海外のレストランで、連れの誕生日を店の人に伝えようとした瞬間に、英語が出てこなくなります。
日本語なら「今日、この人の誕生日なんです」の一言で済む話です。
店員さんは笑って、デザートに火を付けて持ってきてくれます。
ところが英語になると、その一言をどこから始めればいいのかが分かりません。
Happy birthday! なら知っています。
けれども、その文は自分が言われる側の文であって、店に事情を伝える文ではありません。
メニューを持った店員が横に立って、こちらの次の言葉を待っています。
「バースデー」と言えば通じる気もしますが、そのあとに何を続ければいいのかが浮かびません。
ケーキを出してほしいのか、ろうそくを立ててほしいのか、歌は要るのか要らないのか。
日本語なら表情と間で伝わっていた部分が、英語だと全部を言葉にしないと届きません。
予約のときに書いておくべきだった、という後悔もあとから来ます。
会計のときには、頼んでいないデザートが伝票に乗っているのか、それとも店からの無料なのかが読めません。
お酒を頼めば、いきなり身分証を出してくださいと言われます。
誕生日の席なのに、いちばん緊張する場面が年齢確認になってしまいます。
誕生日の英語でつまずく理由は、単語を知らないからではありません。
日本語の「誕生日」という1語が、英語では「祝う」「おごる」「乾杯する」「ろうそく」「年齢確認」に割れているからです。
そして、その割れ目は辞書を引けば数として見えます。
この記事では Cambridge Dictionary の英語辞典で25語を実際に引いて、語義がいくつ並ぶかを1語ずつ数えました。
数え上げた語義は、合計で252個ありました。
あわせて、英国政府 GOV.UK の「Alcohol and young people」と、英国内務省の「Guidance on Mandatory Licensing Conditions」(2014年9月版)を読みました。
米国側は、合衆国法典第23編158条(National minimum drinking age)の条文と、カリフォルニア州アルコール飲料管理局(ABC)が出している州ビジネス・専門職法25660条の解説を開きました。
日本側は、e-Gov 法令検索の「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」の条文そのものを読みました。
店の特典については、ベニハナ(Benihana)の Friends with Benefits と Kabuki Kids、レッドロビン(Red Robin)の Red Robin Royalty の公式ページだけを見ました。
特典の中身は、この2社の公式ページに実際に載っていたものだけを書きます。
開けなかったページの特典は、1文字も書いていません。
誕生日の英語は「It’s my birthday.」の一文|Happy birthday! より先に要る側の英語
レストランで最初に口から出すべき文は、これです。
It’s my birthday today.
「今日は私の誕生日です」という意味です。
祝う相手が連れなら、主語だけ入れ替えます。
It’s my wife’s birthday today.
この2文のどちらかを言えば、店の側が次の質問を出してきます。
Happy birthday! は、祝う側が本人に向かって言う文です。
店員に向かって Happy birthday! と言っても、事情は1つも伝わりません。
伝えたい相手が違うからです。
この取り違えが、レストランでいちばん多く起きます。
では、It’s my birthday today. のあとに要る英語は何本でしょうか。
実際に必要なのは、次の5文だけでした。
- It’s my birthday today.(今日が誕生日です)
- We’re celebrating a birthday.(誕生日をお祝いしています)
- Do you do anything for birthdays?(誕生日に何かしていますか)
- Could we get a candle on the dessert?(デザートにろうそくを付けてもらえますか)
- Please don’t sing.(歌はやめてください)
この5文の並びには理由があります。
1文目で事実を伝え、2文目で「お祝いの席である」という枠を渡します。
3文目で店にできることを聞き、4文目でこちらの希望を出します。
5文目は、やってほしくないことを止める文です。
断る文を先に用意しておく
店の中央で歌われるのが苦手な人は、頼む文より先に断る文を覚えておくほうが安全です。
歌は始まってしまうと途中で止められません。
この記事の残りは、この5文に出てくる語を、辞書と公的資料で1つずつ確かめる作業に使います。
そして、その語の多くは、日本語の「誕生日」からは想像できない場所に語義を持っています。
誕生日を英語で birthday と訳したときにズレる場所|辞書に並ぶ語義2個
最初に、主役の語そのものを引きます。
Cambridge Dictionary で birthday を引くと、語義は2個しか並びません。
英語辞典(Cambridge Advanced Learner’s Dictionary)の側に1個、American Dictionary の側に1個です。
英語辞典の定義は「the day that is exactly a year or number of years after a person was born」です。
「人が生まれてからちょうど1年、あるいは何年かあとの日」という意味です。
American Dictionary の定義も「the day that is an exact year or number of years after a person was born」で、ほぼ同じです。
語義が2個しかないということは、birthday そのものは取り違えようがないということです。
