分が悪いときの英語|客室乗務員に伝える順番
機内は、気分が悪くなったときにいちばん動きにくい場所です。
席を立てず、相手も通路を通るときしかつかまえられません。
だから、声をかける順番を先に決めておきます。
欧州航空安全機関(EASA)は、飛行中に体調が悪くなったときの動き方を FAQ の形で公開しています。
質問文はそのまま What will happen if I start feeling unwell during the flight? です。
答えの中心は、まず客室乗務員にすぐ知らせることです。
知らせたあとは、乗務員がマスクを渡し、呼吸が苦しければ手当てと酸素を用意し、ほかの乗客から離れた席へ移す場合があります。
ここで使われている英語が feeling unwell です。
公的な案内が選ぶ語は sick ではなく unwell です。
unwell の語義は1個しかないので、読む人によって意味が振れません。
だから公的な文章ほど、unwell を使います。
実際に声をかけるときの1文は、これで足ります。
Excuse me, I’m not feeling well.
「すみません、気分がよくありません」という意味です。
そのあとに、方向を1つだけ足します。
I feel sick. Could I have a sick bag, please?
吐きそうなときは、この2文になります。
I feel faint. Could I have some water?
倒れそうなときは、この2文です。
席を替わりたいときは Could I move to another seat? を足します。
同行者を呼んでほしいときは Could you call my wife? のように、誰を呼ぶかまで言います。
飛ぶ前の段階の話も、公的な資料に残っています。
英国民間航空局(CAA)は、医師向けの解説として fitness to fly の判断の流れを公開しています。
そこでの言い方は Most airlines have medical advisors who provide advice and ‘clear’ passengers as fit to fly です。
多くの航空会社に医務の担当者がいて、その人が搭乗できるかどうかを判断します。
さらに The final decision whether or not to carry a passenger is that of the airline と続きます。
最終的に乗せるかどうかを決めるのは航空会社です。
ここで覚えておく英語は fit to fly という3語です。
Am I fit to fly? と聞けば、「搭乗して問題ありませんか」という質問になります。
機内で使う語は unwell・sick・faint・sick bag の4つで足ります。
離陸から着陸までのあいだに客室乗務員へかける言葉の全体は、機内の英語で交わす言い方をまとめた記事で読めます。↓

旅先で気分が悪いときの英語|各国政府の案内に並ぶ言い方
政府が出している旅行者向けの案内は、使う語がきれいにそろっています。
米国 CDC の Getting Health Care During Travel の1文目は You can get sick or injured during travel and might need health care. です。
旅行中に体調を崩したりけがをしたりして、医療が必要になることがある、という意味になります。
ここで使われているのは get sick という形です。
状態としての sick は、この get と組むと自然になります。
2文目は Before your trip, make a plan for how you will get health care when traveling. です。
出発前に、どうやって医療にかかるかを決めておく、という流れです。
このページの最終更新は2022年10月31日です。
英国政府 GOV.UK の Foreign travel insurance には、もっと具体的な場面が並びます。
例の1つが Stomach bug or infection treated in a hospital in the USA and possibly medical evacuation/repatriation です。
米国の病院で治療を受ける場合の例で、stomach bug という言い方が出てきます。
別の行は emergency transport, such as an ambulance: this is often charged separately to other medical expenses です。
救急の搬送は、ほかの医療費とは別に請求されることが多い、という意味になります。
公的な文書では ambulance が「救急車」を指す唯一の語です。
国ごとの案内は、かける番号まで具体的です。
フランスの渡航情報の Health の章にある1文は Call 112 and ask for an ambulance. です。
「112に電話して、救急車を頼んでください」という意味になります。
ask for an ambulance が、そのまま口に出せる形です。
続く1文は Contact your insurance or medical assistance company quickly if you’re referred to a medical facility for treatment. です。
医療機関を紹介されたら、保険会社にすぐ連絡する、という順番になります。
英国の中では、かける番号が2つに分かれます。
NHS の案内の1文は NHS 111 can help if you think you need medical help right now. です。
いますぐ医療の助けが要ると思うなら111です。
999 のほうは 999 is for life-threatening emergencies like serious road traffic accidents, strokes and heart attacks. です。
命に関わる緊急事態のための番号になります。
111 と 999 の分かれ目は life-threatening の1語です。
電話口で最初に言う文も、決めておきます。
I need an ambulance.
住所を聞かれたら、ホテルの名前と通りの名前をそのまま読みます。
自分の状態は、この記事で選んだ1語を足すだけです。
A woman here feels very faint.