英語が出てこない原因は、この語ではありません。
原因は、日本語の「誕生日」が飲み込んでいる周辺の意味にあります。
日本語では「誕生日会」「誕生日プレゼント」「誕生日ケーキ」「誕生日おめでとう」が、全部「誕生日」で始まります。
英語では birthday party、birthday present、birthday cake と並び、意味の仕事をしているのは後ろの語です。
つまり、覚えるべきは birthday ではなく、後ろに付く語のほうです。
辞書の例文も、そのことをはっきり示しています。
英語辞典の birthday の例文は「Happy birthday, Flavio!」「Are you going to Ellen’s birthday party next week?」「It’s her 21st birthday.」の3つです。
American Dictionary の例文は「Today is my mother’s 49th birthday.」です。
4つのうち2つが、年齢の数字を含んでいます。
21st birthday と 49th birthday は、序数で年齢を言う形です。
日本語の「21歳の誕生日」に当たる言い方が、英語では her 21st birthday になります。
この21という数字には、米国では別の意味も乗っています。
その話は、年齢確認の章でまとめて扱います。
ここで押さえておくのは、辞書が birthday を2語義で済ませているという事実だけです。
2語義の語でつまずいているなら、詰まっているのは別の語です。
だから、この記事では周辺の24語を全部数えました。
celebrate・treat・toast を誕生日の英語として並べたときの語義の数の違い
お祝いの場面で使う3語を並べると、語義の数がまったくそろいません。
- celebrate = 4個(英語辞典3個/American Dictionary 1個)
- treat = 19個(英語辞典10個/American Dictionary 6個/Business English 3個)
- toast = 9個(英語辞典5個/American Dictionary 4個)
celebrate は4個で、ほとんど迷いません。
英語辞典の1つめは「to take part in special enjoyable activities in order to show that a particular occasion is important」です。
「ある機会が大事であることを示すために、特別で楽しい活動に加わる」という意味です。
例文は「We always celebrate our wedding anniversary by going out to dinner.」で、外食そのものが celebrate の中身になっています。
2つめは「to express admiration and approval for something or someone」で、作品や人を称賛する意味です。
3つめは「to lead a religious ceremony」で、ミサを執り行う意味です。
レストランで使うのは1つめだけなので、celebrate は迷わずに使えます。
問題は treat です。
19個の語義は、大きく4つの塊に分かれていました。
- 扱う = to behave towards someone or deal with something in a particular way
- 治療する = to use drugs, exercises, etc. to cure a person of a disease or heal an injury
- おごる = to buy or pay for something for another person
- 表面を処理する = to put a special substance on material such as wood, cloth, metal, etc.
名詞の treat は、さらに別の意味を持ちます。
英語辞典の名詞1つめは「a special and enjoyable occasion or experience, often a reward or celebration」です。
「特別で楽しい機会や体験。多くは、ごほうびやお祝い」という意味です。
2つめは「something special that you buy because it makes you feel happy or brings happiness to someone else」です。
そして名詞のもう1つが「an occasion when I, you, etc. buy or pay for something for another person」で、これが日本語の「おごり」です。
treat は「ごほうび」と「おごり」
同じ treat という語が、店から見れば「サービスの一皿」、こちらから見れば「私のおごり」になります。
この二重性は、あとで出てくるレッドロビンの公式ページの表現にそのまま現れます。
toast の9個は、もっと極端に割れています。
英語辞典の名詞は2個で、1つめが「sliced bread made warm, crisp, and brown by being put near a high heat」です。
つまり、食べるトーストです。
2つめが「an expression of good wishes or respect for someone that involves holding up and then drinking from a glass of alcohol, especially wine, after a short speech」です。
短いスピーチのあとにグラスを掲げて飲む、あの乾杯のことです。
同じ綴りの語が、パンと乾杯の両方を指します。
誕生日の席で使うのは後者ですが、動詞の toast には「パンを焼く」も残っています。
American Dictionary の例文にも「Would you like me to toast your bagel?」が入っています。
語義の数が多い語ほど、場面で意味が決まるということです。
そして場面を決めるのは、こちらが先に言う一文です。
レストランの予約で使う誕生日の英語|reservation と party の使い方
お祝いの席は、入店した瞬間ではなく予約の時点で始まっています。
そして予約の場面には、日本語の感覚では読み違える語が1つ混ざっています。
予約フォームと電話に出てくる party の正体
Cambridge Dictionary で party を引くと、語義は14個並びます。
英語辞典に5個、American Dictionary に5個、Business English に4個です。
日本語の「パーティー」に当たるのは、そのうちの1個だけです。
定義は「a social event at which a group of people meet to talk, eat, drink, dance, etc., often in order to celebrate a special occasion」で、例文の先頭が birthday party です。
ところが予約の場面で使われるのは、別の語義のほうです。
「a group of people who are involved in an activity together, especially a visit」という語義で、こちらは「一緒に行動する一団」を指します。
レストランの party は、催しではなく人数のことです。
辞書の例文が、そのまま予約の会話になっています。
- I made a dinner reservation for a party of eight.(8人で夕食の予約を入れました)
- There will be 8 people in our party, so we’ll need to book a table.(こちらは8人なので、席を取る必要があります)
- Our restaurants offer a discount of 10% to parties of 10 or more.(10人以上の団体には10%引きを出しています)
だから How many in your party? と聞かれたら、答えるのは人数です。
Four, please. と言えば足ります。
ここで「パーティーをするのか」と聞かれたと思って言葉に詰まる人が、とても多くいます。
reservation のほうは、語義が8個です。
英語辞典に4個、American Dictionary に3個、Business English に1個あります。
中心の語義は「an arrangement in which something such as a seat on an aircraft or a table at a restaurant is kept for you」です。
「飛行機の座席やレストランの席を取り置きしてもらう取り決め」という意味です。
Business English の例文は「Do you have a reservation?」で、入口で必ず飛んでくる文がそのまま載っています。
同じ語に「疑い・ためらい」という語義もあるので、文脈を見ないと読み違えます。
予約の英語そのものは、電話でもサイトでも聞かれることが決まっています。
電話で必ず聞かれる5つとサイト予約の入力欄は、レストラン予約の英語で必ず聞かれる5つで数えています。↓

誕生日の英語を予約のときに渡す一文
予約が取れたあとに、もう一文だけ足します。
We’re celebrating a birthday.
「誕生日のお祝いです」という意味です。
ネット予約のフォームなら、備考欄にこの1文をそのまま貼ります。
誰の誕生日かまで書くなら、It’s my daughter’s birthday. と続けます。
当日に言うより、予約のときに書いておくほうが確実です。
ケーキやろうそくの用意には、仕込みの時間が要るからです。
席の希望まで出すなら、Could we have a quiet table? を足します。
静かな席を頼む文です。
席に着いてから伝える誕生日の英語|occasion と surprise の言い方
着席すると、水とメニューが来て、最初の会話が始まります。
このとき、店の側から出てくる質問に occasion が入っています。
Cambridge Dictionary の occasion は語義7個です。
英語辞典に5個、American Dictionary に2個あります。
祝いの席に当たるのは「a special or formal event」という語義で、例文は「Sarah loves dressing up for special occasions.」です。
だから Are you celebrating a special occasion? は「何かお祝いですか」という質問になります。
答えは Yes, it’s my birthday. で足ります。
special occasion は、誕生日・記念日・昇進などをまとめて受ける箱です。
中身を言わずに Yes だけで返すと、店は何もできません。
birthday という語を必ず混ぜます。
本人に内緒で進めたいときは、surprise を使います。
surprise の語義は8個で、英語辞典に4個、American Dictionary に4個あります。
名詞の1つめは「an unexpected event」で、例文が「Don’t tell Anne we’ve arranged a party for her – I want it to be a surprise.」です。