誰が、どんな状態かの2つが入っていれば、その先は相手が聞き出してくれます。
窓口に着いてからの流れは、病院の英語を受付・問診・会計の3か所に分けた記事にまとめています。↓

相手から飛んでくる気分が悪いときの英語|返ってくる質問と逃げ方
こちらが1文を言うと、相手は必ず質問を返してきます。
聞かれる内容は、場所が変わってもだいたい同じです。
- Are you OK?(大丈夫ですか)
- What’s wrong?(どうしましたか)
- Do you want to sit down?(座りますか)
- Have you been sick?(吐きましたか)
- Do you feel dizzy?(ふらつきますか)
- Do you need a doctor?(医者が必要ですか)
- How long have you felt like this?(いつからですか)
- Are you travelling alone?(おひとりですか)
この8つのうち、いちばん危ないのが Have you been sick? です。
英国では「吐きましたか」という質問になります。
be sick の語義が to vomit だからです。
ここで「はい、気分が悪いです」のつもりで Yes と答えると、吐いたことになってしまいます。
Have you been sick? に Yes と答えると「吐きました」になります。
まだ吐いていないなら、No, but I feel sick. と返します。
この but の1語が、状態と動作を分ける役割をします。
答え方そのものは、短くてかまいません。
- Yes, I feel sick.(はい、気持ちが悪いです)
- No, but I feel dizzy.(いいえ、でもふらつきます)
- Since this morning.(今朝からです)
- About an hour ago.(1時間ほど前からです)
- I’m with my family.(家族と一緒です)
相手の英語が聞き取れないときの逃げ方も、先に決めておきます。
Sorry? の1語で、もう一度言ってもらえます。
Could you say that again, please? なら、丁寧に頼む形になります。
Could you speak more slowly? で、速さを落としてもらえます。
それでも分からないときは Could you write it down? と頼みます。
紙に書いてもらえれば、翻訳アプリに入れられます。
体調が悪いときは、聞き返すこと自体がつらくなります。
だからこそ、逃げ方の1文を先に口の中に置いておきます。
聞き返す言い方の細かい違いは、Sorry?とPardon?を辞書で数え直した記事で読めます。↓

気分が悪いの英語でやりがちな取り違え|illとpoorlyとunder the weatherの呼び分け
sick 以外にも、同じ方向を指す語がいくつもあります。
ill の語義は14個で、英語辞典に10個、American Dictionary に4個が並びます。
英語辞典の形容詞の1つめが not feeling well, or suffering from a disease です。
例文は I felt ill so I went home. です。
fall ill、be taken ill、critically ill のように、決まった組み合わせで出てきます。
ill は sick より少し硬く、病気の側へ寄った語になります。
形容詞の2つめは bad で、ill effects のように「悪い」という意味でも使います。
副詞の ill もあり、ill afford のような形で「とても〜できない」という意味になります。
だから ill は、体調の話だけを受け持つ語ではありません。
poorly の語義は2個です。
副詞が not well、形容詞が ill という、短い語義になります。
例文は He says he’s feeling poorly and he’s going back to bed. です。
feeling poorly は、英国でよく耳にする言い方です。
off-colour の語義も2個です。
1つめが slightly ill で、例文は I’m feeling a bit off-colour today. です。
2つめは下品な冗談を指す意味なので、使う場面を選びます。
under the weather の語義も2個です。
英語辞典の側は If someone is or feels under the weather, they feel ill という書き方になります。
例文は I’m feeling a bit under the weather – I think I’m getting a cold. です。
under the weather は天気の話ではなく体調の話です。
American Dictionary の側は not completely well で、こちらも同じ方向を指します。
痛みの話になると、選ぶ語がまた変わります。
hurt の語義は11個で、英語辞典の動詞の1つめが to feel pain in a part of your body, or to injure someone or cause them pain です。
例文は Tell me where it hurts. と My head hurts. です。
ache の語義は6個で、名詞は a continuous pain that is unpleasant but not very strong です。
earache、headache、toothache、backache のように、体の部位とくっついて1語になります。
例文は I’ve had a stomach ache all morning. です。
痛いなら hurt、気分なら feel
仕事や学校を休むと伝えるときは、また別の語になります。
call in sick の語義は to tell your employer, usually by phone, that you are unable to go to work because of illness です。
米国では call out sick、英国では ring in sick という形も同じ欄に並びます。
phone in sick なら、どちらの地域でも通ります。
I’m calling in sick today. で「今日は体調が悪いので休みます」という連絡になります。
診断書を指す sick note という語もあります。
語義は2個で、Business English の側は a letter from a doctor to your employer that says that you are too ill to work です。
英語辞典の側の例文に An employee can be asked for a sick note from their doctor, but only if they have been away for more than seven days. があります。
7日を超えて休んだ場合にだけ、雇い主は診断書を求められる、という文になります。
旅先で数日休むことになったときは、この語が要ります。
気分が悪いの英語についてよくある質問
この記事を書きながら、実際に迷った点を5つにまとめます。
気分が悪いの英語はI feel sick.だけで通じますか?