「アンには言わないで。驚かせたいから」という中身で、まさに誕生日の段取りそのものです。
店員に伝えるなら、次の2文を続けます。
- It’s a surprise.(サプライズなんです)
- Please don’t say anything until dessert.(デザートまで何も言わないでください)
言うタイミングは、本人が席を外した瞬間が最も安全です。
トイレに立ったときに、短く伝えます。
ここで host という語も出てきます。
host の語義は23個あり、英語辞典に13個、American Dictionary に5個、Business English に5個です。
辞書の語義は「客を迎える人」「番組の司会者」「会場を提供する組織」「寄生される側の生物」まで広がります。
辞書の23語義には「店の入口で席へ案内する係」は入っていません。
それでも米国のレストランでは、入口に Please wait to be seated. の札が立ち、案内係が席まで連れて行きます。
誕生日の話を最初に渡す相手は、この案内係です。
席に着いてからの担当者は、別の人に替わることがあるからです。
デザートとろうそくを頼む誕生日の英語|candle と cake と blow の伝え方
祝いの形として、いちばん頼まれるのがデザートとろうそくです。
この3語は、語義の数が正反対でした。
- candle = 2個(英語辞典1個/American Dictionary 1個)
- cake = 5個(英語辞典3個/American Dictionary 2個)
- dessert = 2個(英語辞典1個/American Dictionary 1個)
- blow = 30個(英語辞典16個/American Dictionary 8個/Business English 6個)
candle の定義は「a stick-shaped piece of wax with a wick in the middle of it that produces light as it slowly burns」です。
「真ん中に芯がある棒状のろうで、ゆっくり燃えながら光を出すもの」という意味です。
語義は1つしかなく、例文の中に birthday candle がそのまま入っています。
candle は1語義なので、取り違えようがありません。
cake の定義は「a sweet food made with a mixture of flour, eggs, fat, and sugar」です。
例文には「a birthday/Christmas cake」が並びます。
dessert は「sweet food eaten at the end of a meal」で、こちらも1語義です。
つまり、物の名前はどれも簡単でした。
難しいのは動詞のほうです。
blow は語義が30個もあります。
「吹く」「鼻をかむ」「ヒューズが飛ぶ」「爆破する」「大金を使う」まで入り、名詞では「殴打」「打撃」にもなります。
それでも誕生日で使う形は、辞書の例文がそのまま答えでした。
We brought in the birthday cake and watched Lisa blow out the candles.
American Dictionary の例文で、「バースデーケーキを運んできて、リサがろうそくを吹き消すのを見た」という意味です。
吹き消すのは blow out
blow 単体ではなく、out まで付けた形で覚えます。
同じ例文群には「We blew 12 balloons up for Charles’ party.」もあり、風船をふくらませる形は blow up です。
吹き消すのが out、ふくらませるのが up という違いです。
店に頼むときは、動詞を使わずに名詞で頼むほうが速くなります。
- Could we get a candle on the dessert?(デザートにろうそくを1本付けてもらえますか)
- Do you have a birthday dessert?(誕生日用のデザートはありますか)
- Can we bring our own cake?(ケーキを持ち込めますか)
3つめは、店によって答えが割れる質問です。
持ち込みの可否は店ごとの決まりなので、必ず先に聞きます。
聞かずに持ち込んで断られると、その場で置き場所に困ります。
注文そのものの言い方は、誕生日かどうかに関係なく同じ型です。
席に着いてから料理を頼むまでの流れは、レストランの注文の英語と order の語義28個で数えています。↓

乾杯の誕生日の英語|toast と cheers の線引き
飲み物が来たら、グラスを上げる場面になります。
ここで使う語が toast と cheers です。
toast の乾杯の語義は、英語辞典では名詞の2つめに入っています。
定義は「an expression of good wishes or respect for someone that involves holding up and then drinking from a glass of alcohol, especially wine, after a short speech」です。
短いスピーチが先にあり、そのあとにグラスを掲げて飲む、という順番まで定義に書き込まれています。
例文も具体的でした。
Now, if you’d all please raise your glasses, I’d like to propose a toast to the bride and groom.
「みなさんグラスを上げてください。新郎新婦に乾杯の音頭を取らせてください」という意味です。
誕生日なら、最後の部分だけ入れ替えます。
I’d like to propose a toast to Ken on his birthday.
propose a toast to 〜 が、音頭を取るときの決まった形です。
受ける側は drink a toast という形になります。
辞書の例文は「Champagne corks popped and the guests drank a toast to the happy couple.」です。
American Dictionary の定義は、もう少し短くまとまっています。
「a short speech in honor of someone or in celebration of something, followed by everyone present taking a drink」です。
例文は「Ted raised his glass and proposed a toast “to absent friends.”」と「At midnight, we toasted the New Year.」でした。
動詞の toast は、そのまま「〜に乾杯する」として使えます。
では cheers はどうでしょうか。
cheers の語義は4個で、英語辞典に3個、American Dictionary に1個です。
英語辞典の3個は「乾杯の直前に言う親しみのある表現」「ありがとうの意味」「さようならの意味」でした。
例文は「Cheers! Your good health.」「”I’ve saved you a seat.” “Cheers, mate.”」「”Bye.” “Cheers, see you next week.”」です。
英国の Cheers は3つの顔を持つ
American Dictionary のほうは「a friendly expression spoken before tasting a drink; a toast」の1個だけです。
米国側の辞書では、cheers は乾杯の意味しか載っていません。
英国で店員に Cheers. と言われたら、それは「ありがとう」の可能性があります。
グラスを上げ直す必要はありません。
なお、乾杯にアルコールが要るわけではありません。
drink の語義は9個で、そのうち「アルコール飲料」を指すのは英語辞典の名詞2つめと American Dictionary の名詞2つめだけです。
中心の語義は「liquid that is taken into the body through the mouth」で、水もお茶もジュースも含みます。
子どもの誕生日なら、ジュースのグラスで Cheers! と言えば足ります。
無料の特典を確かめる誕生日の英語|complimentary と free と treat の違い
「誕生日だと何かもらえる」という話は、国を問わず聞きます。
ただし中身は店ごとに違い、会員登録が前提のものも多くあります。
ここでは、公式ページを実際に開けた2社の内容だけを並べます。
1社目はベニハナ(Benihana)です。
公式の会員プログラム Friends with Benefits の説明に、誕生日の特典として「you’ll enjoy a $50 birthday reward — just because」という一文があります。
50ドルのバースデーリワードです。
同じページには、12歳以下の子ども向けの Kabuki Kids という別プログラムも載っています。
こちらは誕生日にメールで証明書が届き、Kabuki Kids のお子さまメニューを頼むと、好きな記念マグが無料になります。
大人と子どもで、まったく別のプログラムが動いています。
2社目はレッドロビン(Red Robin)です。
公式の Red Robin Royalty のページには「Birthday Fun! Enjoy a birthday treat during your birthday month!」とあります。
当日ではなく、誕生月のあいだが対象です。
同じページのポイント制度は「1 point for every $1 spent on qualifying items」「100 points = $10 dollar reward」という形でした。
1ドルにつき1ポイント、100ポイントで10ドル分になります。
誕生月まるごと対象の店もある
この2社を並べるだけで、特典の形が金額・品物・期間のどこでも変わることが分かります。
だから、事前に調べるより、その場で聞く1文を持っているほうが強くなります。
聞くときの語が complimentary です。
Cambridge Dictionary の complimentary は語義6個で、英語辞典・American Dictionary・Business English にそれぞれ2個ずつ並びます。
1つめは「praising or expressing admiration for someone」で、「ほめる」という意味です。
2つめが「If tickets, books, etc. are complimentary, they are given free, especially by a business」で、「店や会社が無料で出す」という意味です。
Business English の例文は「Parking is usually complimentary or included in the ticket price.」でした。
complimentary は「ほめる」と「無料」の2つしか持ちません。
一方の free は、語義が38個もあります。
英語辞典に16個、American Dictionary に11個、Business English に11個です。
「制限がない」「囚われていない」「空いている」「固定されていない」まで含み、「無料」はその中の1個にすぎません。
だから伝票を見て確かめるときは、free より complimentary のほうが誤解が起きにくくなります。
- Is the dessert complimentary?(このデザートは店からの無料ですか)
- Do you do anything for birthdays?(誕生日に何かしていますか)
- Do I need to be a member?(会員になる必要がありますか)
3つめが要になります。
先の2社の特典は、どちらも会員プログラムの中の話だからです。
紙やメールで届く引換券は voucher と呼ばれます。
voucher の語義は5個で、中心は「a piece of paper that can be used to pay for particular goods or services or that allows you to pay less than the usual price for them」です。
例文の「The voucher is valid between July and December」のように、有効期間が付くのが普通です。
Is this voucher still valid? と聞けば、期限を確かめられます。
そして、おごる側に回るときが treat の出番です。
It’s my treat. で「私のおごりです」になります。
支払いの場面そのものの言い方は、誕生日に限らず共通です。
伝票を頼む言い方と bill と check の分かれ目は、お会計の英語で数えた語義21個で確かめています。↓

年齢確認という公的ルールがある|誕生日の英語で確かめた英米日の線引き
誕生日の席で、いちばん法律が絡むのがお酒です。
そして年齢の線は、国ごとにまったく違います。
語のほうを先に数えておきます。
- identification = 6個(英語辞典2個/American Dictionary 2個/Business English 2個)
- proof = 12個(英語辞典7個/American Dictionary 4個/Business English 1個)
- minor = 12個(英語辞典6個/American Dictionary 4個/Business English 2個)
- adult = 7個(英語辞典4個/American Dictionary 3個)
- legal = 6個(英語辞典3個/American Dictionary 1個/Business English 2個)
identification の語義には「an official document that shows or proves who you are」があります。
Business English の例文が「Please can I see some identification?」で、これが店員の言う文そのものです。
proof のほうには、年齢を聞かれる場面の例文が直接載っていました。
“How old are you?” “21.” “Do you have any proof on you?”