通じます。
Cambridge Dictionary の英語辞典にも American Dictionary にも、feel と組んだ sick の語義が並んでいるからです。
ただし、これは「吐きそうだと感じている」という方向に寄った文になります。
ふらつきやだるさを伝えたいなら、dizzy や unwell に入れ替えます。
英国でI’m sick.と言うと何が伝わりますか?
文脈によって、病気の報告にも、吐いたという報告にもなります。
be sick の語義が to vomit だからです。
吐いていないなら、feel を入れて I feel sick. にします。
吐いたのなら、I threw up. のほうが英米どちらでも1つの意味に決まります。
nauseousとqueasyはどちらが自然ですか?
はっきり吐き気があるなら nauseous です。
少しだけ気持ちが悪い程度なら queasy が合います。
queasy の例文は I’m a little queasy this morning. で、程度を弱める語と一緒に使われます。
nauseous の例文は Roller coasters make me feel nauseous. で、原因をはっきり言うときに向きます。
気分が悪いを英語で書くときはunwellでいいですか?
書き言葉なら unwell が安全です。
語義が1個しかなく、読む人によって意味が振れないからです。
EASA の FAQ の見出しも feeling unwell という形になっています。
ホテルへのメールや欠席の連絡では、この語を選びます。
相手の英語が聞き取れないときは何と言えばいいですか?
Sorry? の1語で足ります。
丁寧にしたいなら Could you say that again, please? です。
それでも分からないときは Could you write it down? と頼みます。
体調が悪いときは無理に聞き取ろうとせず、書いてもらうほうが早く進みます。
覚えて帰る1文|気分が悪いの英語を決めるのはsickではなく動作
最初に戻ります。
気分が悪いときに口から出す英語は、I feel sick. の1文で足ります。
迷ったときに確かめるのは、単語ではなく自分の動作です。
吐きそうなら sick か nauseous、実際に吐いたなら threw up です。
周りが回っているなら dizzy、倒れそうなら faint、倒れたなら fainted です。
体全体がだるいだけなら unwell か under the weather です。
乗り物の揺れが原因なら seasick か airsick か carsick です。
痛みがあるなら hurt か ache に切り替えます。
動作から語を選ぶと、迷っている時間がゼロになります。
そして、最後の関門が動詞に feel を入れるかどうかです。
feel が入れば状態、入らなければ英国では動作として受け取られます。
この1点だけ覚えていれば、いちばん大きな取り違えは起きません。
この記事で数えた語と語義の数
Cambridge Dictionary で実際に引いて数えた語義の数を並べます。
- sick 14個/ill 14個/unwell 1個/sickness 3個/sick bag 2個/sick note 2個
- nauseous 3個/nausea 2個/queasy 3個/vomit 4個/throw up 6個
- dizzy 4個/light-headed 1個/faint 8個/pass out 6個
- seasick 2個/airsick 2個/carsick 2個/motion sickness 2個/travel sickness 1個
- poorly 2個/off-colour 2個/under the weather 2個/feel 28個/hurt 11個/ache 6個
26語を合わせると、語義は133個になります。
語義が1個しかない unwell と light-headed と travel sickness は、取り違えようがありません。
語義が10個を超える feel と sick と ill と hurt が、混乱の元になります。
伝えたあとに薬局のカウンターで交わす言葉は、薬局の英語でchemistとpharmacyを分けた記事で読めます。↓

参考文献
- sick(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- unwell(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- nauseous(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- queasy(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- dizzy(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- faint(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- light-headed(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- seasick(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- travel sickness(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- sick bag(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- under the weather(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- pass out(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- Getting Health Care During Travel(米国CDC 公式サイト)
- Foreign travel insurance(英国政府GOV.UK 公式サイト)
- France travel advice: Health(英国政府GOV.UK 公式サイト)
- When to use NHS 111(英国NHS 公式サイト)
- When to call 999(英国NHS 公式サイト)
- What will happen if I start feeling unwell during the flight?(欧州航空安全機関EASA 公式サイト)
- Assessing fitness to fly(英国民間航空局CAA 公式サイト)
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