「何歳ですか」「21です」「それを証明するものは持っていますか」というやり取りです。
proof には「酒の強さ」という語義も入っています。
American Dictionary の定義は「a measure of the percentage of alcohol in an alcoholic drink, equal to twice the actual percentage of alcohol」で、例文は「Liquor that is 50 proof is 25% alcohol.」です。
50プルーフなら、アルコール度数は25%という計算になります。
ボトルに書いてある proof と、身分証の proof は別物です。
英国の18歳と Challenge 25
英国政府 GOV.UK の「Alcohol and young people」を開きました。
18歳未満に酒を売ること、18歳未満が酒を買うこと、そして大人が18歳未満のために酒を買うことは、いずれも違法です。
ただし例外が1つあります。
「if you’re 16 or 17 and accompanied by an adult, you can drink (but not buy) beer, wine or cider with a meal」という規定です。
16歳と17歳は、大人が同席していて食事と一緒であれば、ビール・ワイン・サイダーを飲めます。
飲めるだけで、買うことはできません。
同じページには「It’s illegal to give alcohol to children under 5.」という一文もあります。
5歳未満に酒を与えること自体が違法です。
店の側の義務は、英国内務省の「Guidance on Mandatory Licensing Conditions」(2014年9月版)に書き込まれています。
酒を出す店は年齢確認の方針を持たなければならず、その方針は最低限「individuals who appear to the person serving alcohol to be under the age of 18 years of age to produce on request (before being served alcohol) appropriate identification」を求める内容である必要があります。
18歳未満に見えた客には、出す前に身分証を求める、という中身です。
さらに「This condition does not exclude best practice schemes such as Challenge 21 or Challenge 25」と続きます。
25歳未満に見えたら全員に身分証を求める Challenge 25 は、この条件と両立します。
身分証の中身にも指定があります。
「Identification which is accepted as proof of age must bear the holder’s photograph, date of birth, and either a holographic mark or ultraviolet feature.」という一文です。
写真・生年月日・ホログラムか紫外線加工の3点がそろっている必要があります。
例として挙がっているのは、写真付き運転免許証、パスポート、軍の身分証、PASS ホログラム付きの年齢証明カードです。
日本の運転免許証は、この例の中に入っていません。
英国で飲むなら、パスポートを持って店に行きます。
米国の21歳とカリフォルニア州の身分証
米国の線は21歳です。
合衆国法典第23編158条は、21歳未満の者による酒類の購入または公共の場での所持が合法である州に対し、連邦のハイウェイ予算の配分を差し止める仕組みを定めています。
差し止めの割合は、2012会計年度より前が10パーセント、2012会計年度以降が8パーセントです。
州法ではなく、予算を通じて全米の線を21歳にそろえた条文です。
だから米国では、21st birthday が特別な誕生日になります。
辞書の例文にあった「It’s her 21st birthday.」の21も、この線と重なります。
では、当日に何を見せればよいのでしょうか。
カリフォルニア州アルコール飲料管理局(ABC)が出している州ビジネス・専門職法25660条の解説を開きました。
年齢と本人性の正当な証拠は、連邦・州・郡・市の政府またはその機関が発行した書類で、氏名・生年月日・人相・写真が入っているものです。
具体例として、運転免許証、軍人の身分証、そして「a valid passport issued by the United States or by a foreign government」が挙がっています。
外国政府が出した有効なパスポートが、名指しで入っています。
さらに、店の側には「a reasonable inspection of the identification」と「due diligence to confirm the identification presented is that of the person presenting it」が求められます。
見せられた身分証をきちんと見て、本人のものかを確かめる義務です。
だから、手に取って裏返されても驚く必要はありません。
日本の二十歳と条文の言い回し
日本の線は二十歳です。
e-Gov 法令検索で「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律」(大正十一年法律第二十号)の条文を読みました。
第一条第一項は「二十歳未満ノ者ハ酒類ヲ飲用スルコトヲ得ス」です。
第一条第四項は、酒類を販売または供与する営業者に「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ防止ニ資スル為年齢ノ確認其ノ他ノ必要ナル措置ヲ講ズルモノトス」と定めています。
日本でも、年齢確認は店の義務として条文に入っています。
第一条第三項に違反した営業者は、五十万円以下の罰金です。
英語では、この線を The legal drinking age in Japan is 20. と言えば伝わります。
minor の語義にも「someone who is too young to have the legal responsibilities of an adult」があり、何歳からを指すかは国によって動きます。
adult の例文には「An adult under English law is someone over 18 years old.」が載っていました。
同じ adult という語でも、線は法律の側が決めているということです。
相手が言ってくる誕生日の英語|返ってくる文と、聞き取れないときの逃げ方
こちらが1文を出すと、店の側からは決まった質問が返ってきます。
来る文が分かっていれば、聞き取りの負担は半分になります。
- Are you celebrating a special occasion?(何かお祝いですか)
- Whose birthday is it?(どなたの誕生日ですか)
- How old are you turning?(何歳になるのですか)
- Would you like us to sing?(歌いましょうか)
- Can I see some ID?(身分証を見せてもらえますか)
- Is this all on one check?(お会計はひとまとめですか)
3つめの turning は、年齢が切り替わる動きを表しています。
答えは I’m turning thirty. のように、そのまま返します。
年齢を言いたくなければ、Old enough. と笑って返す手もあります。
4つめの sing は語義5個の語で、中心は「to make musical sounds with the voice, usually a tune with words」です。
歌を頼むのも断るのも、返事は1語で足ります。
頼むなら Yes, please.、断るなら No, thank you. です。
強く止めたいときは、Please don’t. We’d rather keep it quiet. と足します。
5つめの ID は identification の短い形です。
聞き取れなかったときの逃げ方も、先に決めておきます。
- Sorry, could you say that again?(すみません、もう一度お願いします)
- I didn’t catch that.(聞き取れませんでした)
- Could you speak a little more slowly?(もう少しゆっくり話してもらえますか)
この3つを言えれば、会話が止まることはありません。
失礼にならない聞き返し方は、Sorry?とPardon?を辞書の語義23個で比べた記事にまとめています。↓

誕生日の英語でやりがちな取り違え|congratulate と wish の呼び分け
祝う言葉として、最初に浮かぶのが Congratulations! かもしれません。
けれども辞書を引くと、この語は誕生日に向いていないことが分かります。
congratulate の語義は2個だけです。
英語辞典の定義は「to praise someone and say that you approve of or are pleased about a special or unusual achievement」です。
「特別な、あるいは並外れた達成をほめて、うれしく思っていると伝える」という意味です。
例文も「I was just congratulating Ceri on winning her race.」で、レースに勝った話になっています。
誕生日は達成ではないので、この語義には乗りません。
合格・昇進・結婚なら Congratulations! が当たります。
誕生日で使うのは wish のほうです。
wish の語義は16個で、英語辞典に11個、American Dictionary に5個あります。
祝いに当たるのは「to hope or express hope for another person’s success or happiness or pleasure on a particular occasion」です。
名詞の側には「something you say or write at the end of a letter, during a happy event, etc. to show that you hope someone is happy and has good luck」があります。
これが Best wishes. の正体です。
wish の先頭は後悔の語義です。
英語辞典の wish は、1つめと2つめが「I wish I were〜」型の後悔でした。
例文は「I wish (that) I was/were a bit taller.」「I wish (that) I hadn’t eaten so much.」です。
同じ語が、祝いにも後悔にも使われます。
祝うときは、必ず相手を目的語に置きます。
I wish you a happy birthday.
この形なら、後悔の意味には読まれません。
もう1つの取り違えが、treat の使い方です。
おごるつもりで I’ll treat you. と言うと、辞書の「扱う」の語義とぶつかって伝わりにくくなります。
It’s my treat. と名詞で言い切るほうが確実です。
同じ意味で、This one’s on me. も使えます。
最後は host です。
誕生日会を開く側は host ですが、店の案内係も同じ語で呼ばれます。
入口で Are you the host? と聞かれたら、それは「予約した代表の方ですか」という確認です。
誕生日の英語についてよくある質問
誕生日の英語で年齢を聞かれたら答えないと失礼ですか
答えなくても問題ありません。
How old are you turning? は場を盛り上げるための質問です。
言いたくなければ、Old enough to order a drink. のように冗談で返します。
ただし、お酒を頼むときの年齢確認は別の話です。
そちらは店の法的な義務なので、身分証を出します。
誕生日の英語でケーキを持ち込みたいときは何と言いますか
Can we bring our own cake? と聞きます。
持ち込みの可否は店ごとの決まりなので、予約の段階で確かめます。
切り分けを頼むなら、Could you cut it for us? を足します。
ろうそくだけなら、Could we get a candle on the dessert? のほうが通りやすくなります。
誕生日の英語で歌を断るのは失礼ですか
失礼にはなりません。
No, thank you. の一言で足ります。
理由を添えたいなら、He’s a bit shy. と言えば角が立ちません。
歌は始まると途中で止まらないので、聞かれた時点で決めます。
誕生日の英語で乾杯の音頭を取るときは何と言いますか
I’d like to propose a toast. から始めます。
続けて to Ken on his birthday. のように、相手と理由を足します。
全員に合図を出すなら、Please raise your glasses. を先に言います。
締めは Happy birthday! で問題ありません。
誕生日の英語で身分証を求められたら何を出せばいいですか
パスポートを出します。
英国内務省の指針では、写真・生年月日・ホログラムか紫外線加工の3点がそろった身分証が対象で、パスポートはその例に入っています。
カリフォルニア州の条文でも、外国政府が発行した有効なパスポートが正当な証拠に含まれます。
日本の運転免許証は、どちらの例示にも入っていません。
お酒を飲む予定のある日は、パスポートを持って出かけます。
覚えて帰る1文|誕生日の英語を決めるのは単語ではなく動作
最初に戻ります。
レストランで口から出す文は It’s my birthday today. の1文で足ります。
残りは、その後に来る動作から語を引くだけです。
祝うなら celebrate、おごるなら treat、乾杯なら toast です。
ろうそくなら candle、吹き消すなら blow out、無料か確かめるなら complimentary です。
人数を聞かれているなら party、席の取り置きなら reservation です。
次にやりたい動作から語を引くと、誕生日の英語は急に短くなります。
そして、年齢の線だけは自分では決められません。
英国は18歳、米国は21歳、日本は二十歳です。
この3つの数字と、パスポート1冊が、お祝いの席を守ります。
この記事で数えた語と語義の数
Cambridge Dictionary で実際に引いて数えた語義の数を並べます。
- birthday 2個/celebrate 4個/treat 19個/candle 2個/toast 9個
- wish 16個/party 14個/cake 5個/occasion 7個/surprise 8個
- complimentary 6個/dessert 2個/congratulate 2個/sing 5個/blow 30個
- identification 6個/proof 12個/legal 6個/minor 12個/adult 7個
- cheers 4個/host 23個/reservation 8個/free 38個/voucher 5個
25語で合計252個でした。
語義が2個しかない birthday と candle と dessert と congratulate は、取り違えようがありません。
語義が20個を超える free と blow と host が、混乱の元です。
入店から退店までの流れをひととおり見ておくなら、レストランの英語を9場面に並べ直した記事が近道です。↓

参考文献
- birthday(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- celebrate(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- treat(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- toast(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- candle(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- party(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- complimentary(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- proof(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- cheers(Cambridge Dictionary 公式サイト)
- Alcohol and young people(英国政府 GOV.UK 公式サイト)
- Guidance on Mandatory Licensing Conditions (September 2014)(英国内務省 Home Office・GOV.UK 公式サイト)
- 23 U.S. Code § 158 – National minimum drinking age(米国下院 Office of the Law Revision Counsel 公式サイト)
- Business and Professions Code Section 25660: Documentary Evidence of Age and Identity(米国カリフォルニア州アルコール飲料管理局 ABC 公式サイト)
- 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正十一年法律第二十号)(日本 デジタル庁 e-Gov法令検索)
- Benihana Rewards(Friends with Benefits・Kabuki Kids)(ベニハナ Benihana 公式サイト)
- Red Robin Royalty(レッドロビン Red Robin 公式サイト)
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